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モノクロの蝶  作者: Riviy
第七章:『荒神』
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第七十六ノ世界:傷

暴行表現注意!


それからの毎日は地獄だった。昼か夜かも分からない時間感覚の中で、村人達が何回も、何十回も暴行を加え、暴言を吐いて去っていく。中には女性や子供も含まれており、子供の場合は「人殺し~人殺し~」などと云う暴言と石ころ攻撃が主であった。女性の場合は、あの和服の女性を中心に男性数名を組み込んだ、絶対に逆らえない構図を作ってやって来る。男性は言わずもながなのでなしだ。牢屋の外の闇は何処へ続いているのか?それすらも分からず、来る時間帯は無造作なため、いつ来るかも不明。それが逆に恐怖を煽っていた。そんな三人には痛みに耐えるしか方法がなかった。体に刻まれた傷は日に日に増えていく。特に酷かったのは村正で、黒髪に赤に近い朱色だからか、暴行が酷かった。だが、三人は兄弟で友人で仲間がいるから耐えられた。もしいなかったならば、一日ももたなかったかもしれない。そして、逃げる事が出来ないと言われていた逃げる隙も虎視眈々と狙っていた。


「っ!」

「わー、痣になってる」


痣や傷がつけられ、肌色を探す方が困難になった村正の背中を見ながら、祢々切丸がそう、感想を漏らす。その隣には蜘蛛切丸がおり、心配そうに顔を歪めていた。蜘蛛切丸が村正の背中にある真新しい切り傷を指でなぞった。すると村正がビクリ、と震えた。それに蜘蛛切丸は申し訳なさそうに言う。


「あー、わりぃ、兄さん」

「大丈夫です。それより、どうですか?」

「んー、やっぱり、治り早い気がする。『荒神』だからかなぁ」


村正が蜘蛛切丸を安心させるように顔だけで振り返りながら笑うと、祢々切丸の答えにうーんと唸った。そして、背中の傷から目を逸らすように素早く袖に手を通す。今、彼らは自分自身の傷の手当て、ではなく傷を見ていた。恐らくだが、自分達は怪我の治りが少し早い。早いと云っても治りかけのところに村人達が暴行を加えてくるおかげで、本当に普通の人より早いかは不明である。村正がくるりと二人の方を振り返る。村正の前に蜘蛛切丸の傷を見たので、最後は祢々切丸だ。祢々切丸は村正が終わった辺りから準備を始めていたらしく、今は二人に背を向けて脱ぎ始めている。それを待ちながら、村正は疑問を口にした。


「ねぇ蜘蛛。何故、僕の事を兄さん、祢々の事を兄貴と呼ぶんですか?」

「あ、それぼくも気になってた」


その問いに蜘蛛切丸は少し恥ずかしそうに顔を俯かせた。


「だって、オレ、二人より姿って云うか体、幼いじゃん?だから」

「…………村正ー蜘蛛が可愛い」

「同感ですね祢々。僕もそう思います」

「だぁー可愛い云うな!!」


可愛いと言われて、不満げに両腕を振り上げる蜘蛛切丸。そんな彼を二人は微笑ましそうに笑う。毎日が地獄であっても、小さな笑いがあった。と、祢々切丸が二人に背中を見せた。やはり彼の背中も肌色を探す方が困難になるほど、痣や傷だらけであった。村正と蜘蛛切丸が顔を見合せる。


「やはり、治りが早いんですかね…」

「比較する対象がオレらしかないから、なんとも」

「うーん……聞きたくないしね。それかこの事知ってるとか」


祢々切丸が二人を顔だけで振り返りながら言う。彼の言葉に村正と蜘蛛切丸が怪訝そうに首を傾げた。二人の怪訝そうな表情に祢々切丸は柔らかく笑うと説明を始める。


「なんとなく、だよ。確証は何もないんだけど。でも、あの人たちが"お前ら"っていつも云うのがぼくたちだけを示すとは到底思えなくて」

「あーなんか、オレらよりも知ってる感があるよなアイツら」


祢々切丸の仮説に蜘蛛切丸がそう付け足す。そう、あの村人達は彼らよりも多くを知っている。一発で『滅命』と分かったのも気になる。それに村人達は『創命』と『滅命』を確実に正義と悪と線引きしている。何故。不思議すぎる。

三人が頭の中にある歴史と共に頭を捻るが、答えは村人達かそれ以外から聞かないと得られそうにない。三人は考えるのを一瞬、中断する。村正、蜘蛛切丸がほぼ同時にブルリと体を震わせた。寒いのかもしれない。そう思い、祢々切丸は急いで袖に手を通す。


