第一章完 腹をくくればそれまでで
ここで一区切りいたします。続きは思いついたら書きます
「悩んでるって顔しているわね、話を聞くだけでいいなら聞くけれど……」
そう言って声をかけてきたのは、あおやどまがる先輩だった。
実際に私は迷っていたし悩んでいたので、思い切って口を開き、考えていたことをぶちまけた。
今まで異世界の人と交流する時間もなく、転生者を見つけていたから、考えなかったのだが、知り合いが出来た時、世界が元通りになった時、知り合いが幸せか考えてしまう事。
転生者がいたから幸せになった人たちはどうなるのか、という事。
人の人生をそんな形で変えていいのか、という事。
……少しだけ、怖くなったという事。
私の要領を得ない言葉を聞きながら、最後まで頷いていた先輩が言う。
「それはオトハタの誰もが通る道なの」
「先輩も?」
「私も友達が出来た時に悩んだわ、この友達の幸せを、自分は否定するんじゃないかって、でも……」
あおやどまがる先輩は、思い出した事があるらしい。
「そう思って躊躇している間に、世界がどんどん壊れて行って、収拾がつかなくなったことがあったの。あの時、腹をくくったわ。世界が壊れてしまったら、幸せもへったくれもないって。私は結果的に彼女たちの幸せを守っているってね」
壊れた世界を、私はまだ経験していないから、何とも言えなかったけれども、先輩は覚えているのだろう。壊れた世界を。
なくなった物を。
だから何も言えなかったのに、かのじょは茶目っ気たっぷりに言う。
「あなたも、悩むのはよくわかるわ、でもあなたを含めた、オトハタの人間は、他の世界を救うために頑張っているの。……もしもそれが耐えられないと思うんだったら、部署移動を願い出れば、今はどこも人手不足だから、移動できると思うわ」
「そいつは移動させられないぞ、あおやどまがる」
「あ、局長」
背後で話を聞いていたのだろう、局長が言う。
「かがやまちは、簡単に言えば、運命を探す事に対してかなりの適性がある。はいって早々に解決した世界が三つもあるというのは、普通考えられない数値だ」
局長は資料をめくりながら続ける。
「かがやまち、そんなに悩むんだったら少し休暇をとって、こっちの世界を楽しんだらどうだ」
局長がそれだけ言って、それを聞いて私はどうしてか、腹が決まった。
「いえ、大丈夫です」
遠いどこかの世界で、転生者がいる事によりゆがみが発生して、世界が終わっちゃうのならば。
私のような存在でも、力を貸せるなら、貸さなくちゃ。
……きっと友達だって、世界が終わるよりましだって言ってくれるだろう。
局長の言葉を聞いてどうしてか、そんな風に思えたのだ。
「いい根性だ、長続きしそうでな、さてこっちの世界を頼みたい」
局長が資料を差し出す。私はそれを受け取り、ざっと概要を読んでから、すでにそちらに向かった人の確認をして、転移の門がある場所に歩いて行った。
たとえどんな事が待ち受けていても、私はここで働くのだろう。
それがオトハタ、転生者という名前の亡霊を探す場所での仕事なのだから!




