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幼女吸血鬼と取り戻せない程の恋をした  作者: 菜乃音
第二章 自分として、紳士として

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67 生徒会と書いて独裁政治と読む

 アリアと一緒に過ごす時間が更に増えてから、時は過ぎて四月の終盤を迎えていた。

 新学年になってからのアリアとの関係性の噂や、クラス内での騒ぎも当たり前のように収まりを見せ、今では学校だと四人でいる時間が主になっている。


 そして本日の朝の連絡は、実に穏やかなものではなかった。

 この学校の基礎とも言えるポイント制度の解放及びに、新たな生徒会選挙が近い話題が上がったのだ。


 ポイント制度は陽自身が一番理解していたが、問題は生徒会だろう。

 生徒会は、昨年と同じ流れになるのであれば、異例の事実を持った人物の独壇場かつ、様々な狭間が生まれるのかもしれない。


 不安が募る中、陽は放課後にホモと恋羽、そしてアリアを加えて学校の生徒が使うカフェに来ていた。


 話題はポイント制度でもちきりであり、二人は生徒会の話に触れようとすらしていない。


「なあ、ホモに恋羽?」

「陽、そんな改まってどうした?」

「二人は生徒会選挙、どうする気でいるんだ?」


 ホモと恋羽が触れない、というよりも生徒会を敵視しているからこそ、陽は気になっていた。

 二人がサラッとだんまりを決めたので、届いた品物を受け取っておく。


「はい、アリアさん」

「陽くん、ありがとう」


 陽はアリアが悩みに悩んで決めたミルクティーのミルクと砂糖を調整し、アリアにカップを差し出した。


 陽としては、ホモと恋羽が答えたくないのであれば答えなくても良いと思っているので、聞いときながらも気楽である。


 それでも生徒会選挙ともなれば、二人が動かない理由は無い、と予測している。


 ホモと恋羽は顔を見合わせ悩んでいるのか、何やら小声で話していた。


 隣でお気楽にミルクティーを嗜んでいるアリア、目の前では生徒会の話題で悩んでいるホモと恋羽、相変わらずの温度差だ。


(……ホモと恋羽、二人の実力なら入れると思うんだけどな)


 ホモと恋羽の行動は目を見張るものはあれ、成績や信頼に置いては、現在の生徒会を遥かに凌駕するだろう。


 ホモと恋羽の交友関係については、陽自身も噂程度で聞いているが、学校では右に出るものが居ないとされるほど広いのだから。


 ふと気づけば、ホモが真剣な目でこちらを見てきていた。

 陽が目を合わせると、ホモは呆れたように息を吐き出している。


「陽がよく知ってるだろ? 俺らと生徒会の関係は……」

「あれは愛じゃなく、単なる暴力的な愛だよね……」

「陽くん、どうして二人はこうも落ち込んでいるのかしら?」


 二人は落ち込んでいるというよりも、呆れているに近いが、アリアから見れば落ち込んでいるも同然なのだろう。


 薄々気づいてはいたが、ホモと恋羽が生徒会について触れなかったのは、やはり因縁だったようだ。

 頬に指を当てている恋羽を横目に、アリアをそっと見た。


「アリアさんは、現生徒会がどんなのかは知ってる?」

「馬の骨かしら?」

「……冗談で言ってる?」

「私、お三方以外の人間に興味がないもの」


 アリアクラスなら小耳程度には生徒会の噂を聞いているとは思ったが、どうやら予想の斜め上だったらしい。


「あはは、アリアたんらしいね! 陽、代わりに私が説明しておくね!」

「恋羽すまない、よろしく頼むよ」


 大船に乗った気持ちで任せなさい、と言いたげな恋羽は、人の渡り舟を担うのが上手いものだろう。

 自分犠牲思考ではない彼女だからこそ、説明やら準備やら、様々な相談を回しやすいのだ。


 恋羽を雑用として見ているわけではないが、恋羽は手の届かない範囲まで回ってくれるので頼りがいがある。

 恋羽に苦手意識があったのは、陽としては申し訳ないと思う程に。


「ホモってあれだよな? 取り巻きよりも、多分だけど中心人物が嫌いなんだよな?」

「Exactly」


 なぜ英語で答えてきたかは不明だが、疑問は正解だったらしい。


 現生徒会は、稀にみる天才と言ってもいい一人の人物を中心に構成されている噂だ。

 陽から見れば、自分にあぐらを掻いた馬鹿そのものであるが。


 問題は設立されたメンバーではなく、生徒会の行動にある。

 度々ホモと問題を起こしていたのは、他の生徒ではなく、生徒会そのものなのだから。

 現生徒会は学校を自分たちの玩具のように扱い、多方面の生徒に圧掛けをしている程だ。

 だからこそ、正々堂々のホモと真正面からぶつかっていると言える。


 本来の生徒会は二年生からである。だが、現生徒会は今では三年生であるが、一年生の頃から学校を仕切る体勢を取ったらしく、手を付けられずに三年が経過しようとしているらしい。


 その現生徒会の行動を一言でまとめてしまえば、独裁主義の政治だろう。


 陽も何かと手を焼いている集団であり、真夜への連絡係として学校側から対策で呼び出しを何度か受けている。

 陽自身が生徒会に興味がないとはいえ実害はあるのだ。


 生徒会の説明をアリアにしている恋羽を横目で見ていれば、ホモが一通の紙を差し出してきた。


「陽なら以前から紙を渡してたから察しが良いとは思うんだけどさー」

「あんな白紙だらけ、ブルーライトで照らしても文字が出てこない紙で分かると思うのか?」


 確かにホモから、何度も紙を受け取っている。だが、それは解明以前の話なので、理解できる訳がないだろう。


「分かった。単刀直入に言う」

「……何を?」

「陽、俺と恋羽は一年生の時から、生徒会とは違う生徒会を開設するために動いていたんだ。そして、陽が以前譲渡してくれたポイントはそれに使った」


 意外と有用性のあるポイントの使い方に、陽は驚きを隠せなかった。

 ホモの事なので、てっきりウインナーメニューばかりに使っていると思っていたのだから。


 しかし今までホモがポイントについて触れなかったのもあり、辻褄が合うというものだ。

 ふと気づけば、ホモは頭を下げてきていた。


 その時、恋羽はアリアに説明し終わったらしく、アリアもホモに注目している。


「陽にアリアさん、頼む! 学校の秩序に平和を取り戻すためだと思って、メンバーに加わってくれないか!」

「陽、アリアたん、私からもこの通り!」

「私は以前から話は何となく聞いていましたが、陽くんはどうします?」

「どうする、って言われても……」


 唐突に選択をするにしても、陽からすれば正直持ち帰りたい話ではあった。

 重要な話を持ち帰るのは良くないが、できるだけ未来を見据えたいものだろう。


 陽が悩んでいた――その時だった。


「おやおや、我が生徒会を破壊呼ばわりとは、ずいぶんなめているようだ」

「……負け犬の遠吠えですかぁ」


 後ろから聞こえてきた冷徹な声。そして、臨戦態勢を取るホモによって、カフェの空気は一転するのだった。

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