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26話 体育祭の種目決め

 昼休み。


 教室。


 僕は、二ヶ月ぶり梅村と話した。


 梅村は、クラスの一軍男子である。


イケメンでバスケ部でレギュラーを務めている。身長は186センチの細身であり、スタイル抜群である。


 正直羨ましい。


「おう、梅村」


「お、さしぶりだな正義。夏休みはどうだった?」


「最悪。部活ばっかりだよ」


「俺は、鳴海とほぼ毎日デート」


「知らねえよ」


 僕は、そう吐き捨てた。


 梅村は続けてこう言った。


「竜胆とはうまくいってるのか?」


「うまくいってる以前にそう言う関係じゃない」


「別に関係のことを言ってないぞ?」


「お前なぁ」


 僕は、梅村を軽く小突いた。


 それに対して、梅村はこう続けるのであった。


「お前も頑張れよ」


 と。


 何を頑張るのだろうか。


 と言うか、梅村から見て僕はどう見えているのだろうか。


 割と多くの人から竜胆との関係のことを聞かれるのだけれども、僕は竜胆のことを意識しているのだろうか?


 そんなことを思っていると、昼休みを終えるチャイムが鳴った。


 しばらくして、担任の松田が入ってきた。


 黒板に何やら書き込む。


 その内容は、どうやら体育祭の種目のようであった。


 体育祭。


 インドア派の僕からしてみたら、最悪なイベントの一つであった。


 去年は、玉入れのようなサボっても迷惑がかからない種目を選んで、当日休んだ。


 そもそもこの学校の体育祭は、クラス別に組が分けられる。


 一組――赤。


 二組――青。


 三組――紺。


 四組――緑。


 五組――白。


 六組――橙。


 七組――ピンク。


 八組――紫。


 九組――黄。


 といった具合である。


 僕のクラスは二年二組であるので、青色である。

 仕組みとしては、複数ある種目から最低二種目にエントリーすると言うものだ。


 玉入れと言った集団的種目から、徒競走と言った個人種もある。


 体育祭の勝敗は、各組の生徒が出場種目で得たポイントを累計した結果、最も点数の高かった組が優秀である。


 まあ、僕には関係ない行事である。


 だって、当日休むから。


 そう思っていると、頭に何か小さなものが当たった。


 紙屑であった。


 誰かが僕に対して紙屑を放り投げたのである。


 僕は、紙屑を放り投げた主を見た。


 竜胆であった。


 僕は、紙屑をひろげて見る。


 そこには、こう書いてあった。


『体育祭一緒に出ようね。当日、弁当作ってくるね』


 と。


 どうやら、僕は体育祭に参加しなければならないらしい。


 仕方なく僕は、無言で頷いた。


 竜胆は、嬉しそうな顔をした。


 そんなこんなで体育祭の種目決めが順調に進んでいった。


 僕の狙い目種目は、玉入れと綱引きの二種目である。


 集団種目は、気が楽である。


 当校の体育祭では、組対抗リレーが人気種目である。


 各学年のクラスごとに選抜された一人の種目担当者が、組を代表して百メートルのコートを走るのである。


 一年生から二年生、そして最後に三年生へとバトンを回していくのがこの種目の特徴である。


 種目担当者は、大抵クラスの足の速い生徒が担当することが多い。従って、陸上部が組対抗リレーに出場する場合が多かった。


 故に、女子の組対抗リレーの担当者を決める時に、自然な流れで元陸上部である日向夏の名前が候補に上がった。


 それもそのはず、日向夏は陸上部時代は優秀な選手であった。


 確か、去年は組対抗リレーで日向夏が出ていた。


 しかし、今の日向夏は走ることが出来ない。


 なぜかならば、深刻な心臓の持病を抱えているからである。


 この病気のせいで、日向夏は陸上部を退部したのだ。


 しかし、そのことは皆んな知らない。


 知らされていないのである。


 それは、日向夏の希望であった。皆んなに心配をかけたくないと言う――


 とにかく、そんな事情を知らないクラスメイトは、組対抗リレーに日向夏を推薦するのであった。


「凪ちゃん、元陸上部のエースだから、組対抗リレーは凪ちゃんでいいじゃん!」


 と言う感じで。


 日向夏は、うまく言い返せない感じであった。


 やれやれ。


 普通に断ればいいのに。


 しばらく様子は見ていると、状況が一変してきた。


 もう日向夏にリレーをやってもらおうと、日向夏の意見を無視して話が進んでいた。


 やはり日向夏は、言い返せないでいた。


 まったく。


 仕方がないな。


 僕はその場で立ち上がった。そしてこう言ってやった。


「日向夏嫌がってるんだから、他の奴にやらせればいいだろ」


 と。


 一瞬、教室が静まり返ったが、すぐにヒソヒソ聞こえてきた。


 その時、梅村がクラスを仲裁するように宥めてくれた。


「まあ正義くんの意見はもっともだね。日向夏さんは嫌がってみたいだから、他の人も検討しよう」


 と。


 おかげで、梅村が言うなら仕方ないと言った感じで、場は収まった。


 梅村!


 さすが一軍だな。


 その代わり、僕に対する野次がちらほら聞こえた。


 何あいつ。


 しゃしゃり出んなよ。


 と言うヒソヒソ声。


 慣れている。


 こんなことは僕にとって日常。


 普通の事。


 嫌われることなんて、なんて事ない。


 僕は日向夏を見た。


 不機嫌そうな顔をしていた。


 あいつ、後で礼しないと許さないからな。


 結果的に、女子の組み対抗リレーは竜胆と竹井が選ばれた。


 そう言えば、竜胆は頭が良いことに加えて運動も出来るんだった。


 最近は、エンジェル部の活動に専念しているけれど、以前は他の部活を手伝うことが多くあったのであった。


 それはそうと、種目決め。


 僕は、楽な種目を選ばないと。狙い目は玉入れと綱引きである。


 しかしながら、人生はままならないものである。僕の希望とは裏腹に玉入れと綱引きの希望が多かった。


 じゃんけんで玉入れは勝ち取った。


 しかし、綱引きを選ぶじゃんけんでは負けてしまった。


 代わりに、余っている種目である二人三脚に選ばれた。


 ペアの相手は、まさかの日向夏であった。


 

 

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