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ヘッドホン・エスケープ  作者: リル
Epilogue Extra Split
44/45

Extra | 電子の大魔女と最後の観測

空間がふわりと歪む。鈍い振動とも呼べぬ、弱いけれど確かな震え。

その中心に――白いうさぎのぬいぐるみの姿をしたリルが戻ってきた。


だが、ロロはもうそこにはいない。

ただ、書きかけのノートだけが、静かにページを風にめくらせていた。


「ただいま偉大なる電子の大魔女様」

「おかえり、リル」


その声は、リルではない別の何者――

暗がりの奥から響いたのは、低く、静かで、奇妙な安心感と不気味さを同時に孕んだ声。


その声の主は姿を見せず、ただ響くだけ。

しかし確かに、世界を支配する何かであることは明白だった。


「ロロは、よくやったよ。

僕が用意した“語り部”という器に、きちんと収まってくれた」


リルは何も言わない。ただ、ゆっくりとノートを閉じた。


「彼は、神だった。創造者だった。 でもそれでは、物語の中に“入る”ことができない。

だから、僕は閉じ込めたんだ。 電子の海の中に、“記す者”として」


闇の中で、ふっと笑う声がした。


「語り部は、その物語に“存在”しなければならない。だったら、ロロは僕によって物語を綴り続ける存在となり、結果としてこの僕への語り部となった」


リルは一度だけ、顔を上げる。


「彼は気づいてるのでしょうか?」


その言葉に、電子の大魔女は、さぁ?と答えた。


「解らない事がある方が解る事も増えるでしょ」


ノートの中から、一筋の光が立ち上る。

新たな物語が、またひとつ芽吹く。

それは希望か、祈りか、それとも忘却か。


電子の大魔女の声は、最後にもう一度だけ響いた。


「さあ――ページをめくろう。次の、君の物語を」

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