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転生者を探せ! 乙女ゲーム世界破綻対策本部局 新人かがやまちの場合  作者: 家具付
一章 たぶん初級じゃない任務!

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新たなる異世界はご都合系

「お前の今度の仕事の場所が決定した」


局長のこの発言により、私は延々と行っていた試験の中身が、及第点になった事を知った。

とても長い半月だったと思う。

試験をしている半月の間も、給料が出ているのがありがたい。

それはさておき、今度は一体どこに行く事になるのだろう。

私は渡された書類をぱらぱらとめくった。

今度の場所も乙女ゲーム系の転生者が複数確認されている場所、らしい。

だがしかし、確認されていても接触が出来ない、そして完全な特定が難しい、といういつも通りの案件らしい。


「先に向かわせてる、なびへかが、潜入先への伝手を作ってくれている」


なびへか、つまり異世界では、ナビェとかいう風に認識されている名前なのだろう。

そんな事を考えながらも、私は問いかけた。


「潜入先でぼろが出ないような職種ですよね」


「ああ。通いの下働きという中身だ」


それって結構ハードでは? まあ潜入先が確定しているだけましなのかもしれないと思いつつ、私は確認書類を何枚もめくった。

少なくとも言葉の壁にぶち当たったりはしなさそうだ。


「よく読んで行く事だ。お前の能力の高さは、期待できると判断している」


局長まで私が規格外だと認識していそうだ。

そんな事は呑み込んで、私は持っていけそうな持ち物が何か、よく確かめる事にした。




「マチ! こっちの掃除を手伝ってちょうだい!」


「はい今参ります!」


そんな風に決まった新しい異世界は、乙女が大好きな中世ヨーロッパ風である。

ここがみそなのだが、乙女の好きな中世ヨーロッパとはつまり、近代ヨーロッパフランスである。

結構な割合の人が、中世でペストで暗黒時代と、ロココ調きらびやか系近代を勘違いしているのである。

中世は騎士が台頭する時代だが、戦争とかでの戦い方が大きく変わったりしたから、騎士は近代ではそこまで目立たなくなったのだ。

だが騎士という言葉だけで、憧れが募るのがゲーム世界である。ゲーム世界の騎士は少なくとも、憧れになりうる人格者が多い結果だろう。

実際はきついし厳しいし、お仕えしている君主が無茶苦茶だとそれだけで痛い目を見るし、結構荒くれものなのが騎士である。

騎士団がめちゃくちゃやって、確か国を作りそうになったとかいう記録が、西洋になかったっけ? よく覚えていないけれども。

プロイセンとかそっち系だった気がするのは、私の気のせいだっただろうか……? 

まあ私の世界史の知識が、勉強不足なのはここではおいておこう。

とにかく、騎士が格好良くて、ドレスがひらひらフリフリで、メイドとかもいっぱいいるのがこの乙女ゲームに似た世界の基準であるらしい。

そこで私は、なびへか先輩が紹介してくれた雇用先で、通いの使用人をしている。

通っているのは大きな手入れの行き届いたお屋敷で、没落しそうだとかそう言った空気はかけらもない。

大きなお屋敷でも、往年のなんとか、とかで今は廃屋みたいな屋敷も、結構あるらしいのだ。

だが少なくとも、私の勤め先は、立派だ。きれいに整えられているし、ゴミ一つ落ちていないし、食器も見る限りつやつやピカピカで、鍵のかかった食器棚に入っている。

この鍵付き食器棚というのは、お屋敷の主人に認められた使用人しか鍵を持っていないから、私のような下働きには開けられない仕様になっている。

大変に防犯意識の高い食器棚だが、それだけ価値のあるものを、この屋敷の主人は持っているわけである。

私は、ここで下働きをしながら、注意深くあちこちを見ている。

なんだか、とてもご都合主義な部分を感じてしまうからだ。

実際に他の潜入先の人と確認し合っていても、このお屋敷の何かは、ちょっと出来過ぎているらしい。

なんとこのお屋敷には、電気ケトルも真っ青な湯沸かし器が厨房に置かれていたり、柑橘類の皮から採取される油を使った精油洗剤が使われていたりと、とっても変なのだ。

私もこれらを撮影し、じょなさと先輩からもらった探知機で送信しているが、やっぱりこれらは、完全にまっくろくろすけらしい。

じゃあこの屋敷のお嬢様とかがそう言った転生者か、というと微妙なのだ。

私は数回、このお屋敷のお嬢様とすれ違ったわけだが、その時探知機は反応の音を出さなかった。

お嬢さまじゃないなら誰が、この世界に場違いな物をいくつも作りだしたのだろう……

あ、ここの屋敷のお嬢さまは三人いるが、私はまだ二人しか出会っていないから、最後の一人が黒という可能性も、無きにしも非ずである。

今は同僚の声に応じて、掃除の手伝いに行かなくちゃいけない。

私は素早く掃除用の木桶を片手に、片手に窓を磨くもっぷを持ち、そちらへ駆けて行った。


「遅れました、ごめんなさい」


「ちっとも遅れてないから! そっちの窓ふき終わった?」


「終わりましたよ」


「じゃあ、窓の近くの拭き掃除をお願い!」


「わかりました。ではあちらの端からやっていきますね」


「マチが来てくれて助かるわ、最近人の出入りが激しすぎて、当たり外れが大きいのよ」


通いではなく、住み込みの掃除担当である彼女が、ため息交じりにそう言った。


「そんなにも?」


「二番目のお嬢様の気性が激しいから、気に入らないとすぐに追い出されるの。あの方、ちょっと変わっているから……」


そうなんだ、二番目と言えば、髪の毛をくるくると巻いたお嬢様だ。

きつそうな顔立ちと化粧が相まって、いかにも悪役令嬢だったが、彼女に探知機は反応しなかったから白である。

あと一番目のお嬢さまは、しょっちゅう婚約者のもとに遊びに行っていて、私は彼女と会ったことがない。

三番目のお嬢さまは音楽作曲の才能に長けていて、よく楽器をたくさん置いた離れから、華麗な音が聞こえて来る。

彼女ともすれ違ったが、彼女も白だった。


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