表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村の異世界スーパーマーケットへいらっしゃいませ~新人の鬼娘が入りました~  作者: 鳳仙花
・3章~ラムネ姉妹とセブンス店長の宿命?~
45/75

45.朗報!セブンス店長は無償で許す思慮深い聖人だった(ステマ作戦担当の使い魔が記載)

これで控え室に残ったのはロゼラムとセブンスのみ。

合わせて緊迫した気配が発生するとき、まずセブンスが大人びた表情で喋り出した。


「ロゼラムさん。貴女はリップサービスが上手だね」


「あたしなんて八方美人なだけですよ」


「やっぱり上手。私の感性に合わせて、自身を卑下する言い方に変えたでしょ」


「あー……、どうでしょう。別に意識しているつもりは無かったんだけど、あたしって案外そうなのかも?もし鼻についたなら謝ります。ごめんなさい」


「その柔軟な態度を非難しているわけじゃないよ。むしろ感心している。ラムネを守る姉としては、きっとこの上なく正しい。謝りながらも、大事なことは譲らない所もね」


相手の発言を聞き、このタイミングでロゼラムは目を丸くする。

その反応は間抜けなものであって、この場面で見せる表情に相応しく無いからセブンスは追求した。


「そんな驚いた顔して、どうかした?」


「えっと……まぁ、セブンスさんが唐突にまともな事を言うから……ちょっとビックリしました。正気に戻ってくれました?」


「違うよ、ちょっと本気になっているだけ。これから私は念願が叶うかどうかの勝負に挑むんだもの。それなら冷静になるのは当然でしょ」


「あれ?私の質問を否定したあたり、正気じゃない自覚はあるんですね。それでも最後まで全力で駆け抜けようとするのは、なにかと凄い店長さんで圧倒されますよ」


あえて踏みとどまることを考慮せず、ここまで頑固に我を貫く性格である事にロゼラムは感心した。

きっとセブンスは力を持って生まれたから、本当に叶えたい目的があると意地でも通す悪癖があるのだろう。

だから余計に周りの言葉を聞かず、ひたすら突撃するように暴走する。

そんな彼女だが、今だけは冷静に話を進めた。


「それはさておき、勝負前に自己紹介しておこうかな。私の名はセブンス・セレファイア。全知全能の神と魔女の間に産まれ、悪魔の概念を生み出した創造神であり大魔女。13人兄妹(きょうだい)にて、7番目の子となる者」


「では(なら)って、あたしの名前はロゼラム。またの名を紅華童子(くれないばなどうじ)。由緒正しき純血の鬼であり、家族の契りを交わした3姉妹の長女。特技は自作絵本の読み聞かせ」


