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吟遊詩人の語り

 理由はよくわかっていない。突然、大陸の3分の2の領土を有する大国、エルトア帝国がベオルーゼ王国領内に侵攻したのだ。晴天の霹靂だった王国は迎え撃つも力の差は歴然で、大帝国の進撃は瞬く間に王都の目前に迫っている。王国の人々は絶望の淵に突き落とされていた。ある者は祈り、ある者は覚悟を決めた。

 帝国の大軍勢が王国最後の部隊に襲いかかる、まさにその時。どこからともなく漆黒のローブを身に纏う魔術士が現れた。魔術士は竜の咆哮の如き(いかずち)を放つと、何万という帝国の大軍勢をあっという間になぎ倒していった。

 喧噪は止み、戦場は怖いほどの静寂に包まれる。誰もが身動きできずにいると、魔術士は身を翻し、戦陣にいたベオルーゼ王国第二王子の御前で(ひざまず)いた。

 この奇跡のような出来事は敵味方問わず大陸全土に広まった。奮い立ったベオルーゼ王国は、皇帝の急逝による内乱でエルトア帝国が消滅するまで持ちこたえ敗北を免れたのだった。

 それでもベオルーゼ王国は第二王子や多くの犠牲者を出していた。暗い悲しみに包まれながらも第一王子に男児が生まれるなど、新たな希望を胸に国が一丸となって復興していく。そんな中救世主でもある魔術士は忽然と姿を消した。人々は必死に捜索するが外套を纏った姿以外に魔術士の顔も名前も知る者はおらず、杳として消息は掴めなかった。

 正体不明の魔術士は、尊敬と畏怖を込めて『漆黒の雷帝(ユアン=シール)』と呼ばれている。


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