第ニ七話 ブラッディベアー戦2
俺は決断する。そして、スキル名を叫んだ。
「クレイジークライミング!」
光が体を包み、視界が一気にゲームの感覚へ切り替わる。はるか昔に遊んだ、障害物を避けながらビルを登るだけの単純なゲーム。
けれど今は、その単純さが逆にありがたい。
俺はビルを一瞬見上げ、壁に手を掛ける。
上、下、上、下
このゲームはリズムが命。
手を上にあげて上階の窓をつかみ、体を引き上げる。最初は難しいが、慣れると驚くほどスムーズにビルを駆け登るコトができる。
俺は昔遊んだ時の感触を思い出しながら、器用にVビルの上階へと這ってゆく。
シャアアッツ!
上空からがれきが落ちてくる。
右!右!
体を横へ滑らせ、ギリギリで回避。
そろそろヤツがくるはず……
ブオン!
「うおおおっ!」
ズガガガッ!
元のゲームでは、ビルの途中になぜかゴリラがいて攻撃してくるのだが……
その代わりに、ベアーが巨体を折り曲げてビルの壁に拳を叩きつける!
右、右、右、上、上、下、下
俺はリズムを崩さないように集中して、両手を動かす。昔のゲーム体験がこんな所で活きるなんて!
振り返ると、ちょうど真下にベアーの頭が!
ズガアアッ!
ベアーは頭上の俺めがけて、拳を振り抜く。空気がねじれるほどの一撃だ。
ギリギリでかわし……
「とおおおおっ!」
意を決して、ベアーの肩口めがけてジャンプ、巨体に飛び乗る。
「そこだっ!」
首の後ろに回り込み、剣を突き立てる。
ズブブブブ!
ブシャアァァッ!
剣が厚い毛皮と肉を裂いて、血が噴き出す。
グガアアアアア!
ベアーが断末魔の叫びを上げ、悶え苦しむ!
「うおおおおっ!」
やばい!斬った後のコト……考えてなかったっ!
必死にしがみつくが、巨体の揺さぶりに耐えきれず、ついにビル五階分の高さから放り出された。
空中で天地が逆転し……地面が迫る。
その瞬間――
「ウオールッ!!!」
Vビルめがけて疾走するユキが、防御スキル発動!
バフウッ!
柔らかい素材の壁が即座に展開され、落下の衝撃を丸ごと吸収した!
ザザザザ!そのまま地面に転がり落ちる。
「ダイキ! 間に合った! よかったーっ!」
ユキが思わず抱き着く。
「お……おおうっ!」
そして、ハヤブサたちも駆けつけてくる。ゴーレム軍団を撃破した、スフィーダのメンバーが再び集結。
「行くぞ!」
ハヤブサ、アスカ、ジャネットが次々とベアーに斬りかかる!
グアア……
ズウウウウウン!
激しい地鳴りと共に、ブラッディベアーは崩れ落ち、ようやく息絶える。
「……!!」
ユキはハッとして、恥ずかしそうに俺から体を離す。
難敵、岩ゴーレム三体とブラッディベアーを撃破!
ようやく午前のコース終了……!
「ひょっとして……このコース、めちゃヤバいんじゃね……」
全員ぐったりしながらブルーシートを敷き、お弁当を黙々と食べる。疲れすぎて言葉も出ない……
午後に向けて、ダイキたちとスフィーダのメンバー、さらにサダトラも加わって北へ移動。
北側では、エミリア率いる部隊が侵攻をなんとか押し止めているはずだ。そこへ俺たちも合流する。
一体、どんなごつい魔物がいるのか……
今回の敵はビル5階分の大きさ……次はどこまで大きくなるのか?
気になる方は★、ブクマなどお願いします!




