13話 打ち上げ
夏休み初日。
晴天。
僕と竜胆と日向夏は、娯楽複合商業施設の婦人服コーナーにいた。
なんで僕が、女子達と一緒に行動しているかと言うと、それは打ち上げをする為である。
あるいは、歓迎会。
今回の件で、日向夏がエンジェル部に入部することになった。期末テストお疲れ様の打ち上げもかねて、竜胆が僕にしてくれたように日向夏を祝うのである。
その前段階としてのショッピング。
それに僕は、付き合っている。
…………。
それにしても、女子の買い物は長い。
気の遠くなる程長い。
さっきから、同じエリアをぐるぐるしている。
竜胆と日向夏は、似たような服を自分に重ねては、嬉しそうにしていた。
何が楽しいのか分からない。
男と女は違う生き物であることを実感させられた。
しかし、油断してはならない。
ぼうっとしていると竜胆と日向夏は、僕に対して、
「正義くん、どちらが似合うと思う?」
「まーくん、どっちが似合うやろ?」
と聞いてくるからだ。
知らねえよ。
好きな方を着ろよ。
僕はそう思いながらも、真剣に悩んだふりをして個人的に似合う方を指差す。
しかしながら、僕の意見は不本意なのかいつも二人は、こっちの方が似合うと言いたげな不満げな表情をするのである。
ああ。
世の中の彼女持ちの男性は大変だなと思った。
小一時間後。
ようやく購入する服を決めたようだ。
それはそうと。
僕は、竜胆と日向夏を見た。
いつもは学校の制服姿しか見ないのに、今日は私服で新鮮である。
そもそも、二人とも非常に整っている容姿である。
絵になる竜胆と日向夏であった。
見惚れていると、店から出て来た日向夏がからかって来た。
「うちに見惚れとたったんやろ?」
「別に」
僕は、そっぽを向いた。
竜胆は、購入した洋服の紙袋を嬉しそうに持っていた。
「お待たせ! それじゃ、そろそろお昼にしよ」
それから僕と竜胆と日向夏は、フードコートに向かい昼食を取る。
僕は、スガキヤのラーメン。
竜胆は、そば政の天ぷら定食。
日向夏は、ペッパーランチのビーフペッパーランチお肉特盛。
個性と育ちが出るメニュー選びであった。
それはそうと、スガキヤはいいぞ。
スガキヤ。
豚骨のスープに、魚介や昆布の出汁を合わせた激安ラーメン。
しかし、唯一無二の味わいのラーメンである。
こんなに美味しいラーメンが東海地方にしかないなんて信じられない。
ペロリとランチを平らげてからは、かねてから予約していた映画を見に行った。
チョイスは、日向夏。
ホラー系のB級映画である。
内容は、富豪が工事の為に曰く付きの土地を開拓するところから始まる。開拓途中、謎の祠を破壊してから富豪一家に原因不明の心霊現象が起きる。
最後は、富豪一家全滅でエンディング。
脚本は悪くなかったものの、低予算が丸見えの作品でちっとも面白くはなかった。
と言うよりも全然怖くなかった。
あまり人気がないのか、僕ら以外にはホールに数人しかいなかった。
竜胆はホラー映画はあまり見たことないのか、劇中のホラーシーンで本気で涙を浮かべて震えていた。時々声をあげていて、終演後は椅子にぐったりともたれかかっていた。
一方、日向夏はホラーシーンの時ゲラゲラと笑っていた。かなりスプラッターなカットもあったのに、日向夏は実はサイコパスなのかもしれない。
それはそうと。
久しぶりに映画を見た。
今日日、NetflixやU-NEXT等のサブスクがある為、いつでもどこでも手軽に映画を見る事が出来る。わざわざ、映画館にまで足を運ばなくても映画を見る事が出来るのである。
でも。
大きなスクリーンで映画を見るのも悪くないと思った。
と言うよりは、この二人と映画を見に行ったのが大きかったのかもしれない。
今度は、一人で映画を見に行こう。
映画館を後にする。
それから僕らはカラオケに向かった。
プランは、三時間のフリータイム。
今日は結構ハードなスケジュールのはずなのに、竜胆と日向夏はエンドレスで歌っていた。
疲れを知らない女子二人。
カラオケ屋を出ると、すでに日が暮れていた。
そこで現地解散。
今日は疲れた。
めちゃくちゃ疲れた。
けれども、こんな日も悪くないなと思った。




