第4話 図書館の秘密と新たな脅威
公爵と第二王子の陰謀を阻止してから数日、王宮には一時の安らぎが訪れた。しかし、私――エレナ・ヴァルティア王女は直感していた。図書館の奥には、まだ未知の力が眠っていると。
「王女様、今日も図書館ですか?」
メイドのミアが、やはり心配そうに尋ねる。
「ええ。まだ解読していない書があるの。」
「……また王女様の“秘密の趣味”ですね。」
「趣味じゃないわ、ミア。これが王国を守る武器なの。」
ルイスは黙って私の後ろを歩く。剣の鞘が微かに光る。彼の視線には、警戒と心配と少しの羨望が混ざっている。
「王女殿下、慎重に……」
「わかってる。でも、放置できないの。」
図書館の奥深く、普段は鍵のかかる書棚の一角に、新たな本が置かれていた。表紙は漆黒に輝き、銀色の魔法紋が浮かぶ。
『王国最終戦略――禁断の秘書』
ページをめくると文字が光り、頭に情報が流れ込む。そこには、外部結社が王国の大臣に手を回し、次なる政変を企んでいる内容が記されていた。
「……まだ敵はいるのね。」
「王女様、本当ですか?」ルイスが少し顔を曇らせる。
「ええ。でも、この本があれば阻止できる。」
エルは嬉々として魔法を使い、暗号や呪文の解読を始める。彼の金髪ツインテールが夜の図書館の光を受けて輝く。
「僕の魔法で、この暗号も完全に解読できる!」
「頼もしいわ、エル。」
こうして、私たちのチームは再び一致団結した。
夜、王宮の庭で作戦会議。月光に照らされた石畳に、私たちの影が長く伸びる。
「王女様、これ以上の行動は危険です。」ルイスが低く警告する。
「わかってる。でも、黙って見過ごすわけにはいかない。」
秘密通路を通って、大臣たちが集まる会議室へ潜入。エルの魔法で扉を解錠し、文書を確認する。計画の核心――外部結社が暗躍している証拠を見つけた。
「これで、次の陰謀は阻止できる。」
「王女様……本当に頼もしいです。」ルイスが小さくうなずく。
その夜、庭の噴水の前で二人きりになる。
「ルイス、ありがとう。あなたがいれば、心強い。」
「王女殿下……僕も、ずっとそばにいます。」
月光の下で手を握る。頬が赤くなるルイス。微笑む私。だが、恋愛に浸る暇はない。王国を守る使命がまだある。
翌日。王宮で仲間たちと作戦会議。ミアは相変わらずコミカルにツッコむ。
「王女様、その本ばかり読んで、休憩は? 甘いお菓子は?」
「まずは生き残ることが最優先よ!」
ルイスが剣の稽古をつけ、エルが魔法訓練を行う。私は本を片手に分析し、次の作戦を練る。仲間との信頼は確かになり、チームの力が増していることを感じる。
夜、王宮の秘密通路で敵の手先を発見。闇に紛れて接近し、暗殺計画を阻止する。ルイスは剣を振り、エルが魔法で援護。私は本の知識で弱点を突く。
「ここが急所!」
「な、なぜ知っている!?」敵が叫ぶ。
「本の力よ!」
見事、逆転勝利。王国を守る力を実感する。
事件後、王国は平和を取り戻したが、図書館にはまだ未知の書物が眠っている。王国に新たな脅威が忍び寄る兆しもあった。
「まだ終わりじゃない……」私はつぶやく。
「本と仲間がいれば、私たちは強い。」
月光に光る図書館の奥で、次の物語が静かに始まろうとしていた――。