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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

煙草に火がついて消えるまで

作者: たすこ

「火だ!逃げろ!」


煙草の煙には約4000種類の化学物質が含まれるという。燃えている部分にはもっと多く含まれているだろう。もし、その化学物質一つ一つに命があって、燃えてないように逃げているとしたら。


カチッカチッ。

何か、音がする。

すると、火がついた。


次々と燃えていく仲間たちを見てニコチン兄弟は恐怖した。


「吸い口の方へ逃げよう。フィルターまでは燃えないはずだ!」


ニコチン兄弟の長男がそう言うや否や、ニコチン兄弟はフィルターへ向かって逃げ出す。

しかし、同じように逃げる他の化学物質が邪魔して思うように動けない。火はもうすぐ後ろまで迫っている。


「お前ら燃えないだろ!どけ!」


81男がそう叫んで一酸化炭素一家を突き飛ばした。

突き飛ばされ、体制を崩した一酸化炭素一家に火の手が追いつく。

断末魔を上げる暇もなく燃え尽きて灰になる。

兄弟の中で一番勉強ができる81男が呟く。


「一酸化炭素って燃えないんじゃないっけ」


しかし、燃えた。目の前で灰燼と化した。

燃えたものはしょうがない、と思い、前を見る。フィルターまではもう少しだ。

その時、地面が揺れた。走るのをやめ、周りを見渡すと、さっきまで後ろで灰になっていた一酸化炭素一家の姿がない。どうやら灰皿と呼ばれる墓場に引っ越したようだ。


「ああはなりたくないな」


204女が呟いた。


「だったら急げ!」


先頭を行く長男が叫んだ。

しばらく走り続け、目の前にフィルターの門が現れた。

しかし、フィルター内はタール帝国軍が占拠していた。


「押し通る!」

「そうはさせるか!」


ニコチン兄弟の長男とタール帝国軍のリーダーが睨み合う。そして、火がすぐ背後に迫る中、戦いの火蓋が切って落とされた。





タール帝国軍にはタール爆弾という軍事兵器が存在する。その軍事兵器は標的をタール漬けにして全身ガンまみれにしてしまうという恐ろしいものである。

しかし、そんなチート兵器を使うタール帝国軍にも弱点がある。



ニコチン兄弟に向かって何かが飛んできた。

タール爆弾だ。タール爆弾によりニコチン兄弟は壊滅的な被害を被る。

しかし、先頭を突っ切っていた長男が先頭で指揮を執っていた女リーダーに手が届いた。


「ぐっ..」


女リーダーを一撃で倒してしまった。

リーダーを倒されたタール帝国軍は指揮が執れずバラバラになった。リーダーに頼りきったタール帝国軍はリーダーがいなくなると何もできなくなる。これこそがタール帝国軍の弱点であった。


「今だ!」


長男の掛け声とともにニコチン兄弟がフィルターになだれ込み、次々とタール帝国軍を追い出す。

しかし、タール爆弾により無事フィルターに逃げ込めたのは45体だけだった。

その時、吸い口からものすごい勢いで吸い込まれ、長男と次男をはじめとしたニコチン兄弟の半分がが吸い込まれてしまった。


「にいちゃーん!」


兄弟たちは口々に叫んだ。

そして、ジュッという音とともに火は消された。

〝もしも〟やで....

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