第二二話 めちゃ仕事できる人
「ふうーっ、やっと終わった……」
夜更けの二階。
応接室の奥にあるリョウコの執務室から、深いため息が漏れる。彼女はギルドの他に、学校の運営もあるので、とにかく忙しいのだ。今日も夜遅くまで残業。
ようやく一段落した頃に――俺とハヤブサが部屋に駆け込む。
「リョウコさん!」
「……あら、どうしたの?」
「……これを!」
息を切らせながら、ハヤブサがスマホのトーク画面を差し出す。リョウコはそれを受け取り、無言のまま画面を見つめる。
…………
プルプルプル……
リョウコの肩が震え始めた。
大きな犠牲を払った十五年前の戦闘。その名を思い出すだけでも、怒りに震えるほどの憎悪。
「……許せない!」
「……」
「……このクズ男!」
「……!?」
「私にとって、ギルドの子はみんな、娘同然なのよ!」
「…………!?」
「そんなカワイイ私の娘をもて遊ぶなんて!」
「………………!?」
「ユウジ!許せない!!」
(いや、それはそれで問題ですけど……最後まで読んでくださいっ!)
怒りのオーラで室内の空気がビリビリと震える。
ミシ……ミシ……と床が不穏な音を立て始める。
いけないっ!とりあえず水!水!
(ちゃんと用意してますよ!)
ごくり
「ゴメンナサイね。取り乱しちゃって」
舌をペロリと出して反省。
「リョウコさん、落ち着いて、最後のメッセージ読んでください!」
「……!!」
…………
「そう……対決は避けられないわね」
「全力で当たるべきかと」
「わかったわ。貸しなさい」
リョウコはユキのスマホをささっと操作する。
――――――
※ユキとリリーのトーク画面
――――――
リョウコです。ユウジと別れなさい。
それから、板山ギルドの拠点を品川に移します。受け入れの準備お願いね。
――――――
俺とハヤブサはその様子を呆然と眺める。
「……!!」
なんか、すごい大事なコトをまとめて解決してる……めちゃ仕事できる人だ……!
「という事で。板山は私とBクラスのパーティで守るから、ハヤブサとダイキのパーティは品川に向かってね」
「……は、はいっ!」
ピロン!
魔力が回復したのか、再び圏内になって、リリーの返信が届く。
――――――
※トーク画面
――――――
おけ
――――――
「…………!」
重い話だと思ったけど……アッサリ返信きた!とにかく、よかった(?)です……
俺たちは酒場に戻って、慌ててみんなに”拠点移動”を伝える。細かい段取りは明日以降、ハヤブサとリュウガで詰めていく事にして、今日のところは解散となった。
――品川で、何が起きているのか。
緊張と不安が、じわりと胸を満たしていく。
リョウコの愛情が胸に染みます……
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