第ニ六話 ブラッディベアー戦1
「みんな! 二列に並んで! 出発するよーっ!」
翌朝。キリカの号令とともに、一行はぎるぎる荘を出発した。すでにエルトーロのメンバーは各拠点に散り、魔物との戦いを始めている。
ブンブン
「こっちよ〜っ」
キリカが「板山ギルド」と書かれた小旗を振りつつ、最初の目的地に向かう。
ツアー気分出るなあ!
しかし、到着した瞬間に旅行気分は一気に吹き飛ぶ。そこは、東地区で一番の激戦区。サダトラが中心となって、大量の魔物と激しい戦闘が繰り広げられていた。
「おおっ。みんな!待ってたぞ!」
グオ……グガガア……
群れをなす、大量のオーク、ゴブリン、トロール。さらに、三階建ビルほどの巨体、ゴーレムがウロウロと気まぐれに歩き回る。
鈍重な足音が地面を揺らすたび、土煙が弾ける。
「サダトラ!"リンク"だ!」
ハヤブサが叫ぶ。リュウガの一番弟子サダトラとは、同じ物理スキル同士で相性がいいのだ。
「一文字流!斬撃ッ!」
「明智式剣撃ッ!」
ズシャアアアッ!
轟音とともに、大地が切り裂かれ、雑魚の群れが四散する。
目の前には護衛を失った、三体のゴーレム!
ジャネットがゴーレムの群れめがけて疾走する。
「アスカ!行くわよ!」
「りょうかいっ!」
ピロン!
ギルチャのトーク通知が鳴り、リリーから全員にメッセージが届く。
ギルドで待機するリリーは、魔法の力で戦況を把握。ギルチャで的確な指示を飛ばす!
―――――
トーク画面
―――――
ジャネットとアスカはゴーレムに電撃+光のリンク攻撃で岩肌を裂いて!
ハヤブサとサダトラは、その裂け目めがけて物理攻撃!
褐色のゴーレムから倒して!
ダイキ! 北東にVの字に並んだ大きな廃ビルがある!
そこに東地区のボス、ブラッディベアーがいる!
(オッケー、のスタンプ)
(オッケー、のスタンプ)
(オッケー、のスタンプ)
――――――
俺はVビルに向かって走る。
二棟のタワーがアルファベットのV字にそびえ立っていたことから、そう呼ばれた場所だ。
そのV字のくぼみ、朽ちたタワービルに挟まれた空間に巨大な影がうごめく。そこで目にしたのは……
グガガガガ……
現れたのは、全身が漆黒の毛で覆われた、巨大なクマ型の魔物、ブラッディベアー!
ビル五階分ほどの高さ。威圧感で肺が固まる。
ビルに囲まれた地形。
俺はレトロゲームスキルから、とあるゲームを選択。
‘’Z―タイプ‘’
グラディオスと並ぶ、名作シューティング。まばゆい光に包まれ、全身に機械が装着される。
これを選んだ理由は二つある。
まず、周りにいる雑魚のオークを倒して、クリスタルを集めてパワーアップする。すると、自機の前に「フォース」と呼ばれる、攻守両用の兵器が装着された!
そして、魔力を集中させて、上空へ飛び立ち、ベアーの正面に向き合う。
グギギァ……
ブオン!
ベアーはがれきの山をつかんで、投げつけてくる。
ガイイン!
しかし、全面に装着されたフォースが、がれきを全て弾き返す!このフォースは、敵の攻撃に対して無敵なのだ!
操作に少しくせがあるが、とにかく便利なのだ。これが使える、というのが一つ目の理由。
そして、もう一つの理由は……
「反射レーザー!」
シュアアア!
俺の合図とともに、前方に装着したフォースから、幾本ものレーザーが放射状に走り、ビルの壁で反射して跳ね返る。
カキイイイイン!
レーザー光線はV字型に囲まれたビルを乱反射しながら、一気にベアーへと殺到する!そう、建物に囲まれた地形だと、反射レーザーの威力が倍増するのだ!
ズガ!ズガアッ!ズン!
グオオオオ……オアアッ!
四方八方から浴びせられるレーザーの集中砲火。
爆音と共に煙が立ち上り、ベアーは膝をついて、――やがて倒れ込んだ。
グガガガアア……
「やったか!?」
しかし!黒い巨体は再びゆっくりと立ち上がり、俺を睨みつける。
「……ッ!全然効いてない……!?」
このゲームのボスにも、弱点となるコアがある。俺はベアーの周囲を旋回しながら探すが——どこにも見えない。
……レトロゲームスキルの影響を受けないよう、ルキアが細工してるのかも知れない。
……!
やがて、ついに魔力が尽き、地面に着地する。
ガ……ガガ……アアアッ
鋭い眼光がこちらを射抜く。
ズシン!ズシン!
地鳴りが迫り、死を覚悟したその時!
ピロン!
ギルチャに通知。
――――――
トーク画面
――――――
ベアーの弱点は首の後ろ!
そこに神経が集まってるから、剣で断ち切って!
――――――
「首の後ろ……!」
回復担当のモモカはゴーレム戦のサポートで手一杯だ。空中戦を続ける魔力はもう残っていない。
「レトロゲームスキル!」
魔力消費の少ない、さらに昔のシンプルなゲームで突破口を開けないか……
ベアー強い!ダイキを応援したい方は……
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