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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

猫村くん

作者: 霜條

ネグレクト、虐待、暴力シーンがあります。

ご留意ください。

同じ地元で小学生の頃までずっと仲が良かった猫村くん

猫村くんは地元の、犬塚は少し離れたところに引っ越すことになり、それぞれが別の中学へ行くことになった


犬塚の両親はお互いがあまり好きではなくて顔を合わせないよう、家にも滅多に近寄らなかった

子供を作ったけれど愛情を注ぐことが出来なくて、死なない程度の面倒しか見ないことにしていたのだ


連絡先も交換出来ず、離れてしまったことが心残り

寂しくて、会いたくて、懐かしい場所へ戻る犬塚


幼い頃から何をするのも猫村くんと一緒で、それ以外の友達なんかいらなくて、猫村くんだけがそばにいれば犬塚の世界はそれだけで良かった

猫村くんのいない世界なんて終わっていた


猫村くんに会うまでは死んだ目の犬塚だった


駅でたまたま猫村くんを見つけると目が輝く


猫村くん!


振り返った猫村くんの目は厳しくて誰も近づけようとしなかったけど、犬塚だとわかると面食らったら顔をしていた


たかが数ヶ月しか会わなかっただけなのに、猫村くんは不良みたく誰も寄せ付けないような存在になってきた




猫村くんにとって世界はずっと終わっていた

誰もが安堵する家が、猫村くんにとっては地獄だった

幼い頃からずっと帰りたくなくて、遅い時間でもフラフラしてるような子だったが、犬塚が現れてから犬塚と一緒によく遊んだ

犬塚は家のことを深く聞かない

帰りたくない気持ちを察してか、どこまでもそばにいてくれた

犬塚の家によく泊めてもらった

犬塚の親はほとんど家にいないから

仕事が忙しいらしいが、両親も家にあまり戻りたくないようで、仕事ばかりしていたから泊まってもバレなかった


何にも邪魔されずゆっくり眠ることが出来ること

怒られない朝を迎えられること

蹴られたり手を挙げられる時間が存在しないこと

残飯みたいなご飯を出されることがないこと

どれも新鮮で幸せだった

家では虐待が行われていたからだ


初めて行った時は泣いた


犬塚といることは安心出来て、とても心地よかった


恋愛感情はお互いない


ただお互い必要としていた


それだけの関係




駅で犬塚と猫村くんは再会した

犬塚はとても嬉しそうで、猫村くんはまた安心できない日を過ごしていたから気が緩み泣いてしまう


中学へ進学してからますます家での居場所がなくなったから、誰も近寄らせないようにしていた

怪我の痕は全て親からだった

荒れてるように見せれば、親がやったと思われないだろうからそのために隠してた


この日は公園で夜を明かす


家に帰ったって、誰もいないの

前みたいに猫村くんが来て欲しい、そばにいて欲しいと伝える犬塚


犬塚は似た者同士で、唯一心の内を開けられる相手だった猫村くん

今は離れた場所に行ってしまった

だからもう頼れない、と離れようとする猫村くん


久しぶりにお互い近くにいるのに、数ヶ月の空白であの関係に戻れないことがわかると孤独だった


目が覚めると猫村くんはいなくて、学ランが自分にかけられていただけだった




犬塚の携帯には猫村くんの住所が入っていた

それを頼りに家へ向かう犬塚


猫村くんちはボロボロの一軒家

呼び鈴を押しても反応がない

でも鍵は開いていたので家に上がってみた


雑多な廊下の途中にある居間ではテレビが大音量で流れ、おばさんが寝ていた

初めて見たけどおそらくあれが猫村くんを苦しめる元凶だろう

猫村くんは安眠出来る場所がないのになぜこんなのが悠然と存在するのか


許せない


近くにあった椅子を持って振り被る


しばらく殴ったあと、少し返り血が飛んだ部分をふく

台所で火をかけて後はこの家を燃やせばおしまい



駅でまた猫村くんと出会う犬塚

学ラン、ありがと


返したくて待ってたの


紙に書いた住所も渡すと呆然とする猫村くん


また帰るところがなくなったらおいで


家には誰も居ないから


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