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第三一話 足手まといなんだよ

 翌日から、ルキアとの決戦に向けた緊張の日々が始まった。


 さすがに旅のしおりはもうないけど……毎朝、ギルドに集まって一日の作戦を練る。


 基本的には、攻撃系のメンバーは車両基地内の残敵を倒しに、防御系のメンバーはゲートウェイの強化、監視へ。それぞれが役割を背負い、着実に準備を進めていた。



 車両基地のほぼ中央――

 ダイキとハヤブサ、リュウガたちは息を合わせ、連携を確かめながら雑魚を討ち取っていく。


「スキル……ゴールドアックス!」


「いくぞ!リンク!」

「とおおおっ!」

「斬撃!」

 ハヤブサと剣を並べて同時に斬りかかる。


 ズシャッ!

 グオ……オオ……ッ!


 俺は過去使ったレトロゲームスキルを発動して、他の攻撃スキルとの噛み合わせを丁寧に確かめた。


 今まで、ルキアの魔物召喚とリュウガたちの掃討ペースは拮抗しており、一進一退の状況が続いていた。

 だが――板山メンバーが合流し、ブラッディベアーとキラービーを撃破したことで潮目が変わった。ギルド連合は一気に勢力を盛り返し、車両基地での戦いで優勢に立つ。


◇◇◇◇


 その一方、防御系メンバーは……


「ライトニング・ウオール!」「ロック!」「バリア・フォール!」

 ユキ、マキオ、エミリアたちが連携を確かめながら、品川車両基地を囲む廃ビルのスキマに結界を張り巡らせていく。


 その結界はゴーレムのような大物には突破されるが、オークなどの雑魚には抜群の効果を発揮していた。これで、品川の周辺で魔物に襲撃されるリスクは格段に下がる。廃ビルの谷間で身を寄せ合って過ごす住民たちに、安全をもたらす重要な仕事だ。


 中でも――マキオのロックは効果絶大。

「マリリンを襲う魔物なんて、一匹も逃さない!」

 ガキィィン!

 ガキィィン!

「マリリンを守るためなら、死んでもいい!」

 ガシィィ!

 ガシイイン!


 次々と結界が張られ、瞬く間に車両基地の防御網が構築されていく。

「ハア、ハア……俺……マリリンに次会う時に※……自慢しても…いいかな……」


※握手会では、三十秒だけ話ができる!


 ユキはその奮闘を見て目を丸くして、エミリアにささやいた。

「すごい……マキオの防御結界!」

 エミリアもひたすら感心。

「愛の力って……すごいのね!」


※エミリアは、マリリンがアイドルだという事は知らない


◇◇◇◇


 同じ頃――品川ギルド一階の待合室。


 ソファーに腰かけたリリーのスマホを、モモカがのぞき込んでいる。


「セルラー・シグナル!」

 リリーが詠唱すると、スマホがぼんやりとした淡い光に包まれる。


 ピロン!


 通知音と共にスマホの通信が繋がり、とあるアプリの画面が開く。


 ジジ……ジジ……

 リリーの体から魔力が飛散していく。


 ピ!……ピ!……ピ!……


 アプリの画面を見ると……黒い背景に、大小様々な白い点が浮かび始めた。

「こ……これは何?」

「敵の位置よ! 点が大きいほど大型……西側の戦力が少し薄いわね」


 すぐにリリーは画面をギルチャへ切り替え、猛スピードでメッセージを打ち込む。


 ピロン! ピロン! ピロン!

「西側に中型の白トロールが三匹!」

「回り込んで、挟んで攻めて!」

「東側、オークの群れが北へ移動してる!」


 矢継ぎ早に、的確な指示を出す。リリーの情報力と判断力が、品川車両基地での戦いを勝利に導く!


◇◇◇◇


 そうして、板山と品川の合同作戦が始まってから、一週間ほどが経過。勢力を逆転させたギルド勢は、さらに掃討と防御を進め、ついに車両基地を完全に制圧する。


 ぎるぎる荘の食堂――

 夕食を終えた俺とリュウガ、ハヤブサが翌日の作戦を話し合っていると、リリーがスマホを握りしめて駆け寄ってきた。


 スマホの画面を覗き込んで――皆、息を呑む。


 巨大な白い円が、画面上にぼんやりと浮かんでは消える。まるで心臓の鼓動のように、規則的に脈動していた。


 俺はリリーに尋ねる。

「これは……?」

「白い円は、敵の位置よ。――大きいほど、強いの」


 リュウガが険しい視線で画面を見据える。

「こんなに大きいのは見た事がない。場所は……」

「ゲートウェイの出口、少し奥ね。そこから先は地下だから検知は届かないわ」

「……という事は、ゲートウェイに相当な強さの魔物が集まってるな」

「……ええ……間違いなく」


 リュウガは短く息を吸い、指示を飛ばす。


「リリー、ギルチャで全員に連絡だ。明日は、ゲートウェイ前に集合――ルキアを迎え撃つ」

「りょ!」


 いよいよ、ルキアとの決戦が迫る……!


 俺とハヤブサは目で合図を交わし、奥のテーブルで談笑するアスカとユキのもとへ向かった。そして、俺は向かい合って座り、明日の話を切り出す。

 言いにくい事だが、言わなければ――


 実は二人のもとへは、リョウコからギルチャ経由で“明日の決戦に参加させるな”という厳命が届いていた。


 俺は意を決して切り出す。

「明日はルキアとの決戦だ。品川、板山だけでなく、東京中からトップクラスのパーティが集まる」

「……それで?」

 ユキが首をかしげる。

「二人とも、これまで本当によく戦ってくれた。なんだが……明日はギルドで待機してほしい」

 アスカが即座に食い下がる。

「ええ!?ちょっと、どういう事よ!」

「いや……だから、明日は精鋭部隊で……」

「何言ってんのよ!……ルキアを、ルキアを倒すためにここまで来たのよ!」


 ユキも声を震わせながら反論する。

「父さんと、母さんを奪った……あのルキアを……黙って見てろって言うの?」


「……」

 静かに聞いていたハヤブサが、重く低い声で口を開く。普段の陽気さが一瞬で消え、場の空気が緊張で満ちる。

「……ダメだ。はっきり言うが、お前らはまだ学生上がりだ。――足手まといなんだよ」

「……な……そんな!……そんなコトない!」

「……!」


 ギルドの一員となってから、誰よりもこの二人を気にかけて、その成長と実力を認めてきたハヤブサ。

 だからこそ、俺にとっては、その一言はあまりに重かった。



アスカ、ユキにも参加して欲しい!と思った方……

評価(★)とかブクマとかお願いします。


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