表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/70

第十ニ話 ルキアとの死闘

 俺たちは一日の作業を終え、板山ギルドに戻った。

 二階の応接室へ向かうと――


「リョウコさん! 久しぶり!」

「お久しぶりです!」

 ペコリ、ペコリ

 部屋に入るなり、アスカとユキは勢いよく頭を下げる。

「知り合いなのか?」

「もちろんよ!」


 そして、皆でテーブルを囲んで操車場の様子を細かく報告する。俺は想像以上に被害が大きい事、そしてあのクラスの魔物がまた現れないか心配してる事を伝える。


 リョウコは黙って頷き、沈痛な声でつぶやく。

「……そうね。間違いなく召喚士ルキアの仕業ね。でも……ハヤブサからは、まだ報告がないの」


 アスカが思わず割り込む。

「ルキア! それ、やばくない?」

「ルキアって……そんなに強いのか?」

「……ルシフェル王直属、最高ランクの黒召喚士よ!」

 そうなのか……やっぱ、マンガだけだと知識が浅いな……


「……また現れるなんて!」

「……許せない」

 心なしか、姉妹の声が怒りで震えてるように見える。その様子を見たリョウコは、慌てて制した。

「アスカ、ユキ!あなたたちの仕事は、学校をしっかり卒業するコト!ルキアの件は、私たちに任せなさい」

「……はい」

 ユキが渋々うなずく。


 ――その後、俺は彼女たちの“怒りの理由”を、リョウコから聞くことになる。



◇◇◇◇


 翌日――

 アスカとユキが学校に行っている間、俺は報酬を受け取りにギルドへ立ち寄る。


 二階の応接室で、リョウコは時折目を閉じながら、俺にルキアの話を聞かせてくれた。


◇◇◇◇ 十五年前―― ◇◇◇◇


 聖戦から三十五年の時が過ぎ……

 ロマンシア女王が地下に封じた黒召喚士たちは、徐々に魔力を回復し、ついに本来の魔力を取り戻しつつあった。

 そして――地下を完全に制圧。地上への侵攻が始まった。


 その最前線となったのが、板山台操車場。

 操車場の手前は地下鉄がちょうど地上に出る場所になっており――黒召喚士の操る魔物たちと、板山ギルドのパーティが全面対決する舞台となった。


 その戦いの中心にいるのは――新谷姉妹の両親である、新谷ハルトと、サユリ夫妻。そして、ギルドマスターのリョウコ。


 グアア……グアアア……

 オーク、ゴブリン、トロールの大群。

 地下鉄の出口から、黒いオーラをまとった魔物の群れがあふれ出す。


「アースクエイク!」

 バキバキバキバキ!


 リョウコが両腕を叩きつける!

 大地が悲鳴を上げ、無数の亀裂が走る。魔物たちはあえぎ声を上げながら地の底へと沈み込んでいった。


「シャイニング・ソード!」

 バリバリバリ!


 ハルトの剣が閃き、青白いエネルギーの塊が地を裂く。一瞬で十数体の魔物が焼け焦げた。


「バリア・フォース!」

 サユリが詠唱を重ねると――光の盾が味方を包み、迫る敵の群れを弾き返す。


「とおおおっ!」

 ズシャッ!

 若きハヤブサも疾風のように剣を振るい、次々と敵をなぎ倒していく。


 グオオオオ…オオオ


 ――地鳴り、閃光、爆風。そして魔物たちが発する断末魔のうめき声。板山、いや東京のギルドでも最強のメンバーが集まり、地上への防衛線を死守する。


「やったか……!?」

 ハルトが一息つこうとした――その時。


 地の底から、さらに邪悪なオーラが迫る。そして、黒いベールをまとった小柄な影が、ゆっくりと姿を現した。


「……黒召喚士、ルキア!」

 リョウコが叫ぶ。

「まさか……もう封印が解けるなんて……!」

 聖戦でロマンシア女王が命を賭して封じた……最高ランクの黒召喚士。

 ベールの奥に細身で色白の顔がわずかに見える。その瞳は氷のように冷たい。


 パーティ全員の顔に緊張が走る。


 ……

 スーッ

 さらに、不気味なほど静かに、地下鉄出口から歩み出て……


「…………オロチ……召喚……」

 小さな声でつぶやいた後、右腕をサッと突き上げる。


 シャアアアアーーーッ!

 シャア……!

 シュアアア……!


「……!」

 グアアアッ!


 地下の闇を切り裂き、出口から無数の竜の首がうねり出た。重いうめき声と共に、一斉に頭をもたげて襲いかかる!


「……多頭竜だ!」

「うおおお……っ!」

「ぐあああっ!」


 竜の一撃が地面を砕き、炎が吹き荒れる。防御魔法を張る間もなく、ギルドの戦士たちが次々と吹き飛ばされていく。


「……ひるむなっ!ここは絶対死守する!」

 ハルトが怒号を上げる。


 ……この背後に立ち並ぶマンション。その一室では、幼いアスカとユキが、彼らの帰りを待っている。


 ……絶対に、守り抜く。



 オロチの前に、ハルトが立ち塞がる。

「おおおおっ!」

「ウォール!」

 サユリは防御スキルで必死に竜の動きを抑える。


「シャイニング・ブレード!」

 バリバリバリバリ!

 光の剣が竜のあごを切り裂き、爆発音と共にウロコが飛び散る。


 ヴァアア……ガアア……


 だが――オロチは止まらない。

 再生し、わめき散らし、さらに暴れる。


 ハルトはリョウコに向かって叫ぶ。

「リョウコ!俺たちの力じゃ倒せない……でも封じる事はできる!その間に、ルキア本体を倒してくれ!」

「わかった!」


 バリバリバリバリ!

 グアアア……!

 リョウコは、オロチが剣閃に苦しんでる間に、魔力を集中させて戦場を駆け抜けた。

 竜の首がうごめく、そのスキマをすり抜け、必死にルキアを探す。

「……ルキア、どこだ!」


 グアアア……グアアアッ!

「うおおおっ!」

 オロチの雄叫びと悲鳴が交錯する。ハルトたちももう限界だ。


「ちくしょう!卑怯者!出てこい!」

 リョウコは涙を滲ませながら、必死で走り回る。


 ……!

 その時!無数に絡み合う竜の首。そのスキマに、僅かに黒い影が動くのを見つける。

「見つけた……!」


 タタタタ……!


「ルキア!逃げるなっ!逃げるなっ!」

 必死で追いかけて、大地のスキルを発動する!


「アース……クエイクっ!」

 バキバキバキバキ……!


 逃げるルキアの背中めがけて、地面に亀裂が走る。


 届け……!

 届け……!


 バキッ!ガラガラガラ……!


「うああああっ……!」


 間に合った!ルキアは叫び声と共に、奈落の底に落ちていく。


 グアアア………ァ……


 主を失ったオロチは、徐々に動きが鈍くなり、やがてその首を地に落として息絶える。


 ……!

 リョウコは急いで出口に走る。

 そこで見た光景に、絶句する。



ルキアとの壮絶な死闘。その結末は……

評価(★)、ブクマ、コメントなどお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