第二四話 ぎるぎる荘のおもてなし
しばらく歩き続け、昼をちょっと過ぎた頃に品川ギルドへ到着。
「ようこそ! 品川ギルドへ!」
エルトーロのメンバーたちが明るく出迎える。
「よく来たな!」
俺とハヤブサは――リュウガ、サダトラと固い握手。
「リリーちゃん! 会いたかったよ〜っ!」
「ユキちゃん!」
ユキとリリーはそういえば前回会ってないから……初対面。でもすでにギルチャで親友になっていて、抱き合って対面を喜ぶ。
エルトーロ側の案内役はエミリアが担当する。
ぞろぞろ、ぞろぞろ
板山ギルドのメンバーを引き連れて、ギルド案内。
「ここが受付よ」
一階は、パーティ登録したり、依頼を探したり受けたりする場所。基本的な作りは板山ギルドと同じだ。
二階は本来ギルドマスターの部屋だが、現在不在らしく、ベテランのリュウガが兼任している。
「さてさて、次はお待ちかね、ぎるぎる荘に行きますよ!」
「お願いしますっ!」
ギルドを早々に引き上げて、しばらく拠点となる宿舎に移動。ちょっと楽しみ!
ぎるぎる荘は、二階建てのやや年季が入ったシンプルな建物だが、手入れが行き届いていて、とてもキレイ。入り口を入ると、すぐに食堂。全員入っても余裕の広さだ。ドリンクバーも完備!
その奥には男女別の大浴場。一日おきに男湯と女湯が入れ替わる。魔力回復に効果的な温泉をわざわざ引いてるらしい。
そして二階は、男女別の大部屋!
「布団はセルフでお願いね!」
おおお、これは、まさに修学旅行!
もっとも、隠キャだった俺は、そんなに深い思い出があるわけでもないけど。今度こそ、楽しい思い出を……いや、そんな場合じゃない気もする。
エミリアが今後の予定を読み上げる。
「この後は自由時間です! 六時から夕食なので、それまでに食堂に集まってください。そして、八時からお風呂に入れます! 消灯時間は十一時です。ちゃんと時間通り寝る事! 見回りしますからね!」
めっちゃ修学旅行感あふれてるな……
そして自由時間。
そうそう、忘れてた!仕事もちゃんとしないと!世界を救わなきゃ!
俺とハヤブサ、リュウガは食堂に集まり、対ルキアの作戦を練る。
ハヤブサが感心した様子で、話を切り出した。
「すごい立派な宿舎だな!」
「うむ。ルキアは十五年前に板山台操車場の攻略に失敗している。次に狙うなら品川だと読んで、リョウコと共に準備を進めていたのだ」
リュウガの返答に、俺も質問を重ねる。
「違う場所を狙うのはわかるが、なぜ品川なんだ?」
「その答えは、ここの作りにある」
リュウガは地図を広げて、品川の北側を指で囲む。
「ここは、品川車両基地。まず広い。板山台操車場の倍はあるだろう。つまり、魔物を大量に召喚するスペースがあるのだ」
さらに今度は南側を指差す。
「そして、これが一番重要なのだが……ここに"ゲートウェイ"がある」
「……?」
元の世界とは少し意味合いが違うようだ。
「このゲートウェイは、地下鉄の出口となっている。四車線。板山台の出口より倍の規模だ」
「!!」
それは、倍の大きさの魔物を召喚できる事を意味する。前回の二倍サイズのオロチ……なんて地獄絵図もあり得る。
俺とハヤブサは思わず息を呑む。
「しかも、このゲートウェイはすでに突破されている。ただ、この基地の周囲は大きな建物に囲まれている。半分朽ちてはいるが……その隙間に防御魔法の壁を張り、辛うじて押さえ込んでいる状態だ」
「そうなのか……」
「まずは防御魔法を強化し、次に基地内の魔物を一気に掃討する。そうすれば、必ずルキアは姿を現すはずだ」
「確信はあるのか?」
「ああ。俺たちが魔物を掃討するたび、ゲートウェイからルキアが毎回現れ、さらに大量の魔物を送り込んでくる。このままではジリ貧だ。どこかでこの流れを断ち切らねばならん!」
想像以上に状況は悪そうだ。リュウガの表情には緊張感が浮き出ている。
「つまり、ルキアの召喚スピードを上回るペースで魔物を倒し続ける必要がある」
「問題はオロチやゴーレムのような大物だ。こいつらに手間取ってると、永遠に追いつかない」
「特にオロチは化け物だ。全員で戦っても勝てるかどうか……」
険しい空気の中、対ルキア戦に向けての議論が続く。
――――――
その一方で、品川と板山の世話役、エミリアとキリカは入念な打ち合わせを重ねていた。
エミリアがペンを走らせる。
「えーっと、明日の予定は……っと。ほんっと、全部任せきりなんだから!」
「やっぱ、おっきい魔物の方が見応えあるよね」
「ついでに倒していけば、一石二鳥よ!」
――――――
なんだかんだで、慌ただしく自由時間が過ぎていった。
悪化する状況、打破できるか??
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