第十三話 命を賭して
息絶えたオロチの長い首が、複雑に絡み合いながら地面に横たわっている。その合間には……力尽きた仲間たちの姿が散らばっていた……
「……な……なんてこと……」
リョウコは呆然と立ち尽くす。
そして、次に目にしたのは……
折り重なるように、息絶えた男女二人の遺体。
…………!!
「ハルト!……サユリ!!」
「ねえ、聞いてよ……わたし……守ったから……」
リョウコの頬に涙が流れ落ちる。
顔をさすり、語り掛ける。
返事は、ない。
血の匂いの混じった風が、濡れた頬をなでつける。
命を賭してオロチを封じ、突破口を開いた。そして、ルキアの魔の手から、操車場の防衛戦を死守。
その代償は、あまりにも大きかった……
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
…………少しの沈黙と、静寂。
リョウコは静かに瞳を閉じ、犠牲者を追憶する。その壮絶な過去。俺の頬にも涙がこぼれ落ちる。
この死闘で、ギルドから多くの犠牲者が出た。リョウコは、ギルドの直轄組織として……戦いで親を亡くした遺児たちを預かる施設と、学校を立ち上げる。
そして、亡き両親に代わって、アスカとユキの成長を見守ってきたのだ。
「……ごめんなさいね。つい昔話が長くなっちゃって。年は取りたくないわね」
「……ぞ……ぞんなごと……ないでず……」
俺はすっかり涙声になっている。
「アスカとユキの性格は、両親とそっくりなの。正義感の固まりで……」
リョウコは真剣な表情で、俺の目を見つめる。その瞳には、母のような優しさと、指揮官の覚悟が宿っていた。
「だから、とても心配なの。いつか、ルキアと戦う事になるでしょう」
「……そうだな……」
「あなたには、特別なスキルがあるわ。誰も見た事のない、不思議な力。でも、無限の可能性を感じるの」
リョウコは俺の腕をぎゅっと握り、祈るように言葉を紡ぐ。
「あの子たちを守って……!あなたなら、できる。これは、ギルドマスターとしての、絶対の、命令よ」
俺は言葉に詰まり……ただ深く、静かにうなずいた。
そんな過去があったなんて……
巨乳JKって呼んだり、エッチな格好させたり……
もうしません……たぶん。
それから、確信がないので口には出さないが、俺には一点引っかかる所があった。
……「ルキア」という名前だ。
昔何かの映画か、ゲームで聞いた名前だが、そんな悪いヤツだったっけ……
すっかり冷めた紅茶を口に含み、お互い一息つく。そして、今後の方針について意見を交わす。
「ハヤブサたちからの連絡は……?」
「まだないの。そろそろ板山に戻るはずだけど……」
「誰か、品川でルキアを見たんですか?」
「正確には、誰も見てないわ。あいつは臆病者で、滅多に姿を見せる事はない」
「じゃあ、なぜ品川を?」
「巨人ゴーレムが、品川で目撃されてるの」
「……!」
「暴れずに、すぐ姿を消したみたい。つまり……ルキアがゴーレムの側にいて、制御してるはず」
「何のために?」
「わからないけど……恐らく、今度は品川の車両基地に至る、地上への出口を狙ってるんじゃないかしら」
「日曜、もしハヤブサたちが戻らなかったら、俺たちも品川に行きます」
「そうね……お願いするわ。ただし、ルキアと戦う必要はないわよ!あくまで情報収集ね」
「了解!」
俺はギルドで、日曜に備えて色々装備品を購入。そして、帰路についた。
空には、雲間からわずかに覗く月。
まるで、この地で散った戦士たちを追憶するかのように――静かに輝いていた。
壮絶な結末……
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