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プロローグ(海side)
今日は『たまたま』早く目覚めただけだった。
金色に染め上げた髪を丁寧に梳いて、自分の顔をメイクで作り替えていく。
もう名前も覚えていないが、この間会った男に買わせた新作の香水を香らせて学校へと歩いていた。
小さな温かみを帯びた風がフローラルの香りを乗せて通り過ぎていく。
今日も代わり映えのない日…そう思っていた。
教室のドアを開けるとガララと重い音が廊下に響く。
静かに教室に入っていくと窓辺には黒髪のクラスメイトが佇んでいた。
「………………」「………………」
教室の時が止まる。
どうしてだろう、私の胸の鼓動はアップテンポへと変わっていく。
その沈黙を崩すように黒髪が靡いた。
……息を呑む。
____拝啓、昔の私へ。
私、女の子にときめいてしまったかもしれません…。