第5話 王女の決断と新たな未来
王宮に訪れた静かな朝。前日までの緊張が少しずつ溶け、庭には小鳥のさえずりが響く。しかし、私は知っていた――図書館にはまだ未知の書物があり、王国には新たな脅威が迫っていると。
「王女様、今日も図書館ですか?」
メイドのミアが、いつも通りコミカルに尋ねる。
「ええ、まだ解読していない書があるの。」
「……また王女様の“秘密の趣味”ですね。」
「趣味じゃないわ、ミア。これが王国を守る武器なの。」
ルイスは黙って私の後ろを歩き、剣を握りしめる。彼の視線には、決意と私への信頼が混ざっている。
「王女殿下、慎重に……」
「わかってる。でも、放置できないの。」
図書館の奥深く、普段は誰も近づかない書棚に一冊の本が静かに光を放っていた。
『王国の未来――最終秘書』
ページをめくると文字が光り、頭に情報が流れ込む。外部結社が王国の重要機関にまで手を伸ばし、王族をも脅かす計画が記されていた。
「……これが最後の脅威ね。」
「王女様、本当ですか?」ルイスが少し顔を曇らせる。
「ええ。でも、この本があれば阻止できる。」
エルは歓喜の声を上げ、魔法で暗号や呪文を解読。金髪ツインテールの彼は、夜の図書館の光を受けて、まるで舞台の主役のように輝いている。
「僕の魔法で、完全に解読できたよ!」
「頼もしいわね、エル。」
こうして、最終決戦に向けてチームが再結束した。
夜。王宮の秘密通路で、外部結社の幹部と王族の協力者が集まる部屋を発見。ルイスとエル、そして私のチームプレイで慎重に接近する。
「王女様、これ以上は危険です!」ルイスが声を潜める。
「大丈夫。計画は全て頭に入っているわ。」
魔法で部屋を封鎖し、敵の動きを封じる。私は本の知識を活かし、相手の弱点を次々と突く。
「ここが急所!」
「な、なぜ知っている!?」敵が叫ぶ。
「本の力よ!」
逆転勝利の瞬間、王宮には静かな安堵が広がった。
事件後、王国は完全に平和を取り戻した。王族や市民は、王女エレナの知略と勇気を称賛する。仲間との絆も深まり、信頼は揺るぎないものとなった。
その夜、庭の噴水の前でルイスと二人きりになる。
「ルイス、ありがとう。あなたがいれば、心強い。」
「王女殿下……僕も、ずっとそばにいます。」
月光に照らされ、手を握る。頬が赤くなるルイス。私は微笑み返す。恋愛フラグが、ようやく大きく花開く瞬間だった。
「でも、王国を守る使命はまだ続くわ。」
「はい、王女殿下。」
翌日、図書館を公開する計画を王宮に提案。知識を市民と共有し、王国をより良くするための改革だ。
「本を読む時間が、最高の贅沢ね。」
仲間たちと笑い合いながら、王国に新たな希望の光を灯す。
王宮の庭で夜空を見上げる。星々の間に、かすかな魔法の光が漂う。図書館の書物たちはまだ未知の力を秘め、私たちの未来を静かに見守っている。
「まだ、物語は終わらない……」私は小さくつぶやく。
「本と仲間がいれば、私たちは強い。」
そして、王女エレナとしての新たな人生が、静かに、しかし確かに始まった――。