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【第3騒動:ハラガリスボボカブト】

一つ一つは短い構成になると思いますが、週に最低3回更新しようと考えております。

少しでも楽しんでもらえるたら、何よりです!新しいこの子たちも可愛がってもらえると、嬉しいです!どうぞ、よろしくお願いします!

 ソアル一行は、現れる敵をバッサバッサと切り倒し――主にソアルとアーリが――遂に、ダンジョン最深部へとたどり着いた。


 過去攻略された多数のダンジョンから、どのダンジョンにも必ず最深部があり、そこには10人分の人間を縦・横に積み重ねた大きな扉が存在する。


 その大扉を開けるとダンジョンの主が必ず、待ち構えている。

ボクシングのチャンピオンが、挑戦者を迎え撃つかのように。


 ソアル一行は、いや、ソアル個人は、全く躊躇することなく扉を開ける。

すると、そこには、このダンジョンに入ってきた時から嫌という程見てきた緑の鉱石と瓜二つの外殻を纏ったカブトムシが鎮座していた。


 大扉から、乱反射し差し込んできた光が、更に反射を繰り返し、カブトムシは眩しく光る。

ヘラクレスオオカブトとコーカスオオカブトを足して二で割ったような外見。


 自然界にいてヘラクレスオオカブトたちと同じ大きさであれば、間違いなく王者になっていることだろう。子どもたちにも大人気だ。


 だがしかし、現実に、今目の前にいるのは、軽く人間の大きさを超え、全長はおおよそ8メートル。幅3.5メートルの化け物だ。

そして、飛びます。巨体を物ともしない速度で飛びます。ゴキブリより速く飛びます。


 こちらを確認し、突如、飛び回り始める巨体に、後ろの2人は悲鳴を上げているが、ソアルは気にすることすらめんどくさそうに、右手を上げ、中段に構えると、


「フレイヤ・ライフル・インフィット」


初級魔法フレイヤ・ライフルを、高速、大量に、自分の意思で出し続ける応用魔法を唱えた。


 あっという間に、何百本もの炎で出来たライフルがソアルの背後に現出。

照準は目の前のボスモンスターに向き、手を降ろすとともに、一斉放射が開始。


『ガガガガガガガガッッッッ!!!!!』


『キンキンキンキンキンキン!!!!!』


 何百本ものロケット花火が空を切るように、火線が走り、それが全て外殻に当たり、反射した。


「………次」


 目の前で起こったことを冷静に読み取り、瞬時に、魔法が効かないと判断。


 すぐさま、ソアルは近接攻撃へと切り替える。

トップスピードで走り出し、飛び回っている相手に合わせて、左手で持つ剣を振り切る。


『キィッン!!!』


 ソアルの剣は、表面に当たると火花を散らしながら弾かれた。

なぜなら、このカブトムシ――ハラガリスボボカブトは、ダンジョン内にある鉱石を主食としているため、その成分が身体中に浸透し、身体を守る外殻は、圧倒的硬度となっていたからだ。


「ちっ…マーム!出番だ!」


「はっいよ!!待ってました!!」


 ソアルはイラつきを隠すことなく、後方のマームを呼びつける。

すると、ミネルバの護衛をしていたマームが、呼び声に応え、一気に前に出てくる。


 それと同時に、アーリが後退し、役割を交代する。流れるようなコンビネーション。


「これこそ!アタシの見せ場!

おぉぉぉらぁぁー!!!フルゥ!スイング!!!」


 マームは、右手に持っていた身体と同じサイズの斧を真横に引き、怒号とともに振り切った。


『ビギィン!―――バキィィッン!!』


 激しい衝突音と火花。その後、一際大きな音とともに、ハラガリスボボカブトの外殻が壊れ、横から来た斧の力によって、壁にまで吹き飛ばされる。


「ま、こんなもんでしょ!どう、ソアル?こんな感じでいい?」


「上出来、後でご褒美だ!」


「あんがとさん、じゃー楽しみにしてるよ」


 それだけ言うと、ソアルは壁に打ち付けられた相手にトドメを刺すため、また走り出した。


 一方、マームはその場に残り、後方のアーリ、ミネルバと合流した。


「あぁー気持ち悪かったぁ!!!」


「スッゴイです!マームさん!あんな気持ち悪いのに、攻撃できるなんて!!」


「流石、マーム。相変わらず惚れ惚れするほどのバカ力」


「あんがと、2人とも。アーリのは、ちょっと悪意あるけど」


「そんなことない、うん、ほんとに」


「ははっ!そうかい!それよりアーリ、選手交代だ。今ので全部使っちゃった」


「わかった、ご主人のことは任せて」


 マームにそう答えたアーリは華麗な身のこなしで一気に加速し、前線で戦っているソアルの元へ駆けつける。


「――あれ?そういえば、マームさんのジョブって〝木こり〟でしたよね?」


 残された2人の内の1人、ミネルバはとっさに思った疑問を声に出した。


「ん?そうだけど?」


「確か、木こりって結構マイナーな職業ジョブじゃなかったですか?」


「うん、そうだけど…あーそういうことか。なんで、斧使いにならないんですか?って聞きたいわけだね?ミルりんは?」


そう言って顔を近づけるマーム。


「あ!えっと、その……はい」


 図星だったらしく、顔を背けながら申し訳なさそうにするミネルバ。

その姿を見て、「ははっ!」と笑い飛ばし、マームは質問に質問で返した。


「じゃーミルりんに質問!アタシが持ってるこんな大きな斧、誰か斧使いで使ってる人、見たことある?」


「うーん…ないですねー。そんな大きくなくて、もっと小さめの、片手で持てるような斧しか」


「そう!そこがミソなのよ!」


「え?そこって、片手で持てる大きさ、のとこですか?」


「そうそう!流石、ミルりん!やるねぇ〜」


「えへへ…ありがとうございます!え、でも、それが一体なんの関係が?」


 答えを当てて、嬉しそうに微笑むミネルバは、真相を早く知りたいらしく、焦らすマームに詰め寄っていく。


「実はだね、ミルりん…この大きさの斧を使おうと思うとね?木こりのジョブしかないんだよ。斧使いじゃ、扱えないの」


「え!?そうなんですか!?」


 驚いた様子を見せるミネルバ。

なぜなら、木こりという職業ジョブは、それほどまでにマイナーで、世間一般的に知られていないものだからだ。


「そそ、そゆこと!アタシも元々は斧使いだったんだけどね?この斧を他のダンジョン攻略中に見つけちゃって。それから、なんていうんだろ…心惹かれた?感じがしてさ。

色々調べてる内に、木こりなら扱えるって、知って転職したわけよ」


「なるほどぉ〜そゆことだったんですね!なんかいいですね、憧れます!」


「そういうこと!どう?これで納得してくれた?」


「はい!ご説明していただき、ありがとうございました!」


「いーや、こんな話でいいならいつでも聞かせてあげるよ――っと、長話してる間に、あっちも終わったみたい。行くよ!ミルりん!」


「はい!」


 こうして、謎が解けたミネルバは満面の笑みで、視界の遠くにいる氷漬けにされたボスの元へと走っていった。

ちなみに、氷漬けにされた理由は、珍しいカブトムシだったら高く売れるから、だそうです。ソアルの一存でそう決まりました。

【作者からのお願い】

「面白い!」「楽しい!」「早く続きを読みたい」「ま、多少は楽しめたし応援してやるか」なんて思っていただけたのなら、広告下にある【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります!

あと、ブックマークもしていただけますと、モチベーションが上がります!

よろしくお願いいたします!

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