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会いたくて震度3後編

「いらっしゃいまっふっwwwwwww」

びしっときめた年頃の女性が接客にきてくれた。ムスカ大佐の格好をみて耐えきれず一度噴き出したが、すぐに持ちこたえた。ここは一杯800円~という高級喫茶店。当然といっちゃ当然だが、一人でも友達ともこんなところにはもちろん来ようとすら思えない。

「二人です。禁煙席で。」

「かしこまりました。こちらへどうぞ。おきまりでしたらこちらのボタンで呼び出してください。失礼します。」


「何にしますか?」

「ふむ。」

ムスカがこちらを凝視してくる。怖い。けどカッコいいなやっぱ。イケメンはムスカでもイケメンだ。

「あ、ここはエスプレッソがおいしいって書いてありましたよ。」

そういえば下調べしていたんだった。私って準備万端じゃないとだめなタイプなの。

「ではそれを頂こう。」

そういえばこいつ、店内でもサングラスはずさないのか・・・・まあいい。正直恋心は少し冷めたが、痴漢から助けてくれたことは事実。誠心誠意お礼をしよう。

そして注文の品をもって、接客をしてくれたウェイターがエスプレッソを運んできた。

「エスプレッソでございます。」

湯気とともに、気品感じる今までに嗅いだことのないようないい香りがしてきた。

「うわぁ、いい香りですね。」

「こちらはOO産の一日に20個しかとれない豆をつかってまして~」

ウェイターが誇らしげに説明を始めた。するとムスカも動いた。誇らしそうに。

「たしかにいい香り。ふむ。これは僅かだが心ばかりのお礼だ。とっておきたまえ」

そういって説明をしているウェイターにチョコレート金貨銀貨を手渡す。

「あ・・・・ありがとうございます。」

「気にしないでくれたまえ。王たるもの、当然のことだ。」

「し、失礼します。」

か・・・・・帰りてえええええ。しかももう王になったあとのムスカ設定かよwwwwwwwwしかし、昨日デートコースをいってしまった。喫茶店、ボーリング、BARだ。まだそうはいかない。


「おいしいですね、エスプレッソ。」

「はは、そうだな。おっと、すまない、電話だ。」

「あ、はいどうぞ。」

そういってカバンから馬鹿でかい電話をとりだす。何時代だよ。

「私はムスカ大佐だ。ロボットにより通信回路が破壊された。緊急事態につき私が臨時に指揮を執る。ロボットは北の塔の少女を狙っている。姿を現した瞬間をしとめろ。砲弾から信管を抜け。少女を傷つけるな!」

