表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/70

第十五話 イエローキャブ

◇◇◇◇

 バサ……バサ……バサ……


 俺たちを乗せたドラゴンは軽快に空を駆ける。翼が空気を裂くたび、心地よい振動が体を揺らす。かなり魔力は消費するが……ユキの回復スキルにも助けられて、なんとか品川に到着。


 品川駅に当たる場所の北側に、朽ちた高層ビル群に囲まれた広大な土地が現れる。品川車両基地だ。前世ではすでに再開発されていたが、この世界線ではまだ残されているようだ。


 その一角で、群れを成すワイバーンが舞い、その下で魔物と戦う人の姿が見える。


「あそこだ!突っ込むぞ!」

 俺の合図で、ドラゴンが一気に加速する。巨大な翼が激しく羽ばたき、ワイバーンの群れへ鋭く突っ込む!


「うおおおっ!」

 シュアアアッ!

 灼熱のレーザー光線が何本も放たれ、敵を焼き尽くす!


「やあああっ!」

 ビィィィィッ!

 アスカも光のスキルを発動させ――まばゆい閃光が、次々と敵を撃ち落としていく!


「……ダイキ!」

 地上ではハヤブサが剣を振り、魔物の群れをなぎ払っていた。仲間たち――スフィーダのメンバーも、傷つきながらも全員がまだ健在だ。


 見渡せば、彼らの周囲は魔物で埋め尽くされていた。オーク、ゴブリンの群れに混じって、何体ものゴーレム、白トロールが徘徊する。


 バサ……バサッ!……バサッ!

「完全に……地上出口が突破されてるな……」

「ゴーレム!いったい、何匹いるのよ……」

 その異様な光景に、思わず息を呑む。


「……ハア、ハア、ハア」

 振り向くと、ユキが青ざめた顔で、肩を震わせている。


「……大丈夫か!ユキ!」

「……魔力が……」

 ドラゴンの飛翔には、多大な魔力を要する。回復スキルで魔力を供給し続けたユキの体力は、限界に近い。


 幸い、ワイバーンの群れはほぼ掃討済み。あとは地上からでも何とかなるだろう。


 俺は周囲の地形と、敵の配置を頭に叩き込み、判断する。

 品川駅の前にそびえ立つ廃ホテルの合間に、隠れるようにドラゴンを滑り込ませ、静かに着地した。

「……よし、ここを拠点にするぞ!」


 残念ながら、品川車両基地は完全に制圧されている。ギルドの仲間たちを救出して、体制を立て直すべきた。


 俺は再びスキルを発動する。

「レトロゲームスキル!」


 沢山のタイトルの中から――俺は意外なタイトルに目を付ける。今の状況で選ぶべきは……攻撃ではなく、“移動”と“救出”に必要なスキル。


 "クレイジードライバー"


 街中をタクシーでぶっ飛ばして、客を目的地へ送り届けるイカれたドライブゲームだ。

 周囲が光に包まれたのち……


 ブルン!ブル……ブルン!ブルン!

 光の中から現れたのは……

 ど派手な黄色のカラーリング、ゴツゴツと角ばったアメ車特有のフォルムをまとったオープンカー。


 アメリカンなタクシー、イエローキャブだ!

 

 

 アスカとユキが同時に声を上げる。

「……これは……車……!?」


「この拠点に、ギルドのメンバー全員を撤退させる!アスカはユキと一緒にここで拠点を守ってくれ!」

「わかった!」


 その前に……俺は拠点の周囲をぐるりと一周して、魔物がいない事を確認する。絶対に、彼女たちを危険な目にはあわせない――!



◇◇◇◇

 

 ……その間、拠点で待つアスカとユキ。


 ユキが目を輝かせて、車を覗き込んでいる。

 彼女は、実は無類の機械マニア。古代の機械を見ると血が騒ぐタイプだ。


「……すっごい!朽ち果てた車はよく見るけど……動くのって、初めて見た!」

「教科書に載ってたね。聖戦前はメジャーな乗り物だったみたいよ」

「ちょっと乗ってみない?」


 …………

 ユキが運転席に、そしてアスカが助手席に乗り込む。アメ車の内装は無駄にリッチだ。

「やば!ふっかふか!」

「これかな……」


 ごそごそ、ごそごそ


 カチッ!

 ユキがその辺にあるツマミを適当にひねると……

 プルルルル、ブルン!ブル!

 派手な轟音、エンジンが唸りを上げる。

「うわ!動いた!」

「すごい!……これ何かな」

 ユキは調子に乗って、足元のペダルを踏み込む。


 ブオン!ブオン!ブオオオオッ!


 その瞬間!アクセル全開のイエローキャブが急発進!


「きゃあああ!」

「うわあああ!」

 アスカが絶叫する!

「やだ!ぶつかる!」


 ドガガガッ!ブロロロロッ!!


「大丈夫、任せて!」

 ユキの瞳に鋭い眼光が宿る。

 ハンドルを器用に切って、廃ビルの柱をスレスレでかすめながら突き進む!


 ブオオオオ!オオオン!

 そして、イエローキャブは爆音を響かせてビルの外へ飛び出す。


「ちょ、ちょっ!これ、止まんないの?」

「わかんないけど、操作はできるわ!とにかく、ハヤブサたちのトコに行けばいい……のかな」


 ガタガタ!ブロロ!


 ガレキを蹴散らしながら、イエローキャブは魔物群がる品川車両基地に向かっていく。


◇◇◇◇


「拠点としては完璧だ!とにかく、リョウコのためにも……あの姉妹には、一ミリたりとも危険な目に合わせない!」

 俺は偵察を終えて、意気揚々と戻るが……


「……!?」


 ええ!?誰もいないんですけど……

 で、車は??


 外に飛び出して、周りを見渡すと……

 ブロロ……ロロロ……


 遠く、土煙を巻き上げて走り去るイエローキャブ。

 その先には、魔物で満ちる車両基地――

 

「ちょっ!どうなってんだよ!」


 俺は走って車両基地の方に向かう……



イエローキャブ、乗ってみたい!と思った方……

評価(★)、ブクマ、コメントなどお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