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ゆーれい日記(赤)  作者: 破矢音
日常1
3/11

「トルクメニスタンです」

ここら辺から事件が…………なんて。事件なんて起きないよ。ただほのぼの過ごしてるだけ……?

 鳥が丘学園。

 それは、日本の中でも結構有名な学校だ。

 

 幼稚舎から大学院まで存在する、いわゆるマンモス校と言うやつだ。俺の様に、幼稚園からずっと鳥が丘で育つ生徒も少なくない。いや、むしろ多いか。

 学力、スポーツともにベスト3に入るこの学校。いや学園の生徒数は約3万弱いる。ゆえに、敷地も広いのだ。例えば、中等部は3年と1、2年生に校舎が分かれてるとかな。

 

 さて、ここで問題だ。

 俺は約一週間前に、霊感仲間の1年と知り合った。その名も鳶谷 赤菜(とびたに あかな)。肩につくかつかないか位の金髪に、面倒くさいと言う様に緩んだ鳶色の瞳。そして一週間前と変わらずの無表情。

 そんな彼女が、なんで


「おっす、黒ちゃん先輩」


 授業の間の10分休みに、俺の前に現れているのだろう。


「? どうしたんすか? そんなバカみたいな顔して」

「失礼だな」


 この一週間、何回か顔を合わせたが今確信した。

 

「お前、俺を先輩だと思ってないだろ」

「まっさかー」

「おい、冷や汗でてるぞ」

「いやいや、これ冷や汗じゃないっすよ。いやだなぁ、これはあの、、、、、、


      ところで先輩」

「おい! 今ごまかしたろ!?」

「へ?」

「くそぅ! そんな可愛く首傾げても俺には何にも効果なんてないぞ!」

「黒ちゃん先輩、何部でしたっけ?」

「そこでスルースキル発動ですか!?」


 くっそ〜、こいつ小さいからあんま怒れないんだよな……。


「で、何部っすか?」

「や、バスケ部ですけど……」

「………………あぁ! バスケットボールのことですね」


 しばしの沈黙後、納得した様に頷く赤菜。


「日本って、よく色んなものを略しますよね。

 コンビニって、最初何の略か分かりませんでしたもん」

「確かに、知らない奴にとってはむずいかもな」

「うい。むこうじゃ、略すって事があんま無かったっすから」


 ……向こう?


「そういや、赤菜は何処出身なんだ?」


「トルクメニスタンです」


「……マジで!?」

「嘘です」

「…………だから、無表情で冗談言うなって。一瞬トルクメニスタンって何処だっけってマジで考えちゃったじゃねーか」

「ほんとはイギリスです」

「なんでさっき中東のマイナーな国言ったの!?」

「あ、授業開始一分前なんで帰りますね」

「またスルーっすか!?」

「んじゃ」


 シュタッ! 

 そんな子気味の良い音と共に赤菜が出て行ったのは


「って、こらぁ! アブネーから普通にドアから出てけよ!」

「窓からジャンプ、略して窓ジャンの方が早いんです」

「思いっきり日本に慣れてんじゃねーか!!」


 ったく、敬語苦手キャラはどこいった。

 …………………………あれ? ここ、二階じゃね?


     *


 キーンコーンカーンコーン……

「じゃ、ここは覚えておく様に。夏休み前の中間に出るからな〜」

『ありがとーございましたー』


 …………中間テスト……かぁ。

 俺みたいなバカには辛い関門だよな。つか、ここが2期制の学校でよかった……。


「よっ。飯食おーぜ!」


 なんて俺が考えていると、急に後ろから声がかけられた。

 どの男子だと思ったが、声が男にしては高い。つまり、


「お前か、鷹山」

「だーから、鷹山じゃなくて青葉でいいっつてんだろー」


 俺に声をかけて来たのは同じクラスの鷹山 青葉(たかやま あおば)。黒髪黒目、背は高め、そして耳には3つのシルバーピアス。いわゆる、不良。ちなみに性別は女である。


「つか、お前四時間目いなかっただろ? 何処いってたんだよ」

「んぁ? おれか? 少し、人探し」


 ちなみに、性格は男である。


「人探しぃ?」

「おう」


 俺の前の奴の椅子を勝手に使い座ると、彼女は俺の机の上に弁当を広げた。

 ソレに習って、俺も鞄から弁当を取り出す。


「何でまた?」

「ちょっとな。

 中一で入学して来たんだけどよ、そいつ、おれの従姉妹なんだ」

「へぇー……」

「この学校って、大抵の奴が小学校から上がって来るだろ? だから孤立してたらアレだし……」


 こいつ、見てくれは不良なのに何か妙に優しいんだよな。


「……あれ? でも、何で今になって?」

 

 俺が言うと、鷹山……いや、青葉の頭からピキッという音が聞こえた。

 ………………………………あ、触れたらマズかった……?


「……おれのバカ親父が、おれに伝えんの昨日まで忘れてたらしい」

「…………」

 

 それはそれは……なんと言うか……


「で、でも、さすがに友達くらい出来てんだろ?」

「いや、そーとも限らねーんだよ」

「は?」

「なんつーか……あいつ、面倒くさがり、……なんだよ」

「えー、でもさすがに友達いないってことはねーだろぉ」

「…………だといいんだが」


 ちょ、お前の従姉妹どんな奴なんだよ。と、本気で言いたくなった俺だった。


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