4歳の誕生日
多分、2週間ぐらい過ぎたんだと思うけど、何度か父さんと会った。
まだはっきりとは見えて無いんだけど。
どうやら仕事でしょっちゅうどっかに出かけてるらしい。
会いに来る度に無精ひげがじゃりじゃりって音がする程、俺に頬ずりして来る。
愛情表現は分かるけどさ、一言言わせてくれ。
ちゃんと髭剃ってから来い!
そろそろ生まれてから1か月ぐらい過ぎたんじゃないでしょうか?
明るくなって暗くなって明るくなってってのを数えてたんだけど、最初のころを数えてないし、昼夜関係なく寝ちゃったりしてるから、正確には1か月以上は経っているんだろうと思う。
んじゃお前はその間、何してたんだ? って思うだろ?
実は色々と試してました。
まずは異世界転生とか転移とかでお約束のアレ…ステータスボード!
俺自身のステータスをまずは確認せねば!
神様がチートだって言うぐらいなんだから、魔法が使える! とか喜んで、赤ん坊が魔法を暴発させて大怪我とか嫌じゃん?
まあ、所詮は赤ん坊なわけだから、レベルも魔力も低くて当然。
きっと鍛錬で伸びるって感じじゃないかな? よくあるよね、転生物とかでさ。
子供の頃から何度も何度も魔力を使い切って枯渇させて、どんどん魔力量の最大値が増えて行くとか。
だったら、やっぱまずはステータスを確認しなきゃ!
ってことで、行きますよ? 逝っちゃいますよ? 言っちゃうからね?
『んぎゃぁぁぁ、ぎゃああ!』(ステータス・オープン!)
何じゃこりゃ! 言えてねーじゃねぇか! って、赤ん坊だから当たり前か…。
念じるだけで…は出ないよな。だって、さっき心の中で『ステータス・オープン!』って考えてたもんな。
き、きっと発声が大事なんだよ! うん、そう思おう!
……そうであってくれたらいいなぁ…。
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俺が生まれてから、多分2年ぐらい過ぎたんだと思う。
だって、両親が『おめでとう』って言ってくれたから。
『生まれてくれてありがとう』とも言ってくれた。
ってことで、多分俺は晴れて2歳児だ
思い出せば、生まれてこの2年は辛く長い生活だった。
具体的には、う〇ちとおし〇こした後のお世話をしてもらう時、両足もたれてケツの穴まで綺麗に拭かれた事だ。
あれは精神年齢42歳の俺にとっては、かなり辛い。
誰だ羞恥プレイも結構いいかも? なんて言った奴は! ……はい、俺です。
うわーーーん! もう特殊プレイはいーやーだー!。
新しい扉なんて、閉じてしまえーーーーー!
あ、あとやっと俺も1人部屋に移ったんだ。
それまでは両親と一緒に寝てたんだけど…これが何か気まずいんだよね。
具体的な解説は控えたいと思うが、数夜おきに父さんと母さんが、ベッドの上で柔道の寝技をしてるんだよ…俺の横で。
まあ、そりゃ夫婦なんだから構わないんだけど…その時間は、精神年齢がおっさんな俺にとってはかなりの苦行だ。
横で赤ん坊が寝てたって、普通の赤ん坊ならきっと何にも感じないんだろう。
だから両親だって、ごにょにょ…したって平気なんだと思う。
だけどさ…何度も言うけど、精神年齢おっさんな俺の横でそれやられると、かなりクルんだよな…だから、一人部屋に移ると決まった時は、マジでうれしかった。
ちなみに、横でむにゃむにゃしてる両親を見ても、何も興奮せんかった。
肉体年齢的なもんなのかもしれない。
でもね、 母さんのおっぱいだけは良かった。
もう今でも吸い付きたいほど愛おしい。
あれを父さんにだけ吸わせるのは勿体ない!
あれは俺との共有財産にしてもらわねば!
いや、それはそれで倫理的に問題あるな…。
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ちなみに、 正しく『ステータス・オープン!』と発声しても、何も起きないという現実を突きつけられたのは、実は3歳の誕生日の日だった。
俺は絶望した。
そんなこったろうと思ったよ、ちくしょう!
3歳の誕生日は、特に何も目出度い行事は無かった。
この星では、2歳、4歳と偶数歳で誕生日を祝うのが普通らしい。
なので、3歳ではな~んにも無かった。
ちょっと寂しい気がするけど、この星での風習なら仕方ない。
取りあえず、誕生日は何の因果か、2月15日という事だけわかった。
いや、俺にとってはステータスを見ることが出来ないという、チートにあるまじき悲しい現実を突きつけられた誕生日だったかもしれない。
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今日は、生まれてから4年目の2月15日。
つまりは、俺の4歳の誕生日だ。
皆が今日を祝ってくれた。
さて、俺が生まれた家はどうやらこの星? 国? では、そこそこの立場らしい。
貴族とかかな? まだ良くわからんけど。
なんたって、たかだか4歳児の誕生会に、色んな奴がプレゼント持って来やがる。
4歳児に頭を下げて、「利発そうなご子息ですね」「将来が楽しみですな」とか言ってくるけど…あのなぁ、4歳児に利発そうも何も無いだろう!
