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村の異世界スーパーマーケットへいらっしゃいませ~新人の鬼娘が入りました~  作者: 鳳仙花
・4章~ラムネの夢と目標はみんなと自分のために~
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67.ようやく皆さんと合流です。楽しいお出かけと出会いはまだまだ続きます!

それから再度スタッフから装置破損の件は問題ないと伝えられ、2人はVRSのゲームコーナーから出た。

そしてソラは時刻が昼過ぎになりかけていると知り、やや演技臭く声をあげるのだった。


「あわわ、やっばぁい。午後からイベントあるのに、のんびりしすぎちゃったよ!またマネージャーに嫌味を言われちゃうな~」


いべんと(・・・・)……。そういえば、わちきの友達がミファさんの握手会を楽しみにしていると言ってました」


「へっ?あー……そうなんだ。特に他意は無いけど、奇遇な話だね。そのイベントにはレモネードさんも行くの?」


「はっきりとは決めてないですね。わちきはフーランさんに案内される予定ですので、多分行く時間が無いと思います」


「おぉ~!そっか!うんうん、そっかぁ!それで良いよ!いやぁ~良かった!つまり、これからもレモネードさんとは良きゲーム仲間だね!」


またもやソラは意味が分からない反応を繰り返すが、不思議と安堵した様子ではあった。

ラムネの方も大して疑問は抱かず、あまり深掘りしないで調子を合わせた。


「いいですね、ゲーム仲間。これからも一緒に遊ぶことがあれば教えて下さいね。そして、わちきもソラちゃんに負けないくらい活躍してみせます」


「にゃっはっはっは~。それは良い心意気だねぇ。じゃあソラ様は用事が立て込んでいるので、またの機会に遊ぼうぞ!またねぃ~!」


「はい、また会いましょう。ソラちゃん」


ラムネは駆け足気味に去るソラの後ろに向かって手を振る。

同じく相手も別れ際まで手を振ってくれたので、気の合う友達が新しく出来たと言っていい。

ラムネはその心躍る出来事の余韻に浸りつつ、そっと呟く。


「美術館で出会った(それがし)さんに続き、ソラちゃんとも友達になれました。それに思わぬところでフーランともゲームで遊べましたし、お出かけって楽しいですね。ふふっ」


そう言った直後、彼女はまだフーランと再会できてない事を思い出す。

同じ場所に居ると言っていたから、少し探せば見つけられるはずだ。

だからラムネは周りを見渡すものの、様々な音と光り、更にゲーム演出や大々的な広告が目につくばかりで、探し人を発見するのは容易では無かった。

そもそも人混みと機材類が多くて見通しが悪い。


「見当たらないですね。うーん……せっかくですから、もう少し歩きますか。多分、リビィさんもゲームを終わらせて来ると思いますし」


新しい出会いが続いた事もあって、ラムネは見知らぬ人たちが行き交う状況に不安を覚えていなかった。

何より近くに知り合いが居ると思ったら、いつもの楽観的な思考で再会は難しくないと考える。

そんなとき、ラムネはまったく望まない相手と邂逅(かいこう)した。


「おいお前!あのレモネードだな!」


「えっ、えぇっ?だ、誰ですか?」


いきなり見知らぬ男性に怒鳴(どな)りつけられてしまい、ラムネは萎縮する。

恨みを買った覚えは無いが、ラムネのことをレモネードと呼ぶからには先ほどのゲームプレイヤーの1人なのだろう。

逆恨みか、負けた八つ当たりか。

何であれ見覚えが無い相手なので、彼女としては困り果てる他なかった。

対して相手は臆せず、力強い目つきと怒りがこもった顔つきで近づいてくる。


「ひぃ……!?」


堂々と目の前に立たれてラムネは堪らず後退りした。

早くも浮かれた気分は台無しだ。

そして男性は強い目力でラムネを睨みつけた後、表情を一変させて手を差し出してきた。


「さっきの試合、ナイスファイトだったぜ」


相手の顔は恐いままに変わり無いが、心なしか柔らかい物腰で接してくれているように感じられた。

また差し出してきた手も、健闘を讃えた握手を求めているのだと分かった。

これにラムネは応じて、まだ少し怯えながらも短い握手を交わす。


「は、はい。ありがとうございます?」


「あれだけ不利な状況だったのにも関わらず、見事に優勝したのは劇的なことだ。ゲームの出来事だが、武勇伝だと誇っていい」


「そこまで褒めてくれるのは嬉しいですけど、わちきが勝てたのは仲間のおかげですよ。わちきは偶然にも生き延びられただけです」


「たとえビギナーズラックやキャリーされただけと偉そうに語る間抜け野郎が居ても、こうして戦った俺がお前の実力を認める。だから、またやろうぜ。次は周りからの余計な手出しは無しでな」


「……余計な手出し?何かあったのですか?」


「色々と事情があったんだぜ。とある凄腕ジャーナリストが来て、スキャンダルのために俺含むプレイヤーや運営をネタで脅迫していたんだよ。まぁお前には関係無い事だし、今は讃えに来ただけだから気にするな」


