第十六話 暴走?いえ、救出です
◇◇◇◇
ブロロロロロロロ――ッ!!
ひび割れたアスファルトを巧みに避け、あちこちに転がるがれきを跳ね飛ばしながら――イエローキャブが、轟音とともに廃都を突き抜ける。
ユキは鬼気迫る表情で、両手を握りしめ巧みにハンドルを切っていた。
「うおおおおおっ!! いけぇぇぇっ!!」
建物の壁すれすれをかすめながら、魔物が群がる車両基地へ一直線!
グガガ……ガアアアアッ!!
オークやゴブリンが湧き出るように現れ、進路を塞ぐ。鋭い牙を剥き、車体に飛びかかろうとした瞬間――!
アスカが叫ぶ。
「あぶないっ!」
ユキが左手を突き出す。
「……ウォールッ!」
ズシャッアアア!
ガアア……アアッ!
ユキはとっさに防御スキルを発動!両側の道路に半透明の壁がせり上がり、突進してきた魔物たちを弾き飛ばす!
そして、絶叫する。
「……ジャマすんじゃねえッ!」
ブオオオオッ!
アクセルを踏み抜き、イエローキャブが獣のような咆哮を上げて突進!
「……ユキ??」
アスカは呆然とユキの運転を見守る。
どうやら、ハンドルを握ると性格が変わるタイプのようだ……
◇◇◇◇
魔物たちが群れる、車両基地のど真ん中。
ハヤブサ、ジャネット、マキオ――スフィーダの面々は、複数の巨大なゴーレムに包囲され、絶体絶命。
グル……グアア
ズドオオオオン!!
「うおおおっ!」
石の拳が次々と地面を砕き、衝撃波が辺りを吹き飛ばす。
なすすべもなく、なぎ倒された……ジャネットが思わずつぶやく。
「……わたし……この仲間と……戦えて……よかった……」
「いやいや、諦めるの早いって!」
ハヤブサが慌てて諌める。
マキオも巨体を丸めて、語り始める。
「俺……約束した人がいるんだ……」
「ちょっ、いきなりフラグ立てんなよ!」
「マリリン……愛してるよ……」
「……」
「来週の握手会、行けないかも……」
※マリリンは、この世界線で大人気のアイドル。
グゴゴコ……ォ!
ブワアアッ!
巨腕が再び振り下ろされる――!
「うおおおっ! やべえっ!」
しかし……敵が多すぎる!ハヤブサも避けるので精一杯だ。
その時…… !
ブロロロロロロロロ――ッ!!
地鳴りのような轟音とともに、土煙を巻き上げて黄色い物体が猛スピードで迫ってくる!
「な、なんだ……!? 新しい魔物か!?」
ハヤブサが剣を構える。
ブウウウン!! ドゴガガガガッ!!
グガガガアア!
そして、魔物をなぎ倒しながら猛スピードで通り過ぎる!
「…………??」
ハヤブサたち、呆然と見送る。
…………
「ちょっと!ユキ!今の、ハヤブサたちでしょ!?止まって!」
「ムリムリムリムリ!」
「じゃあ戻って!」
「オッケー!」
ズザザザザザアッ!
ユキがハンドルを一気に切る。
タイヤが悲鳴を上げる。キャブはドリフト状態で後輪を滑らぜながら、180度スピン――!
土煙を巻き上げて、再びハヤブサたちの方向へ突っ込む!
ブオオオオッ!
アスカが助手席から身を乗り出して叫ぶ。
「みんなーっ! 飛び乗ってぇぇぇ!!」
「アスカ!」
その声に反応し、ハヤブサたちはタイミングを合わせて――
「おおおっ!」
ズシャァァァッ!
突進するイエローキャブの後部座席に飛び込む!
さすがの運動神経!
「全員、乗ったね!!」
「いやいや、どうなってんだこれ!?」
その直後――!
グゴゴオオオオオッ!
車の正面めがけてゴーレムが巨大な拳を振り回す!
間に合わない!
ハンドルを握るユキは、なんと!さらにスピードを上げてゴーレムに突進!そして叫ぶ!
「しがみついてええええええッ!!」
ガガガガ……ッ!
ブオオオオッ!!ブオン!ブオオン!
「飛ぶよっ!」
パアアアア……ッ!!
斜めにせり出したがれきを踏み台にして、イエローキャブが宙を舞う!
「おおおおおっ!」
「きゃあああ!」
ブオオオオン!
ちょうどその真下を、空気を切り裂きながらゴーレムの拳がかすめていく!
ズガガガガッ!
立ち昇る砂煙。
キャブが荒々しく着地!そのまま魔物の群れを引き離し、拠点へと疾走する!
ブロロロ……
助手席のアスカが振り向いて、後部座席に向かって叫ぶ。
「みんな、大丈夫!?」
「……ああ……それにしても……ちょっと……突っ込み所が多いんだけど……」
ハヤブサがアスカに耳打ちする。
「……てか……運転してんの……ユキだよな?」
「……う……うん」
「……マジかよ……あんなキャラだっけ……」
ハンドル握ると性格変わる人いるよね……と思った方
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