表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者を探せ! 乙女ゲーム世界破綻対策本部局 新人かがやまちの場合  作者: 家具付
一章 たぶん初級じゃない任務!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/46

見つからない最初の一人


「この世界はどうしても、見つからないのよね」


「何がですか」


本日も色々なレポートを提出し、無事に二重丸をもらって学習したことを確認している際に、先輩が言い出した。

この先輩は解析班の一人で、結構重要な伝言を預かる立場。そのために本部局の中心地であるここと、解析班の仕事場を行ったり来たりしている。

これができるのは、この人間ならば情報を歪曲しない、という信頼がある人物だけなのだという。

確かに、この職場は報連相をとても大事にしているから、信用のできる人間でなかったら駄目だろう。

それを言えば、そうね、信用の方ね、と彼女は笑うのだけれども。


「最初の一人がどうしても見つからないのよ、ほかの人たちはじゃんじゃん見つかるんだけれども、最初の一人だけがどうしても、引っかからない。この世界の創造神の情報をもとに探っているのだけれども、ちっとも目的の人物に引っかからないのよ」


言いながら書類をまくった彼女が、ちらりと私のやった事が書かれている物を見る。

そして沈黙した。


「ねえあなた。たった数日で、難解な案件だった「恋華」の最初を見つけたの?」


「こいはな?」


「乙女ゲームの名前よ。恋する乙女は可憐に華開くっていうのがタイトルでね、これも結構長い間、探索班が見つけられなくて苛々していた案件よ。あなたが飛び込んで数日で、あなたを研修させていためちすばず班が発見、そして実行部隊と連携をとって見事、解決したって書いてあるわ」


「私はそれでめちゃくちゃ怒られましたよ。一人で行動するなって。どうやら体力の誤差があったようで、三人で追いかけている途中、彼等とはぐれてしまったんです」


「それはどうでもいいわ、大事なのはあなたが介入した事で。この案件が解決したという事よ。たまにあるの。新しい人間がへんな能力持ってて、解決早くなる事。あなた何もない大草原で、村を見つけるっていう千里眼持っているそうじゃない」


「そんな御大層な物じゃありませんよ、気配を探って探っていくんです。見えているわけじゃないので、結構外れも引くんですよ」


日本ではそれでしょっちゅうはずれを引いた。サバイバル大会の時に、親戚の煮炊きの後だけ見つけて、ご飯のおこぼれをもらえなかった事も多かったっけなあ。

たまに煮炊きに遭遇して、食料の分け合いをして、一緒に同じ鍋の中身を食べる事もあった。あれは結構おいしい鍋だった。色々突っ込まれていて、再現不能だけれども。


「外れも引くけど、あたりも引くんでしょう? あなたかなりの強運の持ち主じゃない」


「いいえ? ブラック企業に就職しちゃったり、セクハラで貞操の危機に陥ったり、色々大変な目に合っていますから、強運とはいいがたいと思います」


運がいいなら、最初からもっとましな企業に就職できたはずなのだ。

そうじゃないのだから、そんなに強運ではないだろう。

この世で一番敵に回したくないのは、運のいい相手だ。

運のいい相手は、その運の良さでこっちの有利性を覆してくるからな。

だから運のいい相手かどうか、見極めるのも大事なのだ。その嗅覚は修行中で、営業の中でこれから、繁栄していきそうなところと取引をする、という事で鍛えている真っ最中だった。

セクハラ上司からは、運の悪い匂いがよく漂ったので、近寄りたくなかった。しかし相手は近付いてきて、結局相手も身の破滅である。

多分男の急所が再起不能になったはずだ。

ヒール七センチ、それもピンヒールで的確に蹴り込んだのだから。

それで傷害罪にならなかっただけ、私の運はましなのだろう。首になったが。その後苦労しまくったが。

犯罪歴がないのは、非常にありがたいものである。世間様の眼が違うからな。


「でもここに見つけてもらえたんでしょう、結構な運の強さだと思うのだけれども」


言いながら彼女が、ふと思いついたように言う。


「確かあなたの指導者、めちすばずよね? 彼は今手が空いていたはず、そう……ちょっとあなたをつれてこの、「プリ学」に入ってもらおうかしら」


「え? まだ私、研修全部合格してませんよ」


「こっちも煮詰まりすぎて大変なのよ。どこまでがさ入れしても、見つからない最初の人間。どこから探しても尻尾すら掴ませないその、かくれんぼ上手を探さなきゃいけないの」


だから、と彼女は続けた。


「あなたみたいな、初心者の方が見つけられるかもしれない。申請通してくるわ、ちょっとごめんなさいね」


立ち上がった彼女の眼の際の色濃い隈、確かに煮詰まって煮詰まってどうしようもないのだろう。

早く新しい案件の方に行きたいに違いない。

解決できない案件が長引くのは、人間負担が大きいんだ。

まだ解決できない、そんな心理からすごいミスをしやすくなったりもするわけだし。


「忙しいんですね、このオトハタ」


こんな暢気に言っている状態じゃないのだが、私は心底そう思ってしまったのは、否めなかった。

だって一つ案件が片付いたと思えば、まだ片付いていないと解析班がピリピリするのだから。

どんだけたくさんの世界が、転生者によって破綻しかけているのやら。


まあ憧れるのはわかる、違う世界でワンチャンス。美人に、イケメンに、日本とかの進んだ技術でチートして、大成功して嫌な奴を見返す、そんな事をしたい人の心理が、分からないわけじゃないのだ。

だがオトハタでそれは許されないのだから、彼等の身勝手は世界が許さない事なのだろう。

私はあと少しになったマニュアルを開いたのだが。

すさまじい音で警告音が鳴り響き、また怒鳴り声。


「今度は誰だ!」


「プリ学、あおがみめうが負傷しました、転送します、カウント、10!」


「プリ学、とむかしぶ帰還します、あちらで異常事態が発生した模様、一度全員帰還を申請しています!」


「全員帰還を申請するって何事だ!」


「作中にない戦争の勃発と反乱、こちらの人間をその中に入れる事は危険だと判断したようです!」


局長の判断は一瞬だった。


「門を開け、全員帰還させる! 全員の命を優先しろ! かがやまち! お前は門の方で帰還する人間の保護を手伝いに行け!」


保護の手伝いって何するんだ!?

ぎょっとした物の、足は局長の指示通りに走り始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