「ラッキー♪」

「「!?」」


そう、陽気な声が響いた。それに村正と蜘蛛切丸が背後を勢い良く振り返った。しかしそれは叶わず、頭を掴まれると背中や足を殴るなど暴行され、二人は痛みでうずくまった。そんな二人を足で横に蹴っ飛ばす。そこにいたのは、村人達。人数はやはり、確実ではないが五人ほどいた。祢々切丸は倒れた二人を心配そうに見ると村人達を睨み付けた。気配がなかった。どうやって此処まで来たんだ?その疑問は全員が同じだった。

祢々切丸の視線を鬱陶しそうに村人達は冷たい視線でかわす。祢々切丸は村人達の方へ体を向けようとした。が、それよりも早く、村人の一人が祢々切丸の両腕を掴むと背中に回すと、背後の壁に彼を押し付けた。視線だけで村人達を睨み付ける。


「ん~♪イイネイイネ~その目。痛みを与えたらどうなるのかなァ~」


祢々切丸を押さえていない方の村人の瞳が、狂喜的に歪んだ。その瞳に祢々切丸の背中にゾワリと寒気が走った。それは他の二人もそうだった。三人は寒気の原因が満場一致した。先程、寒いから体が震えたのだと思ったが、それは違った。この、狂った瞳に反応したのだ。狂喜的に瞳を歪ませた村人、若者は手に持った鋭利な刃物を持っていた。痛みから解放された村正が刃物を持った若者に向かって飛びかかった。


「祢々!」


が、誰かかは分からないが足枷の鎖が突然引っ張られ、村正の体はコンクリートの床に叩きつけられた。体全体に響くような痛みに村正が起き上がろうとする。とその目の前に誰かの足があった。そのまま視線を上へ向けるとそこには、侮蔑な表情を浮かべ、狂気、いやそうとも言いがたいものを瞳に宿した別の村人達がいた。そのうちの一人は、若者と同じ鋭利な刃物を持っていた。サァーと村正の顔から血の気が引いていく。今日、村人達がやって来た理由が少なからず分かったのだ。気配を立てずにどうやって入ったのかも。恐らく、気配がなかったのはこの狂気的に微笑む若者のせいだ。狂気が気配を掻き消したのだろう。そして、村人達は、自分達を刃物で暴行しに来たのだ。


「あ"あ"あ"あ"!」

「「蜘蛛?!」」


その悲痛な叫び声に二人が視線を向けると、他の村人達に両腕を掴まれた蜘蛛切丸がいた。彼の前には鮮血が滴る鋭利な刃物を握った村人がニヤニヤと愉快げに笑っていた。蜘蛛切丸が後退ろうとするのを両腕を掴んでいる村人が押さえている。蜘蛛切丸の左腕からは切られたのか、微かな紅い一線があった。その一線の血は早くも固まったのか不明だが、血液は垂れていない。村正が何か云うよりも早く、彼の体に鋭い痛みが走った。声にならない苦痛の悲鳴が村正からあがる。起き上がれないように背中から押さえられているのか、身動きが取れない。次々に本日の暴行を加えられ、苦痛の表情と悲鳴をあげる二人。祢々切丸の前にいる刃物を持った若者は、彼に向かってニッコリと狂気的に微笑みかけた。その笑みは、ただただ彼らの恐怖を煽った。そして、彼が何か云うよりも早く、その背中に刃物を突き刺した。三人の叫び声が牢屋に響き渡った。


…*…*…


村で一番豪華な家。いや、屋敷か。そのある一室の壁にその部屋に不似合いな三振りの刀剣が飾られていた。抜けないように、太い紐で鞘と柄が繋がれていた。三振りは仄かに黒い光、水色の光、蜂蜜色の光に輝いていた。そして、壁につけられた棚から逃れようと、ひとりでにガタガタ、ガタガタ!と揺れていた。それを眺める老人、いや村長。村長はガタガタ震える三振りを煩わしそうに見上げている。


「此処に置けば、容易に動けぬと思うたが……やはり、()()()()か………よろしい。絶対に勝つのは正義じゃと、分からせてやろう」


村長はニィと口角を上げて笑う。それに反応するように三振りの動きは激しくなる。村長の発言を否定するように、反論するように。しかし村長はそんな事知らんと言いたげな顔で、三振りを流し目で見やると部屋を出て行った。村長が出て行った後も何かを発言するように揺れていた。



村正、きっと皆様知ってる

祢々切丸、これもきっと皆様知ってる

蜘蛛切丸、違う、お前じゃない

村正と祢々切丸は良いんですけど、蜘蛛切丸が調べてると「違う、そっちじゃない」ってのが出ます……いや、間違うのも無理はないよ?!なんで同じ名前あるんやぁあああ!統一しようぜ?!たまに迷うねん俺が!はい、落ち着けってな、すいませんでした、前々から思ってた愚痴です、すいません。

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