第八話 巨大ゴーレム2
「……ダイキ! これ以上は危険だ!」
ハヤブサが叫ぶ。
しかし、いつの間にか左右、背後からもオークとゴブリンの群れが雪崩れ込んでくる。巨体のゴーレムは暴れ狂い、退路も完全に断たれていた。
……倒すしかない!
絶対絶命の状況だが……ここで脳裏に蘇るのはサラリーマン時代の出来事。
新規プロジェクトに配属され、何度も危機を迎えた。結局成功できず、リストラされてしまったが……
それでも、部署のメンバーを取りまとめて、困難に立ち向かった。
……困難の種類は全然違うけど……今度こそ、乗り越えてみせる!
「アスカ! もう一度だ!」
「はい!」
俺は矢継ぎ早に指示を出す。
「ユキ、マキオ!ゴーレムの動きを止めてくれ!」
「ハヤブサ、ジャネット!レーザーを撃った後の追撃をお願いする!」
「わかった!無理すんなよ!」
「ウォール!」「ロック!」
グガガガアア!
ユキとマキオが防御スキルでゴーレムを足止めする。
俺とアスカは、その隙にゴーレムの巨体を注視する。
どこかに……弱点、コアがあるはずだ!
五階建てのマンションと同じくらいの巨体。必死で見上げるが、なかなか上半身の先まで見えない。
極限まで集中した、その時!
俺とアスカの、腕と背中にある機械が変形し、ふわりと体が浮く。ゲームの戦闘機のように、上空まで自在に移動できる!
「と……飛んでる!」
集中すると、ゲームの再現度が上がるようだ!
ブオン!ブオォン!
ゴーレムが振り回す巨大な拳を紙一重でかわし、背後に回り込み、さらに旋回して正面へ。目を凝らして上半身を見渡す。
キラリ!
「ダイキ! 額に何かある!」
「コアが見えるぞ! 額を狙い撃ちだ!」
額の中央、岩肌の狭間でわずかに光る球体が覗いている。俺とアスカはオプションを縦に並べて、全ての攻撃を額に集中させる。
「レーザー!」
シュウウウウ!
青と赤の、鮮烈な光の帯がゴーレムの額へと伸びる。
ズジジ……ジジ……
グアアアアア
ゴーレムはよろめきながら、わめき散らす。
効いてるぞ!
さらに追い討ちを掛けようとしたその時。
グガガガガガア……!
ブオッ!ブオォッ!
バリバリバリバリ!
「うおおおっ!」
「きゃあああ!」
ゴーレムは身をよじりながら、防御スキルのウォールとロックを破壊して、激しく拳を振り回す。俺とアスカの戦闘機はギリギリで避けるが……ついに風圧で飛ばされてしまう。
ズガアン!
ズシャッ!
二人とも集合住宅の壁に叩きつけられる。追撃しようと追いかけたハヤブサ、ジャネットも吹き飛ばされていた。
「うう……大丈夫か?」
「く……なんとか……」
皆、深刻なダメージを受けている様子。魔力(?)が尽きたのか、スキルも解けている。
ズン!ズン!ズン!
怒り心頭のゴーレムがこちらに迫り来る。
その額はぱくりと割れて、コアがむき出しになっている。あと一撃……あと一撃なのに!
その時!がれきの奥で震えていたモモカが、ぽつりと呟いた。
「……みんな、死んじゃ……やだ……」
次の瞬間、彼女の身体が白い光に包まれる。――その光は上空に舞い上がって、やがてパーティ全体に降り注いだ。
「回復スキル! しかも、すごく強力な……!」
アスカが傷口をさすりながらつぶやく。
俺の体からも痛みが引いていき、力が満ちていく。
「助かったぞ、モモカ!」
ハヤブサががれきの中から立ち上がる。
「モモカの回復スキルは、一回きりよ! 次で絶対倒す!」
ジャネットも、がれきを押しのけて立ち上がり――全員再び、迫り来るゴーレムに向き合う。
……
魔力が回復し、またスキルが発動できる!
迷わず"サラマンダー"を選択。あと一撃で倒せるはず!
俺はジャネットとハヤブサにこれからの作戦を手短に説明して、アスカと再びゴーレムめがけて飛び立った。
シュウウウウー!
ブオオ!ブオン!
ゴーレムの怒りは収まらず、激しく腕を振り回している。飛ばされないよう慎重に避けながら、すべるようにゴーレムの正面へと機体を寄せる。
「ウォール!」「ロック!」
ユキとマキオが動きを封じる。そして、俺とアスカはゴーレムの額に照準を合わせて、叫ぶ。
「レーザー!」
「今だ! ジャネット、頼む!」
「オッケー!」
地上のジャネットが、全身の力を込めて杖を振る。
「ライトニング・フレアっ!」
バリバリバリバリ!
シャアアアアッ!
何本ものレーザーがコア目がけて走り……そして、そのレーザーには雷撃がまとわりつく。
エネルギーと雷スキルの合体!
轟音と共に、額のコア目がけて、エネルギー射線に雷撃を加えた――強烈な一撃が撃ちこまれる!
スジャャアアッ!バリッ!バリッ!
ウゴア……ァァ
アアアアアッ!
雄叫びを上げながら、再びゴーレムが地に倒れる。そこに待ち構えていたのが……ハヤブサ!
「一文字・斬撃!」
倒れたゴーレムに飛びかかり、額のコアを真っ二つにぶった斬る!
ウゴ……ウゴア……アアッ
断末魔の叫び声とともに、ついにゴーレムが息絶える。
「うおおおおっ!」
「やった!」
「すげえ! 倒したっ!」
パーティ全員、歓声を上げる。
ついに勝利!
おおおおおっ、勝ったっ!
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