将来? それは育て方と環境次第ですよ!
まあ、俺はすでにおっさんだったんで、その辺の子供よりは利口ですけどね?
そうそう、ここらでちょっとばかり家族の紹介をば。
父さんの名前は、ヴァルナル。
長身で結構引き締まった体で、軽く後ろに流したティシャンブロンドが格好いい。
彫の深い顔をしたなかなかの二枚目で、琥珀色の瞳がワイルドでかなりいけてる!
母さんは ウルリーカ。
身長は父さんの肩ぐらいで、長いプラチナブロンドに色味の深い碧眼のこれまたかなりの美女である! しかも俺好みのキュッと括れた腰と推定Dカップのおっぱいとクイッと上がったお尻という、もう完璧なスタイル! どこかのモデルさんか女優さんと言われても通用します。
父さんも母さんも共に22歳。
つまり、18歳の時に母さんは俺を産んだという事。
結婚は、二人が17歳の時だったと聞いたけど…地球だったら高校生やんけ!
いつも父さんが出かけるときは、チュッチュしてるラブラブ夫婦。
そしてお待ちかねの自己紹介。
俺の名前は、トールヴァルド…だって。
本日で4歳。この家で鏡を見た事がないので、自分の顔をはっきりと確認できないが、あの夫婦の子供が不細工なわけない……ないよね、神様?
まあ顔を洗う時に水桶に映った顔を見る限り、髪も瞳も母さん譲りのプラチナブロンドに碧眼。
子供っぽい顔だけど、まあ今後の成長に期待かな。
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さてさて、転生の時に神様からもらった便利グッズ詰め合わせなんだけど、実はまだ使えていない。
唯一、3歳の誕生日に、神様? からだと思うけど、メッセージ? 神託? めっちゃ短文だけど、急にピコーン! って頭に浮かんできた。
『便利グッズは取扱注意の品なので、5歳までは封印しています。
追伸 お前はもう死んでいる
By けんちろう 』
ふざけんなよ! なんだこのメッセージは! そりゃ俺は1回死んでるだろうよ!
その時の記憶にはないけど、死んだのが間違いないのは分かってるよ!
ってか、神様よ! お前は一子相伝の暗殺拳の伝承者なのか?
絶対に日本の漫画かアニメ見てるよな? んで、俺をおちょくっとるよな!?
By けんちろう? お前、ふざけんなよ! ちょっとツラかせや!
すぅーはぁーすぅーはぁー……深呼吸深呼吸……。
すみません、取り乱しました。
もう、落ち着きましたんで、ご安心ください。
さてさて、メッセージ本文の内容なのだが、めっちゃ謎が残る。
封印してますって、一体どこに封印されてるんだろう?
まあ手紙っていうか、伝言もいきなりピコーン! って頭の中に浮かんだから、異次元とか別世界とかでどうにかなってるんだろうと思っとこう。
今のところ、そこそこ幸せなんで、あんまり気にはしてない。
だが、このメッセージの追伸から後は、なんかめっちゃむかついた!
俺のは前世での親は転勤族だったんで、子供の頃から各地を転々とした。
だから、当然ながら幼馴染なんていなかったし、転校した先の学校では俺は毎度毎度当たり前のように結構な虐めにあった。
まあ、虐め問題が社会に浸透するより遥かに昔だから仕方ない。
だからと言うわけでも無いが、その頃から空手を始めた。
何故か楽しくなってかなりのめり込んでいって、気づけば4段までなっていた。
指導員として子供にも教えていたんだが、それだけで生活なんて出来るわけもなく、空手と両立できる仕事を転々とする生活だった。
一応、結婚もした。恋愛結婚だった。子供(娘)も1人出来た。
でも仕事と空手に夢中で家の事を顧みない俺だったから、最後には嫁さんに愛想をつかされ結局は離婚した。
子供は元嫁さんが連れて行った。
落ち込んで仕事が手つかずになった俺は、仕事をクビになった。
そんな時、ほんの繋ぎの気持ちで、警備業法という法に触れない限り誰でもなれるっていう、万年人手不足の日払いの警備員になった。
言っとくが、自宅警備員じゃないぞ? ちゃんとした警備会社の警備員だ。
最初は日給7,200円スタートだったよ。
ずるずると続けていくうち、気が付けば資格も取ってベテランって言われる様になってたけどさ。
前世はその仕事の最中に最後を迎えたんだったなぁ。
思い起こせばさみしい人生だった。
だから今度は幸せを掴みたい。
せめて家族との時間は大切にしたい。
今度こそ幸せな家庭を築きたいなあ……便利グッズで何とかなるだろうか?
あの神様だと、めっちゃ心配だ…。




