第四一話 エッチな薬じゃないよ!
ルキアが逃げ去った瞬間――
まるでからくり人形の糸が切れたように、オロチの動きが止まった。
バタ……バタ……!
重い音と共に、八つの首が地面へと落ち――その巨体は息絶えたように沈黙する。
「……よし!!」
俺はギルチャで状況を報告。リュウガたち防御陣も、壮絶な攻撃を耐え抜いたらしい。
全員、生き残った!
そして、よろめきながらアスカと一緒にゲートウェイの出口へ向かう。
――そこに待っていたのは、大活躍のスモールドラゴン!
グア……グア……グア……!
なんかヒマそうに、羽をパタパタさせてる……
その様子を見たアスカが尋ねる。
「あれ? まだスキル使用中なの?」
「いや……とっくにスキルの魔力は切れてるけど……」
よくみると、ほんのり淡い光に包まれてる。
「……これ、マジカルバナナの魔力だ!」
「どういう事?」
「レトロゲームスキルは、解除の操作とかはなくて……単に、魔力がゼロになって消えるだけなんだ」
「じゃあ……」
「たぶん、バナナの魔力が残ってるんだよ」
アスカの目が輝く。
「……てことは! 毎日バナナあげてたら、ずっと一緒にいられるって事?」
「たぶんね」
「それ、最高じゃん! 連れて帰ろうよ!」
「えええっ!」
た……たしかに……すごい戦力になりそうだ!
しかも、ちょっとかわいい……
「名前決めた! アオちゃんね!」
ブルーだからアオ……
覚えやすいな!
「さっそく、みんなの所に帰ろっ! お願い、アオちゃん!」
クオーン、クオーン!
尻尾をふりふりするアオ。まんざらでもないようだ。
バサ! バサ! バサ……
俺とアスカはアオにまたがり、大きな固まりと化したルキアの体を飛び越えて、リュウガたちが結界を張ってた場所へ戻る。
バサッ!
アオが体を滑らせて着地、砂煙が舞い上がる。
ようやく仲間と合流!
真っ先にユキが駆け寄り、アスカに抱きついた。
「お姉ちゃん! 心配したよーっ!」
「よく戻ったな!」
「頑張ったねっ!」
次々とジャネット、エミリア、モモカたち女性陣がアスカを抱きしめて出迎える。
仲間たちに囲まれて、緊張の糸が切れたのか……急にアスカの感情が溢れ出す。
「うう……みんな……ありがと! でも私……ルキアを倒せなかった……グス……」
「お姉ちゃん……」
「うう、うわああん!……あと少し――あと少し、届かなかった!!」
「何言ってんのよ! スゴイじゃん! あのルキアを追い詰めるなんて!」
「お姉ちゃんスゴイ!」
「アスカちゃん、最高よおっ!」
「あ……ありがどう……」
仲間の言葉に、無念さ、悔しさ、無力さなど……負の感情が、ゆっくり溶けていく。
仲間の言葉で、救われる。
「ダイキ! よく戻ったな!」
俺はリュウガ、ハヤブサたちと握手を交わす。
「こっちの被害は?」
リュウガが声を弾ませて答える。
「負傷者は多く、重症者も出てるが……死者はゼロだ!」
「おおっ、それはスゲエ! よく守ったな!」
「ルキアは追い詰められてるぞ! 後で対策を練ろう」
「もちろんだ!」
ハヤブサも笑顔を見せる。
「マジ、化け物だったぜ! 防御と回復の連携、うまくいったな!」
(そういえば……)
「なあハヤブサ、もらった薬……すげえ効いたぞ! あれ何なの?」
「あれか? お前がくれた熊の担のうを、飲みやすくカプセルにしただけだぞ」
「……え!?」
「アレを飲むと、集中力が跳ね上がる! しかも乾燥させると、すぐ効くんだ。買うと高いけど、必需品だぞ!」
「……マジか!」
(どうやら、正しい使い方だったようだ……)
(胆のうって……エッチな薬かと思ってた。反省……)
キリカたち品川ギルドは、負傷者の受け入れで大忙し。モモカ、エミリア、ユキたち回復魔法の使い手は、夜を徹して救護に当たる。
そして俺たち攻撃陣は、ぎるぎる荘に戻って魔力の回復に努める。
――深手を負ったルキアが回復する前に、拠点を叩きたい!俺は色々なレトロゲームを思い起こして、戦略を練る。
地下に逃げ込んだルキア……そして、敵の拠点は地下深くにあるらしい。
となると……使うスキルはアレだな……
いよいよ戦局は大詰め。追撃戦に備えて、心を整える。
オロチ戦、決着!ギルドの絆が勝利を呼ぶ。
みんな頑張ったので……
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