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俺、誕生!

 扉に吸い込まれてから、一体どれぐらいの時間が経ったんだろうか。

 確か神様が他の星に転生って言ってたけど……ここは一体どこなんだ?

 すごく狭くて息苦しい……って、息してないぞ俺!

 でも苦しくは……ないな。

 あったかいし、すっごく落ち着く。

 思いっきり手足を伸ばすと、柔らかくも弾力のある壁が押し返して来る。

 なんでだろうか、…愛に包まれてるって感じがする……。


 俺って勘だけは良い方なんだよ。

 これってあれだろ? 胎児に転生したんだ!

 って、生まれる前から自我持ってるって、どんな状況なんだよ、神様!

 別に転生はいいよ、嫌じゃないさ。

 むしろ大歓迎だよ。

 でもさ、生まれたら羞恥プレイ一直線だぞ!?

 おっぱい吸って、おむつ替えてもらってって、赤ちゃんプレイじゃねぇかよ!

 俺、死んだ時42歳だったんだぞ!

 そりゃ、結婚してたから童貞じゃなかったし、風俗だって行った事もある。

 けどそんな特殊なプレイを頼んだ事なんて、人生で一回もないぞ!

 俺はノーマルなプレイが好みだ!

 まあ……出来れば胸は手の平からちょっと余るぐらいが好みだ。

 具体的にはCカップ以上Dカップ未満がいい。


 って……何を力説してんだ、俺!

 そうじゃない! そうじゃないんだ! 

 

 神様、赤ちゃんプレイだけは何とかしてください!

 逃れられない運命なのは重々理解してまけど、だからこそ、せめて…せめて俺の自我は赤ちゃんプレイ終了まで封印してください!

 せめてせめてって、攻めてって意味じゃねーからな! 

 言っとくけど、フリでもねーからな!

 

 だから、マジでお願いします、神様!!


 ▲

 

 願いなんて聞き届けられるわけ無かったよ。

 もう、色々と諦めた。

 んで改めて今の状況をじっくり感じつつ考えてみた。


 いやぁ~、思ったよりも母親の子宮ってのは良いもんなんだなぁ。

 暖かくて何とも言えない、優しい空間だよ。

 母さん(と呼ぶことにした)の心臓の鼓動が、やけに安心感を与えてくれる。

 そういえば泣いてる赤ちゃんに母親の心音を聞かせると泣き止むとかなんとか聞いた事あるけど、何かわかるわぁ。


 寝て起きてまた寝て……どれぐらいの繰り返しただろう?

 もうちょっとこのままでも良いかな。


 と思った時期もありました。


 痛い痛い痛い! 頭が締め付けられる!

 きゅ、急になんだ!? 頭蓋骨が割れるーー!! 

 息してないけど、めっちゃ息も苦しい気がする!!

 いきなり何が起きたんだ!?

 俺がどんな悪い事したって言うんだー!

 そりゃエスカレーターですごく短いスカートのJKの後ろについてむっちり太ももむふふふふ…とか思った事はあるけど、中は見てないからなー! 盗撮もしてないぞー! 一万円拾ってこっそりポッケにナイナイしたけど…それだけでこんな痛い思いしなきゃ駄目なのか!?

 もうムチムチの太もものJK見つけても後ろ追っかけません!

 もうネコババもしませんから!

 今度お金拾ったら交番に届けますからー!


 だから、神様たすけてー! 



 ガフッ!


 あの万力で締め付けられるような苦痛からいきなり解放された後、なんか口から色んなものがいっぱい出た気がする。

 喉? 肺? が自由になったと思った瞬間、俺は思わず全力で叫んでいた。


「んぉぎゃー! んぎゃー! んぎゃー!」

 

 ▲


 出産に立ち会ったのは、治療の魔法を使える経験豊富な産婆さんと、助手はまだ年若い同じく治療魔法使いの女性であった。


「元気な男の子だよ。さあさあ産湯で綺麗にしてあげようね。」


 そう言いながら、産婆さんは赤ん坊を助手へとそっと手渡した。

 無論、産まれたて赤ん坊を産湯で清めるためである。

 

 母体も赤ん坊も無事であった。


 産婆さんは母体に産後の処置を施し、ケアの為の魔法を掛ける。

 魔法とは言っても、自己治癒力を促進する程度しか効果は無いのだが、それでも これで産後の出血や諸々の感染症も問題ない。

 出産で切れてしまった会陰の傷も、明日には綺麗に治るはずだ。


 産婆さんが丁寧に産後の母体の処置をしている間に、助手が赤ん坊に付いた血や諸々を産湯で綺麗に清めてた。


「さあ、可愛らしい赤ちゃんですよ」


 助手が綺麗にした赤ん坊を、清潔な白い布で包んで母親の横にそっと寝かせた。


「ああ…かわいい坊や。早くあの人に見せてあげたいわ…」


 母親は愛おし気に赤ん坊をそっと抱き寄せると、今は仕事で外に出ている最愛の夫の顔を思い出して微笑んだ。


 ▲


 ……ふう……何か色々とすっきりした。

 どうやら俺は無事に生まれたらしい。

 ここから俺の新たな人生が始まるんだ!

 始まるよね?



 明るくなったり暗くなったりは感じるんで、なんとなく一日は分かった。

 生まれてすぐは気が付かなかったけど、多分数え始めてから7回目は過ぎたと思うから、地球と一緒ならこれで少なくとも一週間は経ったんじゃないだろうか?

 

 この間の俺の生活なんだが…いろいろと吹っ切った。


 具体的には、赤ちゃんプレイでも母乳プレイでも何でも来い! ってね。

 まだ視界がぼやけて顔はよく見えないが、声からすると母親はずいぶん若い様だ。

 へっへっへ! 若い女のおっぱいをチューチューしてやんよ!

 下の世話までさせてやるぜ! 俺のピーやピーを見せつけてやるぜ!


 …………わぁーーーん!! どんな羞恥プレイだよーー!! 

 もう死にたい……いや、すでに一回死んでるんだが……。

 まあ、すでに覚悟はできてるし、今さら喚いたって仕方ねぇけど…。


 でも、羞恥プレイって……意外と良いかもしんない。

 なんか新しい扉を開いた気がする。


 いや、マジの扉を開いてくれたのは神様だったんだけど…。

 

 

 母さんからおっぱいを何回ももらったけど、結構、甘くて美味しい。

 んで、お腹が満たされれば、出るものが出る。

 自分で言うのもなんだが、たぶんかなり臭いはず。

 でも母さんは楽しそうに(雰囲気で)お世話をしてくれる。

 綺麗になったら眠くなる……ひたすらこのローテーション。

 

 そんなこんなを繰り返しているうちに、どうやら父さん(こう呼ぶ事に決めた)が帰ってきたらしい。

 何で分かったかと言うと、母さんが嬉しそうに俺を父さんに抱かせたから。

 父さんは母さんと違って抱き方が下手だったが、すごく優しい感じがした。

 あと、なんか両親がラブラブって雰囲気がめちゃくちゃ伝わって来た。


 うん、俺……ここで生きよう。

 この父さんと母さんの元で生きよう。

 ここで親孝行しよう。


 やっと実感がわいてきた。

 前世では両親にお別れも言えなかったなあ……。

 さようなら……地球の父さん、母さん。

 俺、この世界で生きていくよ。





 あ、う〇こ出ちゃった!

 「んんぎゃーーーーーー!」

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