第三六話 バナナ最高!
その瞬間!
「斬撃ッ!」
ズシャッアアッ!
空気が、真っ二つに割れる。雑魚どもの体ごと。
リュウガだ!
大剣を風車のように振り回し、轟音を立てながら一直線に駆け込んでくる!
「間に合った! 遅れてすまんっ!」
リリーがシルバーの髪をなびかせ、並走しながら叫ぶ。
「みんな! こっち! こっちよ!」
大声とスマホで仲間に指示を飛ばし、戦力をサンライズに集中させる。
サダトラもリリーにぴったり張り付いて疾走!
「明智式、斬撃!」
攻撃力の低いリリーをがっちりガード。
そして、リュウガが吠える!
「ダイキ! よく止めたな!これで戦力を集中できる! 一気に叩くぞ!」
品川最強のパーティ、エルトーロが雑魚をなぎ倒す!
そこへ追いつくように、ハヤブサ、ジャネットも駆け付ける!
「一文字流、剣舞!」
「ライトニング・クエイク!」
ズシャアッ!!
バリバリバリバリ!
見慣れた必殺技の連撃が、閃光と共に魔物の群れを吹き飛ばす。土煙が巻き上がり、焦げた匂いが渦巻く中、板山最強パーティ、スフィーダの面々が疾風のように迫る!
散り散りになった仲間が再び集まり、戦線は一気に立て直しへ向かう。
「アースヒール!」
スフィーダの防御担当、モモカが両手を掲げて詠唱――淡い緑の光を帯びた回復魔法が雨のように降り注ぐ。
「う……ううん……」
その光はがれきの上に倒れ込んでいたアスカとユキの身体を包み、彼女たちの頬に生気を戻していく。
「よくやった! ダイキ」
「アスカちゃん! ユキちゃん! こっちよ!」
俺たちはギルドのメンバーに守られながら、戦線を離脱する。
リュウガが大剣を振り上げて叫ぶ。
「あとは任せろ!」
「おうっ、頼んだぞ!」
車両基地のほぼ中央で続く掃討戦から距離を取り、俺たちはゲートウェイ前まで退避した。
◇◇◇◇
「アスカ! ユキ! 無事でよかったーっ!」
ゲートウェイの結界維持を指揮するエミリアが走り寄ってくる。張りつめた表情がほころび、二人を強く抱きしめた。
周囲ではまだ、魔力の余韻が電気のように空気を震わせている。ここも最前線、危険な場所には変わりないが……味方がいるのはすごく安心する!
ジジ……ジジ……
防御魔力の結界は半透明の膜となって、地下出口を覆っていた。サンライズには一度突破されたが——防御陣が、次の一手に備えて必死に再構築している。
時刻は午後三時過ぎ――
サンライズとの激戦を終えた俺たちと、結界を維持する防御陣のメンバー。長い戦闘の疲労は、皆の顔に深く刻まれていた。
「またルキアが攻めてきてら……私……もう戦えないかも……」
珍しくアスカも弱気になっている。
そんな時……
「みんなーっ!おやつ持ってきたよっ!」
突然、明るい声が近づいてくる。キリカがおっきな袋を抱えて、小走りでやってきた!
「おおおおっ!」
「やったあ!バナナ!バナナ!」
もぐもぐ
「うう〜ん!バナナ最高!もう一ふさ、もらってイイ?」
アスカのおやつはふさ単位!
「……んぐング、それにしても、ルキア!見つけたら、コテンパンにしてやるんだから!……もぐもぐ……」
どうやらアスカも復活したようだ!
俺もバナナをひとかじり。
すると、体がぽっと光を帯びて、内部から魔力が満ちる気がした。
「こ……これは?」
バナナのふさを掴んで、ラッピングを見ると……
《マジカルバナナ 魔力30%増量中!》
「おおおっ! これメチャいい!」
俺は三本ほど、こっそりむしり取ってリュックに入れる。非常用にね!
◇◇◇◇
中央での掃討戦もほぼ一段落し、リュウガたち攻撃陣も再びゲートウェイ前へ戻ってくる。陣形を組み直し、交代で休憩を取る。
俺はリュウガと作戦会議。
「あの電車は何とか止められるが……もう同じ手は使わないだろう」
リュウガはじっと腕組みをして、答える。
「そうだな……恐らく、次はオロチを出してくるはずだ」
「しかし、オロチも板山台で敗れてるんだろ? 十五年前と同じ手で来るのか?」
「ふむ……オロチを倒した訳じゃない。リョウコが、ルキア本体を討ったから、何とかなっただけだ。……あのドラゴンは化け物だぞ」
リュウガの低い声が響く。
空を覆っていた雲は去り、傾きかけた陽光が彼の横顔を照らしている。
その時、俺はハッと気づいた。
「ならば……今回は、ルキア本体の護衛もつけるはずだ。もしかして……サンライズはテストなのかも知れない」
「どういう事だ?」
「俺がルキアだったら、電車をあと何両か用意して、オロチを放った後に自分を護衛させる。サンライズにその力があるのは実証済みだろ?」
「……!!」
「俺は対オロチのスキルを考えている。でも電車がまた暴走したら……そっちへの対処で全部の予定が崩れる」
「……うーむ。ダイキじゃないと電車は止められないのか?」
「……そうだな……」
俺は前世で線路を電車が走る姿をイメージする。車に比べると融通の効かない電車が、戦闘に使われる事はほぼない。それを考えると……何か打ち手はあるはずだ。
「……イチかバチかだが……」
俺は、リュウガへ“オロチと電車を同時に封じる”ためのプランを伝えた。
気づけば時刻は午後四時。
傾く太陽がギルド隊の影を長く伸ばし、戦場全体がオレンジ色に染まり始めている。
仕掛けるなら、暗くなる前……決戦の時が迫る!
決戦!オロチは現れるのか?
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