第七話 巨大ゴーレム1
少し歩くと、視界の先に明るい光が差し込み——ついに地上へ抜け出した。
この地下鉄は、この地点で地上に出て、そのあとは高架区間がしばらく続く。どうやらこの世界の魔物は、線路を伝って移動する習性があるようだ。
ズシンッ……!
「きゃあああっ!」
さらに振動が強くなる。そこに混じって、わずかに悲鳴が聞こえた気がする。
「何か起きてる……急ごう!」
俺たちは線路の上を小走りに駆け出した。
高架の先で線路が二手に分かれる。
本来の路線は左へとカーブしていくが、まっすぐ進めば巨大な車両基地に行き当たる。
震源地は——その板山台車両基地に違いない。
ズドォンッ!!
車両基地では、巨大な魔物とギルドのパーティが激しい戦闘を繰り広げていた!
「あれは……ハヤブサのパーティ、スフィーダだ!」
「なに……あれ……」
アスカが絶句する。
対峙するのは……ゴツゴツした茶褐色の皮膚をまとい、ところどころ苔が生えた岩の巨体。
ユキも思わず叫ぶ。
「ゴーレム!あんな大きいの、見た事ない!」
さらに、その周囲にはゴブリンやオークの大群がうごめき、取り囲んでいる。
スフィーダは四名パーティ。ギルドで挨拶済みの顔ぶれだ。
「一文字流——斬撃ッ!!」
ズシャァァッ!
リーダー、ハヤブサのスキルはシンプルな物理攻撃。大剣を振り回してゴブリンの群れをなぎ倒していく。
「ライトニング・ブレード!」
バリバリバリバリ!バシャアッ!
杖を振るたびに、激しい雷が敵を丸こげにしていく。
ハヤブサと共に前線で戦うのは、雷のスキルを持つ、木谷ジャネット。20代後半、引き締まった体に、金髪をなびかせて颯爽と戦場を駆ける。
「ロック!」
少し後方で構えるのは、徳田マキオ。巨体ながらオタク。岩のスキルでパーティを覆う、防御担当。見た目は強そうだが……実は気が弱く、裏方に徹する。
「ぶつぶつ……こわいよお……」
そして、さらに後方――三角座りでガタガタ震えてるのは、上野モモカ。分厚い瓶底メガネをかけた、20代半ばの女子だが……よくわからない。
「うおおおっ!」
ズシャッ!スパァァッ!
切れ味鋭いハヤブサの剣と、雷撃、岩の防御。さすがトップクラスのパーティ、思わず見惚れるような美しい連携。
順調に雑魚を倒していくが……ハヤブサは険しい表情。奥に控える巨大ゴーレムは悠然と、ウロウロ戦場を歩き回る。何を考えてるのか……
グア……グアア……
いや、むしろ何も考えてないようだ。動きが全く読めない。
ガアアアアッ!
ズン!ズン!
突然、巨体を揺らして前線の二人に駆け寄り、拳を振り上げる。
「あぶない!」
「ウォール!」
その状況を察したユキが、防御スキルを発動!
ブオオオオッ!
ガッシャァァァン!!
旋風のように迫る巨大な拳が、半透明の壁に阻まれる!
「……おお、ダイキか!助かったぞ!」
ハヤブサが俺に向かって叫ぶ。
ゴーレムはようやく本気になったのか、パーティ目がけて襲いかかる。
「危ないぞ!お前らは下がってろ!」
バリバリバリィッ!!
ジャネットがゴーレムに雷撃を落とすが……
「おいおい……マジかよ」
ゴーレムはけろりとしている。岩のような皮膚に、攻撃が全く通じない!
グアアアッ!
雄叫びと共に、再び拳を振り下ろす。
バキバキバキ……!
何というパワー!ユキのウォールを破壊して、ハヤブサとジャネットに拳が直撃する。
「うおおおっ!」
そして、二人共に吹き飛び、地面を転がる。
強すぎる……!
「レトロゲームスキル!」
俺はスキルを発動し、慎重にゲームを選ぶ。この状況、失敗は許されない。
"サラマンダー"
この前使ったグラディオスの続編。使えるのは証明済み、しかも本作は二人同時プレイが可能だ!
淡い光に包まれた後……腕、足、背中の一部が機械で覆われる。
「アスカ、いくぞ!」
まずは目の前のザコをエネルギー弾で倒して行く。今作はカプセル制じゃないので、パワーアップするのも早い!
「レーザー!」
ビィィィィン!
青と赤、まばゆい閃光と共にエネルギーの射線が、ゴーレム目がけて伸びる!
ズシュウウウ!
グアアアアアッ!
閃光が岩肌に激突し、火花が散る。さすがのゴーレムもうめき声とともに体をよじらせる。
「オプションだ!」
俺は、転がっているカプセルを集める。
このパワーアップで、レーザーが強化できるのだ。
アスカにもカプセルを渡して、再び照準を合わせる。
「レーザーッ!!」
何本もの、レーザーの射線が巨体に激突する。
シャアアアアッ!
ズゴゴゴゴ……ゴゴ……!!
グアアアアッ!
激しい煙と火花に包まれながら、ゴーレムが体勢を崩して片膝をつく。
「行けるぞ!レーザー!」
さらに追い討ちをかける。
ズゴゴゴゴ……!
ズシャアア……
ズウウウウン!
巨大なゴーレムが足元から崩れ落ちて、ついに倒れる。
「やったか!?」
土煙が立ち昇る。その中で、巨大な影がうごめいた。
ムクリ
「……!」
ゴーレムが何事もなかったかのように、起き上がる!
「ま……まじかよ!」
「……うそ……でしょ……」
ゴーレムに吹き飛ばされたハヤブサとジャネットも、がれきの中から驚きの声を上げる。
経験豊富な彼らすら体験した事のない、異次元の強さ。
ゴーレムつええええ!やばい!と思って頂いたなら……
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