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会いたくて震度3前編

「ただいまー」

突然連絡もなしに帰ってきた娘をみて驚く母親。ちょうど朝ご飯をつくっていたようだ。

エプロン姿でお出迎えしてくれた。

「あら恵美、どうしたのいきなり。しかも綺麗な格好しちゃって。彼氏でもつれてきたの?」

「違うよ、ちょっと忘れ物取りに来たの。でもその予想も近々あたるかもよー。」

ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら部屋にいく恵美。玄関入ってすぐ右にある階段をのぼり、懐かしのマイルームへ。


「あったあった。喜んでくれるかな?フフフ、限定ものだし、小さい時に買ったやつだからムスカ大佐さんは持ってないだろうし。」

ところどころにかぶっている埃を濡らしたハンカチでふきとり、外に向かい、大事そうに車の荷台にのせた。


「あら、本当に忘れ物取りに来ただけみたいね。朝ご飯食べていく?お父さん喜ぶわよ。」

「いや、急いでるからいいー。さっきお父さんにもあいさつすませたし。じゃあ、またくるね!」


愛車に乗り込み、CDを流す。今日の気分はだんご三兄弟無限ループだ。


ムスカ大佐さん、私の服装気に入ってくれるかな・・・・それと、どんな格好でくるんだろう、楽しみ。

恵美は短めのブーツにニーソックス、紺に近い黒色の少し短めのスカート、スリムタイプの胸元が少しはだけ、鎖骨の見える無地シャツ、モフモフした肌色の上着を着ていった。

昨晩メールのあとに一人ファッションショーで決めたものだ。他にも小物でリングとピアスをしている。ピアスは外そうか迷ったが、結局つけることにした。


団子三兄弟が130回目ほどのループになったとき、家についた。本当は直接向かおうとおもっていたのだが、香水をつけわすれたのだ。

首筋の腰元に軽く振りかけ、シルバニアファミリーを持ち、電車で集合場所に向かった。

30分前についてしまったが、私から誘ったんだ、またせたら悪い。近場の本屋などで時間をつぶすこともなく、そこで待機することにした。


集合時間の10分前になると、信号つきの横断歩道を挟んで、前方にムスカ大佐の顔が見えた。サングラスをかけているようだ。背が高いので人ごみでもわかる。首から下は人ゴミでみえない。


ああ、なんてカッコいいんだ。誰がみても美系。そして優しくて面白い(むりやりそう解釈することに昨日した)。最高の男じゃないか。無邪気に手をふってくる。恵美も軽くとびはねながら手を振り返す。しかし、目の前に現れたムスカ大佐を見て、恵美は驚愕することになる。


「ははは、見ろ、人がゴミのようだ!!!!」

そう大声で人ゴミで叫ぶムスカ大佐。いや、私も思ってましたよ、人ごみって。でもゴミのようだとは思ってません。

ムスカ大佐の服装は、紅いピッチピチのパンツ、茶色の靴、白のYシャツの上に紅い貴族を思わせるような上着、そして肌色のスカーフを巻いて、髪型は七三だった。

そう、ムスカ大佐の完コスである。あまりの完成度にびっくり。


岡田君じゃないじゃん、ムスカ大佐じゃね?いやむしろムスカ大佐本人だろ。


あまりの驚きに、声も出せない恵美。

「流行りの服は嫌いですか?」

声モノマネも完璧。セリフも。ムスカ大佐の声優はコイツだったのかというほどの完成度。

あせりを隠すために早口で恵美は言った。

「いや、そんなことない、すっごい素敵です!これ、約束のシルバニアファミリー。」

左手でもっていたシルバニアファミリーを差し出す。

「素晴らしい・・・これは僅かだが心ばかりのお礼だ。とっておきたまえ。」

そういってチョコレート金貨と銀貨を私の手にむりやり握らせた。

「ありがとうございます!」

い・・・いらねー。ゲーセンでとってきたのか、これは。一人でクレーンゲームでチョコとって喜ぶムスカ大佐。想像するだけで死ねる。しかもちょっと溶けてる。


とりあえず目的のデートに向かうことにした。最初は喫茶店だ・・・とりあえずちゃんとお礼をいわなくては。

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