第五二話 恋のゆくえ
◇◇◇◇
ヒョコ、ヒョコ、ヒョコ
その頃……隣の部屋で療養するアスカ、ユキ、リリー。ベッドは用意されてるが――皆傷は浅いので、すっかり元気!
三人で同じベッドにぎゅうぎゅう詰めで潜り込み――女子トークに花を咲かせる。
クウウーン!
その時、ドアの向こうから何やら鳴き声が!
「どなた??」
アスカがドアを開けると……
そこに立っていたのは、スモールドラゴンのアオ!
「アオちゃん!」
三人、声を揃えて驚く。
クウン!クウン!
口にくわえてるのは……マジカルバナナひとふさ!
アオは長い首をぐいっと伸ばし、三人が集まるベッドの上に、これでもかという勢いで差し出してくる。
「ええっ! ひょっとして、お見舞い!?」
クウウ~ン!
羽をパタパタさせながら、誇らしげにうなずくアオ。
「アオちゃん、ありがと!」
「スゴイ、気が利くわね〜っ!」
「おにぎり食べる?」
クンッ!
モグモグモグ……パタパタ
幸せそうに、羽を揺らすドラゴン。
――そんなアオちゃんが見守る中、女子トークは続く。
ユキがリリーに直球を投げ込む!
「……サダトラって、リリーちゃんに惚れてるよね?」
「ぶふっ!?」
リリー、思わず変な声を上げる。そして、顔を真っ赤にして反論!
「いやいやいや、仕事仲間だし……そんな訳ないでしょ!」
ユキはイタズラっぽい笑顔を見せる。
「でもさ……命がけで守ってたじゃない……」
リリーは少し考え込んで……ぽつりとつぶやいた。
「そうね……確かに、サダトラに守られてると、すごく安心する……」
「……!!」
アスカとユキ、無言で視線を交わす。
(これは……)
(……行けるかも!)
アスカ、すかさず畳みかける。
「じゃあ、いっかい、お友達から初めてみたら!?」
ユキも援護射撃!
「サダトラ、絶対喜ぶと思うけどな〜?」
しかし……リリーは人差し指をピシッとたてて、毅然と答える!
「カレシはトオルくんだけ!私、そんな軽い女じゃないの!」
「………………」
放心する新谷姉妹。
ユキがあわててフォロー?する。
「え……ええと……それから、トオルくんとは連絡取れてるの?」
リリーの表情が沈む。
「ううん……平日は返信くるけど、土日はずっとチャルーされたまま……」
「………結局、カレシの家には行けそう?」
「……聞いたけど……すごく危険な生物が部屋にいるから、呼べないんだって……!」
心の中でつぶやく姉妹。
(……妻ね……!)
(……妻と……子供もいるとみた!)
アスカ、あわててフォロー?する。
「ええと……そう!そうね、ではここで……第三者の意見聞きましょう!」
ちょっとヤケクソ気味のアスカ。
「アオちゃん!」
クア!?
突然呼ばれて、羽をパサっと揺らすアオ。
「……ねえ、トオルくんの事、どう思う??」
…………
パタパタ
しばし羽ばたいたのち……
クアアアアッ!
キラリと目が光り――
「きゃああああっ!」
ブワアアアッ!
ドラゴンが青白い炎をリリーめがけて放つ!
アスカが驚きの声をあげる。
「すごい……低温ブレス!」
温度は低いので、やけどはしないけど……
あとは普通の炎と同じ!
プスプスプス……
煙の中から現れたリリーの姿は……
髪はチリチリになって黒焦げ!顔にはすすが張り付いて、真っ黒に!
「ぷぷっ……」
「ぶわはははっ!」
アスカとユキ、腹を抱えて爆笑!
「リリー! やっぱ、トオルくん……アオちゃんはお気に召さないみたいよ!」
「そうそう! ちょっと、考えなよっ!」
リリーもつられて苦笑い。
「……ハハ……そうかも……」
抜群に気が利くドラゴン、アオ。ここでもいい仕事!
「とりあえず、顔、洗ってくるっ!」
そう言い残し、リリーは部屋から廊下に飛び出す。
◇◇◇◇
ちょうどその頃、廊下では……
ぶつぶつ……
「……ううむ……どうすれば、もっとリリーを完璧に守れるのか……」
包帯ぐるぐる巻きのサダトラが、ぶつぶつ言いながらお手洗いへ向かっていた。
――次の瞬間。
ドシン!!!
「いたたっ!」
「いったあ!」
ちょうど廊下に飛び出してきたリリー、サダトラと衝突!!
…………
「……ええ!?」
真っ黒な顔にチリチリの頭……
「やああああっ!……見ないでっ!」
ドンッ!
リリー、サダトラを突き飛ばして、お手洗いに駆け込む!
「いててて……今の、誰??」
呆然とするサダトラ。
◇◇◇◇
クウ、クウ、クウ!
「アオちゃん、カワイイ〜」
パタパタパタ!
廊下でそんな騒動が起きてるとはつゆ知らず、アスカとユキはアオちゃんとじゃれあい中。
ばたん!
部屋のドアが勢いよく開き……ススを落としてスッキリしたリリーが駆け込む。
「もおおおっ、さいあくっ!」
「……ど……どしたの?」
「廊下で……黒こげの顔見られちゃったっ!」
「あらま。誰に見られたの?」
「……サダトラ」
「……!!」
「あんなトコ見られたら……もうサダトラと会えないっ!」
「いやいやいや! そんな事ないっしょ!」
ギャルにとって、気のある男子にキレイじゃない姿を見られるのは、死刑宣告に等しいのだ!
……たぶん。
なんかややこしい――サダトラの恋!
果たして実るのか……?
あ、そうだ、ルキアも倒しに行かないと!
◇◇◇◇
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