「雨女を惨殺☆ 〜バイクで引き摺って太平洋に沈めようぜ!〜」
「って事で」
「おう」
「雨女を惨殺☆ 〜バイクで引き摺って太平洋に沈めようぜ!〜
の始まりっす」
「ごめん、色々と話が急すぎて分からない」
しかも惨殺て……
「は? なに? 黒夜馬鹿なの?」
「え、黒ちゃん先輩馬鹿なの? 死ぬの?」
「死なねぇよッ!
つか、アレだろ? 妖怪は学校の生徒にも影響を与えるからやっつけるぞ的な」
「やっつけるとかww」
赤菜笑うな。
つか、お前は惨殺とか、ストレートに物を言い過ぎなんだよ……
「で、何時から雨女を惨殺☆ 〜バイクで引き摺ってコンクリに詰めて北極海に沈めようぜ!〜 を決行すんだ?」
「をい。何か雨女の扱いが酷くなったぞ」
「今からっす」
「今からか!?」
「ちょ、俺スルーされたんだが。
しかも今からかよ。急過ぎね?」
俺の台詞に、赤菜は小さく首を振った。
そして窓の外に目をやり、
「今日の方が……いや、なるべく早い方がいいっす。
被害者がでたら、嫌なんで」
*
「って事で、雨女を探します!」
「そっから!?」
「うい。だから急いでるんすよ。
てか、ぶっちゃけていいすか?」
「なんだ?」
「急いで駆逐しないと……
ゴールデンタイムのアニメ見逃す……」
「ぶっちゃけたな!?
さっきまでカッコいい事言ってたのに!」
「あ、カッコよかったすか? あざーす」
あざーす、て……
けど、アニメ一つに一生懸命になるとか……赤菜もまだ子どもだなぁ
「じゃ、雨女探すか」
「うん!」
そう言って、俺ら三人は校舎を一階から徘徊し始めた。
放課後の為、教室は部活動で使われていたりしていて、廊下まで話し声が聞こえてきた。
「……そういや、青葉は何部入ってんだ?」
「そういや赤菜。雨女の情報は何処で手に入れたんだ?」
「え、ちょ、青葉!?」
なんか、俺の存在自体が無視された……?
「ggった」
「Go●gleかよ!」
情報に信憑性がねぇ!
「ちなみに、自分が見つけたサイトでの情報だと、雨女はカッコいい人の背後に現れやすいらしいっすよ」
「へー……ソレも信じられるのか……」
「さー?
あ、もしかして今黒ちゃん先輩の後ろにいたりして」
「ねぇだろ。黒夜の顔面偏差値平凡だから」
「何で俺じゃなくて青葉が否定すんだよッ!」
「あ、黒ちゃん先輩涙目」
「べ、別に泣いてなんか……」
「……そうか、じゃぁ、そのお前の目から流れてる液体は汗って事か?」
「そうだ! 汗だ!」
「じゃぁ、黒ちゃん先輩の目から流れてる液体は硫化銅って事っすか?」
「なんでそうなった!?」
硫化銅て……俺の目、今頃溶けてんじゃねぇか
「あ、じゃぁ青葉姐の後ろにいたり」
「おれ? ははっ、まさか」
【いや、でも鷹山さんカッコいいよ?】
「そうかぁ? ありがとうな」
「うん。青葉姐はカッコいいよ!」
【少なくともそこの男子よりは】
「黒夜と比べんなよー」
「ひでぇ!」
【うふふ】
ん……?
「「「誰だお前ッッ!!?」」」
【えっ!? わ、私ですかぁ?】
「あんまりにも自然に会話に入ってたからスルーしたけど、誰だおまえ!」
【え、そ、そんな怪しい者じゃないです!】
赤菜が無表情のまま眉毛をつり上げ、青葉の後ろにいた女子を指差しキッ! と睨む。
一方、赤菜に指差された女子は、おどおどしながら俺らの方を見て来た。
青味がかった灰色の天然パーマ気味の髪をツインテールにし、知らない学校のセーラ服を着ている。
【わ、私、雨四季 藻と言います。
あ、職業は
雨女……です】