表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/70

第三三話 ゲートウェイ序盤戦

 そして俺たちは、全員で品川ゲートウェイ前へ移動する。そこで待ち構えるのは……総勢三十名ほど、関東中から集まった精鋭部隊だ。


 雨は降っていないが、空は鉛色にどんよりと曇り、重苦しい空気が一帯を押しつぶしていた。


 ゲートウェイの地下出口に張られた結界の向こう側では、異様な光景が広がっている。



 ウゴオ……グゴオオオ……

 ガス!ガン!グアン!



 地下鉄トンネルの奥、漆黒の闇から大型の魔物たちが次々と湧き出ては、結界を狂ったように叩きつけていた。


 アスカとユキは、ぞわっと背中を震わせる。

「なにアレ……」

「気持ちワル……!」



 ミシ……ミシ……


 嫌な音とともに、結界に細いヒビが走る。


 対する品川ギルドの布陣は……

 車両基地の中央付近に司令塔のリリー、そして指揮官リュウガ。ゲートウェイ出口に向かって、手前側に俺たち攻撃陣が一列に展開。さらに前方、結界の直下にマキオたち防御陣が陣取っている。



 ビリビリ……ミシ……パリ……ッ!

「ウォール・ロック」

 シュウウウウ!


 防御魔法が重ね張りされ、結界の崩壊を必死に食い止めていた。


 リュウガは俺を呼び寄せて、戦況を端的に告げる。

「この勝負、魔力が尽きたら終わりだ。結界を維持し続けると、防御陣の魔力が先に底をつく」

「確かに……このままじゃジリ貧だな」

「攻撃陣の体制が整ったら、陣形を変える。攻撃陣が前に出て、結界を解除。溢れ出る魔物を、一斉に叩き潰す」

「なるほど」


「すべての細かい指示はギルチャで出す。板山のみんなにも、通知を絶対に見逃すなと伝えてくれ」

「了解だ!」

 俺は攻撃陣の列に戻り、皆に状況を伝える。



 結界解除の合図が、戦闘開始のゴングだ。

 緊張で足が震える。

 ――自分のやるべき仕事を、キチンとこなす。


 気負う必要はないんだ。いい仕事をすれば、未来が開ける。それだけに集中しよう。



 グォォォ……ッ

 ピシッ、ピシッ、ピシッ!!


 防御陣は、すでに結界への魔力供給をストップ。

 薄い膜のようだった結界は乾いた悲鳴を上げ、蜘蛛の巣状にヒビが広がっていく。


 その瞬間――リュウガが腕を高く振り上げ、鋭く叫んだ。

「結界解除! 防御陣は指定位置へ後退!」


 隣に立つリリーが猛スピードでスマホにメッセージを打ち込む。

 ピロン! ピロン!

 戦場にギルチャの通知音が鳴り響く。


「攻撃陣、総員、最前列に並べ!」

「おおおおっ!」


 バリバリバリィッ!!


 暗闇から伸びる無数のゴーレムの拳が、結界を粉々に叩き割った。破片のような光が飛び散り、のしりのしりと重い足音を響かせて魔物が歩み出す。


 攻撃陣は俺とハヤブサ、サダトラ、ジャネット、アスカを含めて十五人ほど。


「一文字流・閃光!」

「明智式・斬光!」


 ズバァァァァツ!


 ハヤブサとサダトラが魔物の群れに飛び込み、先頭のゴーレムを一刀に断ち斬る。


「ライトニング・ソード!」

「シャイニング・ブレード!」

 アスカとジャネットが続いて、雷と光の剣をリンクさせて叩き込む。


 ズガガガガッ!

 ゴゴゴゴゴッ!!


 グアァ……アア……ッ!


 轟音と閃光、爆炎の煙――

 あらゆる属性の攻撃魔法がリンクする。それは、巨大なエネルギーの塊となってゴーレムに襲いかかった。


 出口を突破しようとするゴーレムは次々と膝を折り、そのまま地面に崩れ落ちて霧散していく。


「いける!いけるぞ!」

 俺も必死に剣を振る。敵の出方によって戦略が変わるので、まだレトロゲームスキルは使わない。


 

 その頃、防御陣――

 ユキ、マキオ、モモカ、エミリアたちは最前線のやや後方へ退避していた。



 そこへ次々とギルチャの細かい指示が飛び……最年少のユキを取り囲むような陣形で待機。


 エミリアはユキに話しかける。

「前線の様子をよく見て!ダメージを受けた人がいれば回復魔法の準備。攻撃陣をサポートするわよ!」

「はい!」 

「それから、また陣形の組み替えがあるから、ギルチャの通知に注意ね!あとは……魔力回復に努めるコト!」



 一時間ほどが経過したころ――

 攻撃陣は、出口周辺にうごめくゴーレムをほぼ掃討する。

 空の雲が流れ、そのすきまから薄い陽光が地上に差し込み始めた。


 そして、リュウガが戦局を動かす。


「攻撃陣、撤退! 防御陣、前へ!」

「はい!」

「陣形揃いしだい、結界張れ!」

「了解!」

 リリーがギルチャで一斉に指示を出す。



 最後のゴーレムを倒し、俺たち攻撃陣は二列目に下がる。


「ユキ、行くわよ!」

「はいっ!」

 エミリアの号令で、防御陣は再び一列目に並ぶ。


「ウォール!」

「ロック!」


 そして、一斉に防御魔法を唱えて、入り口に新たな結界が張り直される。


 リュウガは小走りで戦列を駆け回り、状況を確かめる。

「攻撃陣は次の攻撃がくるまで、魔力回復に専念!」


 俺とハヤブサはがれきの上に腰をおろし、荒い息を整える。

 ハヤブサが状況を説明してくれた。

「攻撃陣と守備陣が交互に前線に立って、魔力の消費と回復のサイクルを作る。……単純だけど、効果的だ」

「ここまでは順調……かな」

「そうだな、作戦どおりだ。ただ、オークやトロールとか……雑魚がいないのが気になる。普通、ボスには護衛の雑魚もセットで召喚するんだが。……その分、倒しやすかったけど、何を考えてるのか……」



 しばらく、二列目から新たな結界の形成を眺めていると――空気が、じわりと変わるのを感じた。


 まるで、地下の闇そのものが呼吸を始めたように。


◇◇◇◇





決戦いよいよ開始!

応援の★とかブクマとかお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