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第四七話 ちゃんと、エンチャント!

 翌日――

 ついにルキアの待つ地下へ向かう日が来た。


 夜がまだ薄く残る早朝、俺は仲間たちより一足先にワールドへ入り、リリーが建てたログハウスへと向かう。


 木の床が、静かな足音を吸い込む。二階に上がると、そこは吹き抜け構造になっており、柵越しに一階のリビングが見下ろせる。開放感のある、洒落た造りだ。その一角にある小部屋へ入り、扉を静かに閉める。


 作業台を取り出して、部屋の隅に置く。

「とはいえ、全然材料足りないな……」

 ゴソゴソとバックパックの中身をまさぐる。


 本来は、素材を揃えるのに、かなり時間がかかるのだが……あまり余裕はない。持ち込んだ、それっぽい素材で代用できないか探る。


 まずは、土台となる黒曜石。これはどうしても代用が効かない。探検中に偶然手に入れた黒曜石を、慎重に作業台の中央へと並べる。それは、鈍く光を吸い込むような黒さだ。


 その周囲に置くのは――

 グラディオス使用時に余ったパワーアップカプセル。本来ならダイヤモンドが必要な工程だが……魔力を帯びたアイテムなら、代用できるはず。


 そして――

 最後に作業台の中央に置くのは、一冊の本。


 俺は板山から持ってきてた「まんが世界の歴史 十四巻」を取り出し、ゆっくりと置く。


 そして、本に向かって魔力を込める!

「むううううっ!」

 空気が、ピンと張りつめる。


 ――ポンッ!


 目の前に完成したのは……

「できた!……エンチャントテーブル!」


 その頃、仲間たちが次々とワールドに入ってきて、ログハウスに集合する。

「おはよう! ダイキ」

「早いな!」


 全員そろったところで、俺は皆を二階の小部屋へと案内する。

 部屋に入った瞬間――全員が息を呑んだ。


 壁一面は、本棚でびっしりと囲まれ……

 中央には、小ぶりの黒いテーブルが据えられている。


 ジ……ジジ……


 淡い魔力の火花が、空間にパチパチとはぜている。

 テーブルの上では、「まんが世界の歴史 十四巻」が、大気を震わせながらふわりと浮かんでいた。その本はゆっくり、くるくると回転し……時には開いたり、閉じたりと不思議な動きを見せる。



 アスカが、恐る恐るテーブルを覗き込む。

「こ……これは一体?」

「エンチャントテーブルだ!……ここではアイテムに、特別な効果を"くっつける"事ができる!」

「どういう事?」

「これで……剣や鎧に、みんなの"スキル"をくっつける!」


 俺はチェストから鉄の剣を取り出し、ゆっくりとテーブルの上へと置く。その前後に、魔力を帯びたグラディオスのカプセルを二つ配置。

 そして、アスカを呼ぶ。

「まずは……アスカ! 光のスキルをこの剣に当ててくれ」

「こうかな……ライトニング・ブレード!」


 ジジ……ジジ……


 ハヤブサが思わず声を上げた。

「お……おおおっ!」

 剣がふわりと浮かび上がり、ゆっくりと天井へ向かってせり上がる。


 ビリ……ビリ……ビリ……!

 剣が小刻みに震え、魔力がじりじりと音を立てて集まる。そして、その周りに白い閃光がまとわりつく。


 完成したのは、光のスキルが付与された――白い光を帯びる"閃光の剣"!俺たちのオリジナル武器だ!


「よし! ちょっと振ってみて」

「え、こ……こう?」

 ヒュンッ!


 ――バリバリバリバリッ!

 ――ズシャッ!


「えええっ!」

 光スキル発動時と同じ……閃光が空間を切り裂き、壁が吹き飛ぶ!


「あわわわわ!」

「リリーちゃん、ごめんっ!」


 パコパコパコ

 リリーはすかさず崩れた壁を修繕。


 ハヤブサが目を丸くする。

「すげえな! これでスキルが使えるぞ」

「すご! 私もやってみる!」


 わいわい

 強力な装備に、みんな目を輝かせる。


 ハヤブサもノリノリだ。

「鎧には、防御スキルかな? ユキ、頼むぞ!」

「やってみる!」

「物理スキルと……光スキル、リンクするぞ」

「うん!」


 各自のスキルを持ち寄り、装備へ次々とスキルが刻み込まれていく。


 一通り作業を終えて……食料、たいまつ、ベッドなどその他アイテムもチェック。分担して各自のアイテムボックスに納める。


 クワッ!クワッ!

 ログハウスの外では、アオがヒマそうに翼を大きくパタパタさせている。


(さすがに洞窟にアオは連れていけないな……)

 大量のエサを準備し、アオを拠点の留守番に任命しようとすると――


 クワアアアッ!

「アオちゃん!」

 それを察してか……翼で地面を叩き、暴れ出すアオちゃん。

 アスカが必死になだめるが……


「ダイキ!やっぱ、置いてくと怒るみたい! 連れて行こうよ」

「ええええっ!」


 まあ、なんとかなるか……

 そして――地下ダンジョン奥深くへ、いざ出陣!




――――――

いよいよ出陣!

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