「特技って……。あのさ、最後の口上いる?」


「自己紹介ですからね。なので、長所を教えるのは良い事です。お互いを知るのに良い機会ですし、是非ともセブンスさんの特技も聞かせて欲しいです」


「これは言わなきゃダメみたいな流れかな。それなら特技は……うん、店舗経営だね」


「個性的な特技で素晴らしいと思います。ちなみにあたしの趣味は家庭菜園で、マイブームはバランスボールです」


世間話みたいに緊張が抜ける話し方をされてしまい、今度はセブンス側が相手のペースに呑まれる。

しかも中身が伴わない会話であるはずなのに、妙な安心感と心地良さを覚えるから余計に困惑した。

それこそラムネと話しているようで、セブンスが一方的に抱いていた敵意が()がれる。

だが、始める前から挫ける真似はせず、彼女は勢いに任せて声を張り上げた。


「もう!談笑はやめて勝負するよ!何ごとも早期決着が大事!神スキル・宇宙創成(コントロールオ)の支配領域(ブクリエーション)!」


セブンスがスキルを発現した直後、2人が置かれていた環境は一変する。

気が付けば、見渡す限りの宇宙空間。

遥か遠方で輝く星々を観測できるが、なぜか彼女らの周囲には何も存在しない世界だった。

おそらく凡人には解明できない、そして理解する必要が無い高次元の領域なのだろう。

そのことをロゼラムは一瞬で悟り、下手な刺激を与えないよう無の空間を静かに漂う。


「呼吸はできるみたいですね。というより、むしろ快適?でも、景観が物寂しい気がします」


「ここは私セブンスが途中まで創造した空間。順応という概念が無く、あらゆる万物が環境に左右されず存在できるよう創った世界。いわば自由と安寧を理念にした楽園だよ」


「へぇ、良い場所ですね。それなのに途中で創るのをやめてしまったのですか」


「うん。思い描いていたモノが得られないと気づいたから」


「得られない?あらゆる創造が可能なのにですか?」


ロゼラムの疑問は(もっと)もなもの。

対してセブンスは本心で話しているらしく、彼女の目を真っすぐに見据えながら答えた。


「そうだよ。フーランちゃん、リビィちゃん、ハイピスちゃん。あとラムネちゃんにお客さんたち。そのどれもが、私が望んでいた理想なの」


「なるほど、欲しかったのは自分の予想や期待を上回る存在って事ですね。あと偶然から生まれる特別な関係性……かな?」


「ふふっ、凄いね。凡庸(ぼんよう)なる鬼なのに、気まぐれな神の思考を瞬時に理解できるなんて驚き。その共感性の高さは称賛に(あたい)するよ」


「一応、神様と話すのは初めての経験では無いですから。それよりも、既に勝負は始まっているのですか?」


「うん、そちらからどうぞ。私が手を出すと始まる前に終わっちゃうから」


「そっか、譲ってくれてありがとう。そして……、こほん。セブンスさんの趣向を理解した今、最初の一手で終わりにします!今ここに、最強のお姉ちゃんパワーを魅せてあげましょう!」


ロゼラムは勇ましい身振り手振りで堂々と宣言し、攻勢に出る動きをみせた。

合わせてセブンスは念のため警戒の姿勢を示したが、彼女が出す一手は完全に予想外のものだ。

まず小さな紙切れの束を懐から取り出し、それをセブンスへ向けてばら撒くように投げつけた。


「さぁセブンスさん、その(まなこ)で見て下さい!これはあたしのお守りで、長年かけて溜めたラムネの生写真!その総数は1万枚以上!」


「な、なんだってぇ!?」


「しかも写真の裏には一文を記載しているから、ラムネ大好きっこファンクラブには(たま)らない至宝!ここぞとばかりに目に焼き付けて良いですよ!」


「はふっ、はふっ!や、やばい!?こうなったらロゼラムを相手にしている場合じゃない!何としても複製して、それからデータへ取り込んで私とツーショットの合成画像に編集しないと!そう、これこそが私の使命だったんだ!」


「うん、予想より100倍くらい恐いことを言っているね。自分から妹を使ったとは言え、あたしもドン引き」


「はっ!?そもそも、これだけあればラムネちゃんの写真風呂ができるじゃん!つまりラムネの人生に包まれた入浴タイムを過ごせるってわけ!あっ、想像しただけで目の前が真っ白に……!!?まさか、この私に状態異常を付与するなんて……!」


目論見(もくろみ)通りのはずなのに、こんな不本意な誤解をかけられる事ってある?まぁ、いいや。とにかく隙ありぃ!ロゼラム流スキル・お姉ちゃんからの愛情千本ノック!」


ロゼラムは巨大な金棒を手元へ召喚するなり、セブンスの胸元へ向かって全力フルスイングを打ち込んだ。

ものの見事に直撃を受けた彼女は軽々と吹き飛び、華奢な身体は宙を舞う。

普通ならクリティカルヒットで、昏睡するであろう加減無しの攻撃だ。

だが、セブンスは満面の笑みを浮かべている。

更には幸福感が全身を駆け巡り、創りかけだった無の空間には色鮮やかな光りが誕生する。


「しゃ、写真1枚ずつにエピソードがたっぷり……。これはレビューで星5確定だよ。あぁ、この世の全てに感謝を……。ありがとう、ラムネちゃん。ありがとう、みんな。そして、ありがとう……ロゼラムお姉様」


ついにセブンスは自分の欲望に忠実すぎる余り、ロゼラムに敬称までつけて心からの感謝を送った。

そして色々と手遅れながらも店長は一つの結論を出す。


「わざわざ対立する必要って無かったなぁ。ラムネちゃん好き同士として、手を取り合えば良かったんだぁ……」


こうしてセブンスは自分自身を説得し、ロゼラムでも想像していなかった心境変化で勝手に納得する。

そう、どんな経緯があっても彼女はちょろいのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今回も面白かったです!ラムネちゃんの本名ってアオちゃんだったのか!?それに三姉妹だと…!?どういうことだってばよ [一言] セブンス店長兄弟多!!ていうか神だったのか!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