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会いたくて震度5前編


目覚ましが10度目の雄たけびを上げた。

そろそろ11時、起きてやるか。

いやあ王子様と今晩デートだと思うと、私の女という女が騒ぎだしてとまらないわ!

とりあえずパンツ汚れてるし、お風呂にはいろっと。

今日は特別に……薔薇の香りのバブーいれちゃう!セレブ、私セレブだわ。なんと2個いれちゃう。惜しげもなく2個も。こんな狭い体操座りしないと全身入らない浴槽なのに。


そしてすぐお湯溜まる。もうエコ。さらに浴槽半分くらいのお湯で、あとは私の体積によって満たされる浴槽。

軽く体を流し、そっと足先から入るとみせかけてダイブ!

「んぎもぢぃぃぃいいいいいいいいいいいバブーぎもぢぃいいいいいいいいいいのぉぉおおおかしくなっちゃうぅううううらめぇえええええ」


おっと、お隣の童貞苦学生が私のことセレブビッチだと勘違いして襲ってくるかもしれん。変な声上げるのはよそっと。


足の爪の間から、耳の穴までくまなく洗い流す。股はいつもの3倍洗いました。完璧だわ。


そんなこんな、めくりめく妄想をひろげながら風呂を終える恵。

冷蔵庫に向かい、ペプシネクストに手を伸ばす。腰に手をあて、グビグビと。


「っぷはぁ、Go、NEXT!ってあたしはブルーローズか!きゃははっ」

最近見てるタイガー&バニーというアニメのキャラのマネをして一人ノリツッコミする独身。なんとも悲しい絵だろうか。


しかし冷蔵庫を開けたときに食材がないことに気付いた。朝兼昼飯を買いにいかねば。

サンダルをはき外に出る。








「よくねむれたかな?」



いた。





ムスカが。いつもの名言をしゃべりながら。

顔はあきらかに怒っている。え、なんで?


「よくねむれたかな?と、聞いている」


「え、あはい、おはようございます……」


「いいたいことはそれだけかね」


どうしようこんな怖いムスカさんみたことない。やばい、撃たれる。


「帰るとしよう。君とはもう会うことはない。サラダバー」


そういって帰ってしまった。私何かしてしまっただろうか。

昨日のメールと彼の言葉を思い出す。




家まで行くので6時に家の前でまっていてくだされ

よくねむれたかな?



 ま                さ               か




朝の6時からずっと待ってた?!?


やっちまった!!ていうかおかしいだろ6時集合とは確かにいったけど常識的に考えて18時集合だろおいいいいいいいいいいいいいい、やばいやばいやばいやばいとにかく電話して謝ろう!


出ない……完全にぶちギれてる。そりゃそうだ、ムスカさんからしてみれば、私から6時に集合といわれて、ちくしょう今から寝ても準備の時間いれてほとんど睡眠時間とれないじゃないかあの雌豚って思いながらもちゃんと約束の時間にきて、あげく家の前で5時間も待たされたのに、私からのお詫びの言葉のひとつもないときたもんだ。殺されなかっただけマシだ。とにかくメールしてみよう。


自然と涙があふれてきた。セレブへの道が絶たれるかもしれないことではなく、申し訳ないことをした、という罪悪感から。


件名

読んでくれると嬉しいです


本文

ムスカさん本当にすいません。6時と自分でいってたんですが、18時のつもりでした……。

夜までメールつき合わせてしまったのに、ずっと朝から待っていてくれてたんですよね。。

私の説明不足です、本当にすいませんでした。

できることならあってお詫びがしたいです。本当にすいませんでした。

返信いつまでもお待ちしています。







私なんでこんな口下手なんだろう、ぜんぜん謝りたいって気持ちが文章にならない。

最後メンヘラみたいだし。うわああああん


ずっと布団で携帯を握り締め泣いていた。太陽が沈みかけたころメールがきた。


件名

Re:読んでくれると嬉しいです


本文

18時に私の家で。




よかった。ただひたすらにそう思った。返信がこなかったら私は永遠に布団の中だったかもしれない。

服も髪を顔も整えず、すぐに家を飛び出した。サンダルで。

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