「うーん。わちきには難しい話みたいですね。とりあえず、ありがとうございました」


ラムネは礼節を弁え、丁寧に頭を下げる。

これほど人柄の良い態度で接せられることは相手にとっては久々で、つい表情を緩めて軽く笑った。

それから丁度、フーランがハイピスを引き連れて歩いて来るのだった。


「ラムネさ~ん!お待たせして申し訳ありませんのよ~!」


男性はラムネの本名を知らなくとも、この鬼娘が呼ばれていると察するのに時間を要さなかった。

そして誰も見知らぬ自分が居ても仕方ないと気遣い、早口でラムネに喋りかけた。


「おっと、お連れさんか。それじゃあ野郎は邪魔みたいだから、これで退散させて貰うぜ。リベンジするために俺は腕を磨くから、お前も上達しておけよ」


「はい。わちきも造形を深めておきます」


「へっ、なんだそりゃあ?変わった言い方だな。おもしれー女」


相手も変わった別れの言葉を言い残した後、その場から退散するよう離れて行った。

同じくしてフーラン達はラムネの近くまで来て、それとなく話し出す。


「あらま、先ほどの殿方は誰ですの?」


「わちきのゲーム仲間……いいえ、永遠のライバルです」


「ラムネさんの顔つきがキリッと勇ましいですの。相変わらず影響されやすい子で愉快ですのよ」


「ふっふーん、わざわざ言うに及びませんよ!」


「そうですの。ところで、こちらの厄介事も保留になりましたので無事にお出かけを続けられそうですのよ。でも、その前にハイピスさん」


やや強い語気でフーランに呼びつけられてから、ハイピスは前に出る。

ただハイピスは疲れ気味の様子であって、なおかつ少し低いテンションで謝ってきた。


「私の手違いで迷惑をかけてしまい申し訳ありません」


「えっと、厄介事とやら以外でハイピスさんに何かあったのですか?」


「皆様の行き先が散らばってしまったのは、私のミスによるものでした。それで計画を破綻させてしまい、責任を取って謝罪させて頂きます。申し訳ありませんでした」


「えぇ!?そんな(かしこ)まらなくて良いですよ!ちょっと驚いた事もありましたけど、まだ楽しいこと続きでステキな思い出が沢山できていますから!それに色々と新しい事も知れました」


「つまり、ラムネ様は私のおかげで楽しい外出ができているわけですね?」


ハイピスは隙に付け入るように、唐突に都合の良い解釈を始めてしまう。

その小賢しい振る舞いにフーランは呆れて溜め息を吐くが、お人好しのラムネは励ます意味合いを兼ねて肯定的な返事をした。


「その通りです!色々な種族と街の観光、大きなコンビニ、初めて乗った電車、美術館、この百貨店やゲーム、あと某さんとソラちゃんに会って、他にも街の生活模様なども少しだけ知りました。どれもわちきには新鮮で、大事な経験です!」


「素晴らしい考え方です。ラムネ様は……身も心も成長期ですね」


「ふふん、ロゼラムお姉ちゃんと約束しましたからね。次も会う時は、立派な従業員さんになっているって!そのためにも積極的に人生経験を積みます!」


「その輝かしく前向きな志を見習わせて頂きます」


一見するとハイピスは尊敬の念を抱いているように思えるが、実際は過剰に褒めて自分のミスを有耶無耶(うやむや)にしているだけだ。

その狙いにフーランは気が付いているものの、わざわざ執拗に触れるほどの失敗談でも無いので話題を変えた。


「そういえばリビィさんはどちらへ行きましたの?彼女からの連絡では一緒に居ると聞いておりましたのに」


「リビィさんは別のゲームで遊ぶと言ってましたよ」


「遠く離れて無いなら、すぐ連絡に気づいて来てくれそうですの」


フーランはスカウターを使い、既に合流したことをリビィに伝えた。

するとリビィの方から連絡が返ってくるのは予想より早く、更に連絡とほぼ同タイミングで本人が直接呼びかけてくるのだった。


「ごめんなさい~!だいぶ盛り上がって熱中しちゃったんだ!いやぁ、まさかリトライ前提のボスをノーミスで倒せるとは思わなかったんだ!しかも世界ギネスのハイスコア!これはミファ様の握手会のとき、自慢できちゃうんだ!」


「満喫しているようで何よりですの。それで昼食はどうしますの?この時間帯だと、どこも混んでおりますのよ」


「んん~。リビィ的にはビュッフェをオススメするんだ。あそこは巨人でも(くつろ)げるくらい広いから……って、ちっと待って!お昼ごはんの前に1つだけやりたいことがあるんだ!」


「何ですの?リビィさんも個人的な用事で、時間を押している状況では無いですの?」


「ミファ様の握手会も大事だけど、もっと大事なことがあるの!せっかくゲームがあるんだよ?そうとなれば、リビィ達の記念プリクラは欠かせないんだ!」


「そういう所は普通の女の子らしいですのね。良いですのよ。それくらいなら構いませんの」


そこまで時間厳守に行動しているつもりでも無かったので、彼女達はリビィの提案を受け入れてプリクラコーナーで遊び始めた。

ただ好奇心の塊のようなグループなので、結局はふざけたり拘ったりと何度もプリクラを撮る。

その光景は野原で撮影会を始めた時と似ていて、あれこれと賑わいながら試行錯誤した。


ちなみにプリクラに文字を入れる際、ラムネは再び目を引くほどの達筆で『ラムネ リビィ フーラン ハイピス 最強の仲良し(よん)人組』と彼女らしい一文を書き入れるのだった。

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