第四四話 みんなで、つんつん
◇◇◇◇
ぎるぎる荘で夕食を済ませて……
今日も露天風呂へ。
ちゃぷん
湯けむりの向こうでぼんやり光が揺れ、風情ある光景が広がっていた。
俺は温泉で魔力回復に努めながら、洞窟ダンジョン攻略のスキルを考える。
その時……
女湯から弾けるような声が響いてきた。
◇◇◇◇
「きゃははは!」
「アスカちゃん、今日もおっきいね!」
「ねえねえ、みんなでつんつんしようよ!」
「やるやる!」
つんつん
つんつん
つんつん
「あふうん!くすぐったい!」
「みんなでつっつくと、気持ちイイでしょ!」
「そんなコトないってば!」
◇◇◇◇
ぶくぶく……
「みんなで、つんつん……?」
俺は妙にその言葉が気になった。
「みんなで突っつくと、気持ちイイ……」
エッチなコト考えてるんじゃないよ!何かひらめきそうなんです!
――――
その晩、俺は眠りにつく前。
みんなでつんつん……
ふと、稲妻のようにアイデアが走る。
「そうか、みんなで同じワールドに入れたら……みんなで敵をつんつんして――ぶっ殺せるかも!」
俺は枕に顔を埋めつつ、とあるゲームの記憶を必死にたぐり寄せた。
問題は、昔のバージョンで動くかどうか……
そうだ!アレとコレをリンクして……
ぶつぶつ言いながら、眠りにつく。
◇◇◇◇
翌日、俺たちは再び品川ギルドに集合。
ハヤブサ、アスカ、ユキに加えて……
「おまたせーっ!」
バタバタとやってきたのは……エルトーロの電磁波使い、リリー!
今日、地下ダンジョンで試したいスキルがあった。ただし、電磁波スキルが必要なので……リュウガに頼んで加わってもらったのだ。
「やったあ、リリーちゃんも来てくれるの!?」
「もちろん! よろしくねっ!」
アスカ、ユキにとっては親友の参加で、パーティは一気に賑やかになる。
タタタタタッ!
その時、ギルド前に駆けこんでくる足音。
エルトーロの若手剣士、リュウガの弟子サダトラだ!
「ダイキさん! ルキアを倒しに行くんですよね! 僕も連れてってください(リリーと一緒に)!」
俺はサダトラにもごもごと返答する。
「おお……それはありがたいが、危険な冒険だ。あまりたくさん巻き込みたくないけど……」
「剣士がハヤブサさんだけじゃ心もとないですよ! 僕が護衛を務めます(特にリリーを)!」
ハヤブサがうなずく。
「エルトーロでは、司令塔のリリーをサダトラで守るのが基本だ。今回もその方が助かる」
サダトラは目をキラッキラさせて胸を叩く。
「任せてください! 僕がリリーを守ります!」
(そういえば、サダトラはクズ男に引っかかるリリーのコトをやたら嘆いてた……色々心配してるみたいだな!)
メンバーは総勢六名。頭の中でみんなのスキルを整理する。
ダイキ:板山/レトロゲームスキル
ハヤブサ:板山スフィーダ/物理スキル
サダトラ:品川エルトーロ/物理スキル
アスカ:板山/光スキル
ユキ:板山/防御・回復スキル
リリー:品川エルトーロ/電磁波スキル
打倒ルキアに向けて、東京のギルド最強メンバーでパーティ結成!
◇◇◇◇
ゲートウェイから地下へ。昨日辿った道を抜け、昨日スぺランクで潜った広大な地底空間へ到達。
「……すご……広っ!」
リリーは、地下に広がる空間と、そそり立つ岩壁が織りなすダイナミックな景色に息を呑む。
そして、地底奥では、魔物がゴソゴソうごめいてる様子がチラリと見える。
魔物を検知したので、レトロゲームスキルの画面が出現。ここで俺は、あの世界的ヒット作を再び選択。
「……マインクラフツ、wii uエディション!」
光に包まれ、目の前にタイトル画面が出現。
そして——
パーティ全員を同じワールドに入れるため、俺はリリーに声をかけた。ここから……ひと工夫が必要だ。
「リリー! 電磁波スキル、発動してくれ!」
「いいけど、地下だとスマホ使えないよ?」
「大丈夫!」
俺はタイトル画面から……ワールド選択画面に移動。
そう、通常はランダム生成されるワールドで遊ぶのだが……既に用意されたワールドでも遊べるのだ。
そこに、全員で入れば……みんなでつんつんできるはず!
現世ではネットワークサービスは既に終了していて、マルチプレイはできないが……リリーの電磁波スキルで、ここにいるメンバーだけ接続できる!かも……
ワールドの一覧を眺めていると……俺の目がある文字で止まる。
「シナガワ マッシュアップ」
おおっ、これっぽい!すかさず選択。
すると……パーティ全体が光に包まれて……
世界がカクカクのブロック世界に!
地形は昨日の洞窟そのまま。しかしトロッコも足場もなく、巨大な空間に無数の崖が連なっている。
「なんだ?どうなってんだ!?」
「……これ……一体!?」
アスカ以外は初めて見る不思議な光景。皆、目をぱちくりさせて周りを見渡す。
――俺はこのスキルについて軽く説明した。
リリーが崖の下をのぞき込んで、眉をひそめる。
「ええーっ、こんなトコ、降りるの?」
「おう、余裕だ!」
俺は木のツルハシを取り出す。
そう、マインクラフツはブロックの世界。自由に掘って、自由に足場を組める!
どんなに底の深い洞窟でも、降りていく事ができる!
(ていうか、最初からこのスキル使えばよかった……)
地底奥深くを見ると……
ゾンビ、スケルトン、クモの群れがウロウロしている。ルキアが召喚した魔物ではなく、元々このスキル内にいる敵だ。――おそらく、ルキアの魔力が落ちていて、召喚できてないと思われる。
ガス!ガス!ガス!
一応、アイテムボックスに最低限の装備は入ってるようだ。崖っぷちに立って、ツルハシで地面を慎重に掘る。そして、全員が移動できるように、階段状に崖の側面を削り取っていく。
すぐにコツを掴んだ他のメンバーも、黙々と夢中になって階段と通路を掘り進める。そして……あっという間に地底への道ができあがる。
このスキルの不思議なトコは……そんなに相談しなくても自然と役割分担ができて、いつの間にか色々できてしまう所かな。
――そして遂に地底に到達!
女湯での会話にリアリティがないのは許して下さい……完全に妄想です!
ポイント★、ブクマお願いします!




