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転生者を探せ! 乙女ゲーム世界破綻対策本部局 新人かがやまちの場合  作者: 家具付
一章 たぶん初級じゃない任務!

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巻き込まれて単独

「出てきた人間を皆、担架に乗せて行って!」


門の方に走って行けば、悲鳴のような声でそう言われた。

つまりそれが保護の方法なのだろう。

担架はニ十個くらいあって、二十人もその、“プリ学”に入っていたのだと知れる。

それだけ入っていて見つけられないって、本当に、そこの世界の最初の一人は何者なのだろう。

そんな疑問を胸に抱きながらも、私も待ち構える。

帰還してきた人たちは、門から倒れ込んだり、そのまま駆け出して担架に乗ったり、と反応が様々だ。

ただわかるのは、彼等が皆命からがら逃げてきた、という事だけ。

酷い人になると全身血まみれで、動いちゃいけないんじゃないかって位負傷していたりする。

そんな人たちを担架に乗せたり、抱えていったりしていけば、私の体も血まみれだ。

ほかの人達も似たような姿だし、悪目立ちはしていない。

そしてあと数人になった時だったのだ。


「異常事態発生、異常事態発生、門が強制的に閉まります!」


「まだ三人帰還していないんだぞ!」


怒号と悲鳴のような叫びが飛び交う。


「駄目です、門が向こう側から閉められています! 神々の介入とは違うようです! 閉門までカウント、60!」


その六十秒の間に、あと三人が帰ってこなければいけないのだ。

私はそれをほかの人たちと同じくらいに、近くで待ち構えていた。一人が40あたりで倒れ込んできた、二人目が20で。後一人! と思った矢先、本当に扉が閉まり始めた。

そして向こう側では、足を血まみれにして引きずりながら、こっちに来る誰か。

閉まってしまう、門が! 

その時の私は、居ても立っても居られないから、ほかの人が絶望的に動けない中、その門に手をかけて力いっぱい、その門を引っ張った。

人間の力だからきりが知れている、でもそれは正しかった。

最後の一人がこちらに這いずって来る、それを引きずってこちらに連れ出す人、私も門から手を放そうとした時。

向こうからすごい力で引きずられて、


「かがやまち!」


めちすばず先輩の怒鳴り声を聞きながら、私は向こうに引きずられていった。




いってえ……というのが最初だった、えらい痛い。

多分引きずられていく際に、あちこちぶつけたのだろう。

時空の狭間的な奴に……

なんとも言えない気持ちで起き上がり、そして連絡手段が何もない事に頭を抱え、私は辺りを見回した。

前回同様くさっぱらである。くさっぱらだからこそ、いきなり人間が出現しても、大騒ぎにならない。

そこはいいんだ、大騒ぎにならない方がやりやすい。

だが今回は、頼りになるめちすばず先輩やヤカブ先輩がいない。

何もない状態、でサバイバルなのである。

私はポケットの中身を確認した。

それから常に腰にぶら下げていた、エプロンバッグを確認した。

折り畳みナイフ、マッチ、非常食、方位磁石、それから紙とペンとお守りである。

このお守りは、オトハタで最初に渡されたもので、これがあると異世界の神々の加護を受けやすくなるのだとか。

確かに加護は働いているだろう、人目につかないくさっぱらに放り出されたのだから。

さてこれからどうしよう。また前みたいに街でも何でも探すか。

と、思った矢先の事だった。

がらがらと荷車らしき物が近付く音がしてきたため、これ幸いと立ち上がって手を振った。


「すみませーん、乗せてくださーい!」


荷車は馬の様な生き物が引いており、それを操っていたおじさんが私を見て、声をかけてくる。


「どうしたんだい、こんな道の中で一人で」


「おじさん何処を目指しているんですか?」


「この近くの町さ、これからお祭りなんだ。お祭りで出店をするのが、俺の一年で一番楽しい稼ぎなのさ」


「あ、私もお祭りの噂を聞いてここまで来たんです、でもさっき獣に追われて道を外れたら……どこがどうなのか分からなくなってしまって」


「獣に追われた? ああ、このあたりは獣が出るからな。可愛そうに、それで荷物も置いてきちゃったんだろう。取りに戻ろうなんて思ってはいけないぞ、獣は自分の匂いのついたものを自分の物、と思って、取りに戻った人間を襲うからな」


「はい」


熊みたいなものか。私はこのおじさんに出会えた幸運に喜びながら、心優しいおじさんに、荷車の端っこに乗せてもらった。


「乗せてもらうんだから、出店のお手伝いをしましょうか?」


「それはちょうどいいな、出店はいつでも人が足りないんだ、でもうちのかみさんは家を守ってるし、うちのちびどもはまだ餓鬼だしな」


私は嘘をつきまくりながら、取りあえず不信感を抱かせないで街に入る事に、成功した。

街は確かに浮足立っており、間違いなく祭りが明日だと知らせてくる。


「噂ではきいていたけれど、こんな盛大なお祭りなんですね」


「このあたりで一番大きな、神様に感謝をする祭りだからな! 今年の巫女姫は歴代でも一番美女って事で余計に、噂が流れているのさ」


歴代で一番美女。……なんかオトハタの案件にかかわっていそうな感じがする。

ちょっと調べてみよう、お迎えが来るまで単独で。

私はそして、おじさんと一部屋の宿を借り、衝立で寝場所を分けて、一泊した。

その前に、おじさんの売り物とかを、しっかり聞いておいたので、明日の出店ではきっと、へまはしないだろう。




あくる朝、ぼやけた思考で朝ご飯を食べる。机に乗せられたのは共有の鍋物であり、朝からがっつりたっぷりである。

私も自分用のスプーンでそれを取り皿に分けて、おじさんとその他知らない人たちと鍋をつつく。

朝から香辛料の濃い味だ。スパイスの自己主張が強い。そして塩気はそんなになくて、なんだか味がぼけている気がした。

肉は延々と煮られていたからか、ほろりと骨から外れるほど柔らかい。筋肉の癖にやるな……髄まですすっていたら、おじさんが言う。


「肉なんてあんまり食べてこなかったんだろう、そのがっつきかたは」


「こんな風に食べるのは初めてです」


日本でスペアリブなんて、滅多に買う物じゃなかったし。

その後鍋の中の芋を食べているときにようやく、固いパンが渡された。


「これは汁に浸して食べるんだ、鍋を最後まで味わえるし、汁が染みたパンもうまい」


「なるほど」


外側に糖蜜が塗られた、少し変わったパンは汁に浸せば、甘しょっぱい感じで、いくらでも食べられちゃいそうな感じだった。

この鍋物は、パンに煮汁を浸すことを計算してあるのか、と感動するものもあった。

そして朝ごはんの後は、おじさんと荷物を確認し、値札も確認し、いざ、出店である。

気合いを入れて仕事に取り掛かるために、出店の出るところを見回せば、おじさんが言う。


「ここは巫女姫の通り道だからな、ここを巫女姫が通るんだ。毎年そうだから、出店は途中で終わって、観覧席の一種になる。観覧席としての場所代も、結構稼げるいい物なんだ」


「お祭りっていろいろ便乗するものなんですね」


「便乗してこそかせぎどきってやつだからな」


頼りになるおじさんは、そう言ってにやりと笑った。



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