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モノクロの蝶  作者: Riviy
第四章:偽りで手に入れた
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第四十二ノ世界:休憩ならぬ



匡華と村正が使用している部屋に能力ーであろうーで避難した彼らはとりあえず、何も言わずに特効薬を煽った。体の内側から癒されていく痛みに耐えながら、ソファーに身を沈める。村正はかすり傷だったので早く治ったが、匡華と千早が受けた傷は深かったらしく、治るのに時間がかかった。ちなみに鳳嶺も見ると酷い怪我だったが、案外治りは早かった。


「うぅ……」

「千早、大丈夫か?」

「ええ、大丈夫……治ったわ」


痛みに耐えていた千早の顔が苦痛から和らぐ。鳳嶺はチラリと彼女の傷を見た。元通りに治っており、怪我なんてしていた?と思うほどに綺麗な肌が見えている。ついでに服も直るとか。特効薬様々です。鳳嶺が千早の頭を優しく撫でると彼女は嬉しそうに、気持ち良さそうに瞳を閉じて笑った。そんな和む光景を目の前で見ていた匡華と村正は顔を見合わせて笑う。匡華の傷はつい先程治った。匡華がパンパンと手を叩き、場を引き締めると全員が真剣な表情で匡華を見た。


「さて、あの茉亞羅という子だが、私達に対してただならぬ怒りを持っているようだ」

「心当たりは今のところありませんね。此処は殺し合いの場。彼女に接触した記憶はありません」


匡華の言葉に続けて村正が首を振りながら言う。そう、彼らには茉亞羅と接触した記憶がないのだ。あの言い争いを除けば、だが。しかし、あの言い争いが今回の引き金とは考えにくい。そこまでは、この場にいる全員が分かっている事だった。

千早が人差し指を口元に置いて「うーん」と頭を捻る。


「言い争ってたあの二人……ヘレーナ殺しのあいつらになんか言われたとか?」


鳳嶺がそう言うと千早から一瞬、小さな殺気が放たれた。静かに漂うその殺気は村正ほどではないが、怒りが仄かに混じっていた。


「確かにあり得る話だ。だが、吹き込まれたのは、なんだ?」


匡華が千早の殺気に一瞬視線を向けた後、鳳嶺に問い返す。それに鳳嶺はそこまで考えていなかったらしく、口を閉ざした。その後、静かな殺気を放つ千早を落ち着かせようと再び頭を撫でていた。と、匡華がまさか…とある仮説を立てた。鳳嶺の言葉がヒントになった仮説で証拠はない。けれど、茉亞羅のあの言葉が「そういう意味」を持っているとしたら?恐らくそれは事実となる。考え込んでいた匡華の視線が心配そうに匡華を見ていた村正の視線と合う。途端、彼も納得したように口角を上げて笑った。貴方もかい。匡華は少し嬉しくなって笑った。二人が笑っている事に気がついた千早と鳳嶺が怪訝そうに首を傾げる。


「どうしたの?匡華さん、村正さん」


千早が首を傾げながらそう訪ねると匡華はにっこりと微笑み、一度腰を上げた。暫くするとお盆の上にティーポットと四つのカップを乗せて帰って来た。ローテーブルにお盆を置き、紅茶を注ぎ、そのカップを三人に回していく。突然の紅茶に千早と鳳嶺は面食らっていたが、当たり前のように村正が匡華から受け取り、飲んでいたのでありがたく飲む事にした。「はぁ…」と頬を乙女のように染めて千早が紅茶に舌鼓を打つ。匡華が一口紅茶を飲んだ後、カップをローテーブルに置き、言う。


「さて、一息ついたところで私達の考えを教えようと思う。千早、鳳嶺、お代わりはいるかい?」

「ええ!ちょうだい!」

「俺は結構」

「なら、僕にその分をください」


紅茶を匡華が千早のカップに注ぎ、残りを村正のカップに注ぐ。鳳嶺はカップをローテーブルに置きながらソファーに身を委ね、早くしろと視線で急かす。それに村正がギロリと鳳嶺を急かすなと睨んだ。鳳嶺は苦笑しながら肩を竦めた。匡華は二人の光景にクスクスと笑いながら、話し始める。


「鳳嶺の言葉で思い付いたんだがね。あの青年達に何か言われたと仮定しよう。私達が今までに殺し合いをしたのはヘレーナ、朱雀、桜丸。そのうち、あの青年達と接触したのはヘレーナのみ。もし、ヘレーナと茉亞羅が何かしら計画などをしていて、ヘレーナが死んだ事によっておじゃんとなったら?ヘレーナの相手をしていたのは私達、それを知っているのはあの青年達、恐らく神様しか知らない……此処まで云えば、分かるかい?」

「!あの青年達あいつらがヘレーナの共犯者だと思われる茉亞羅(あの子)に"殺したのは四人(俺達)だ"と吹き込んだ?」


鳳嶺が匡華の言葉に続けて叫ぶと匡華と村正はそうだと頷いた。そこまでよく考えたもんだと鳳嶺は思ったが、そこで疑問が生じた。千早もだったらしく、首を傾げている。その、証拠は?それに気づいた村正が小さく笑って言う。


「あの茉亞羅(人間)はこう言いましたね。"茉亞羅様の欲望を踏みにじったんだもの"、と。つまり、それはある意味証拠になります。仮定は匡華が言った通りです。何故、青年達(あの二人)が彼女だと分かったのかは不明ですが、神様がどちら一方に有利になるよう動くとは考えにくいですし」

「…う、うーん…頭良いわね二人共」

「鳳嶺のおかげさ」


自分達の一応の疑問が解消されて千早は驚愕の声を漏らしながら、鳳嶺が誉められ、嬉しそうに笑った。鳳嶺は嬉しそうに自分を見上げる千早に笑い返しながら、紅茶を飲む匡華と村正を見る。相手の言葉から、友人の言葉をヒントにそこまで考える。鳳嶺じぶんでさえ、茉亞羅の言葉は殺し合いでほとんど忘れていたのに。そう考えて、敵わないなぁと鳳嶺は小さく笑った。千早が少し悲しそうな顔で言う。


「じゃあ、あの子は勘違いをしているのね。真犯人に騙されて」

「そういうことになるだろうね。私達をヘレーナのかたきとしているようだしな」

「説得、しますか?」

「出来たらしたいよなぁ」


一息つくように全員が同時にため息を付く。それが可笑しくて彼らはクスリと笑った。茉亞羅はあの青年達に騙されている。その誤解は解かなくてはならない。満場一致。笑い終わった後、全員が頷き合った。紅茶を飲み終わった村正が腰を上げた。鳳嶺がどうした?と見上げると彼は腰に帯刀した刀を示した。


「手入れです」

「嗚呼。見て良いか?」

「ええ、邪魔しないのであれば」


村正が道具を取りに棚の方へ行くのに合わせて鳳嶺も付いて行く。千早がそんな二人を微笑ましそうに見ながら紅茶を含んだ。匡華は自分のもだなぁと思いながら、ホワホワと周りに花の幻を飛ばしながら両手で紅茶を飲んで和んでいる千早を横目に残りの紅茶を手に取った。そうして、脳の片隅で少々のシュミレーションをしていた。



もうこの四人、親友組って括りでいいと思うんだ…

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