店内に響きわたる大声でムスカ大佐は叫んだ。店員があわてて飛んでくる。

「大変恐縮ですがお客様、店内ではお静かにお願いします。」

言葉は周りに気を使い怒っているが、顔は臨界点を突破しそうなほどゆがんでいた。ウェイターも大変ですね。笑えよベジータ。

「すいません!」

しかし恥ずかしいので謝る恵美。ちょっとキモオタかなって思ってた私がバカだった。筋金入りの変態だよ。

「聞きたまえ店員、私の偉大な言葉を!!お 会 計 だ !!」

「わかりましたからお客様wwwwお静かに願います!っふんぬwwwwwwwwwww」

高らかな宣言、たえきれるわけもなくふんぬっといって消えていったウェイター。

逃げるように会計をすませ、ボーリング場に向かった。


ボーリング場で表示される名前、もちろんムスカだった。

そしてムスカは自分の番になると

「みせてあげよう!ラピュタのいかづちを!!」

と、わざわざ投げる前に顔だけこちらに向けて言って、完璧なフォームでストライクをとる。

「はははは、見ろ、ピンがゴミのようだ!!」

この1セットを私は11回聞いた。となりにいたアベレージ250点はありそうなセミプロっぽい人が泣いていた。いやだよね、こんなムスカにやられたら。

「そんな馬鹿な格好してるやつに負けるなんて・・・」

うわあ、心の声が聞こえるよ、てかいってたよ。セミプロの人、ラピュタのいかづちで焼き払われるよー。

すると泣いているセミプロに近づいたムスカ大佐は

「君のアホ面には心底ウンザリさせられる」

と耳元で呟いた。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

また逃げるように飛び出る。まさか言いにいくとは。しかしあとはBARだけだ。あそこはショーがある。すこしは静かにしてくれるだろう。


BARに向かうと、おしゃれなお兄さんがでてきた。もちろん顔はゆがんでいる。笑いたいけどわらえないんだろう。かわいそうに。笑っていいんだよ。

「ただいま混み合っておりまして、少々お待ちいただけますか?」

「3分間だけまってやる。」

「ぬっふwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

耐えきれずお兄さんが鼻水をだしながら噴き出した。ああ、イケメンなのに。

「態度をに気をつけたまえ。君はラピュタ王の前にいるのだ。」

両腕を腰にあて、えっへんポーズ。胸を張るな胸を。

「しつwwwwwwwwwしつれいしましたwwwwwすぐに準備wwwしますwwwぬふっwww」

軟体動物のようにクネクネしながら店に戻るお兄さん。ああ、3日は思い出し笑いに苦しむだろうな・・・


「あの・・・ムスカ大佐さんって何者なんですか?あと本名を知りたいです。だめですか?」

ずっと気になっていた。ただのイケメンニートではない。一体何者なんだ。名前は本当はなんなんだ。

「いいだろう。私は古い秘密の名前を持っているんだよ、リュシータ。私の名はロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。

君の一族と私の一族は元々一つの王家だったのだ。地上に降りたとき二つに分かれたがね」


私の名前はリュシータじゃねえええええええええええってかだめだ、完全に今日はムスカ大佐なんだ。なにいっても無駄。てかムスカ大佐だからもうムスカ大佐じゃん。


数分後、中に案内された。そこではダンサーとジャズプレイヤー達がショーをしていた。

「カッコいい!素敵ですね、ムスカ大佐さん。」

「素晴らしい!最高のショーだと思わんかね。」

「はい、思います!」

恵美はムスカとの会話に慣れてきていた。うしろで店員がまた噴き出していた。



そして帰り道。ムスカと恵美は夜道を進んでいた。以外と会話ははずんだ。

「もうすぐ私の家につく。遊びにくるかね?」

「そうなんですか?でも明日朝はやくに用事がありまして・・・すいません。また誘ってください。」

疲れたのではやく帰りたかった。ああ、ジャグジー付きのお風呂でゆっくりしながらキングベッドで眠りたい!白馬にのったイケメン王子様こないかなぁ。

「そうかね、残念だ。ではここでおわかれだ。私の家はここなんでね。楽しかったよ。礼を言おうリュシータ。」

そういって指さした先はここらへんで有名な金持ち、伊集院家の豪邸であった。なんと家で白馬をかっている。もちろんジャグジーだしキングベッドだし、その他もろもろだろう。



マジかよおおおおおおおおおお超金持ちじゃねええええええええかああああああああジャグジーとキングベットどころのさわぎじゃないだろこりゃあああああ

「それでは失礼。」

「ま、まって!!やっぱりいってもいいですか?!」

「ふ、もちろんかまわないよ、歓迎しよう。しかし用事があるのでは?」

「あ、そういえば・・・明日、明日の夜いってもいいですか?!」

「もちろんだ、紅茶を用意しよう、それではアディオス。」


「お帰りなさいませ、おぼっちゃま」

「ただいまwwwwwwwwww今日は楽しかったでござるwwww」

「おぼっちゃまに言われたとおり、草津温泉をまるまるもってきておきましたよ。」

「うはwwwwww㌧クスwwwwwwww」



かっこいい。金持ちだと思った瞬間貴族の格好でも許そうと思えた。むしろ最後の私との会話なんて紳士じゃないか。

それとニートな理由がわかった。親が超超金持ちなんだ。それに格闘技も素晴らしい(アニメだけど)し、ボーリングもできる。きっとやろうと思えばなんでもできるんだろう。天才型ってやつだ。

みつけた、私の白馬にのった王子様。


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