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モノクロの蝶  作者: Riviy
プロローグ
3/153

第二ノ世界:不安分子取り除きにつき



男性の不安を感じ取ったのか、青年がクスリと口元を押さえて笑った。その動作の後、青年は自信満々に答えた。


「大丈夫ですよ、神にだって見破る事は出来ない」


その自信は何処から来るのだろうか。男性の心中から不安が消え去り、困惑が広がった。条件に合うのはこの人しかいないし、自分が黙ってればいいか…?そこまで考えて男性は、大きくため息をついて「分かりました」と降参するように手を挙げて言う。


「私が黙っていれば、済むことですしね。条件には友人も当てはまっているようですし」


そう肩を竦めながら男性は言う。そして、もう一度、能力を発動させる。今度は吹き出しに情報が書かれていた。本当に何かの能力で閲覧不能にしていたらしい。条件に当てはまる人を探している時に見た人物と青年の情報と全て一致している。その世界の基準によって最強または最強に近しい者の情報は異なる。この世界では『全体平均値』が最強クラスとされる、一万付近かそれを越えた事で最強、最強に近しい者と判断される。能力で見た二人の『全体平均値』は、青年が9704、人物が9901と条件に当てはまっている。ただし、『全体平均値』なので中身が偏っていない保証は何処にもないのだが。


「(やっぱり、名前が表示されない…)」


青年から出ている吹き出し。探している時に見た情報と全く同じだ。名前が表示されれば、「友人」ではなく「代表者」に選ばれても可笑しくない。青年の名前の部分は、黒でぐちゃぐちゃに塗り潰されており、何も読めない。ぐちゃぐちゃになった名前の横に「通称」とあるのでそちらで呼ばれているのだろう。次に男性は人物の吹き出しをもう一度、見やった。名前も情報も全て一致している。名前の上には、世界から与えられると云う異名が表示されている。異名は最強に相応しい者に世界自身が与えるーらしい、正確には分かっていないがそういうことになっているー。異名の意味は全世界共通である。人物と青年を「代表者」と「友人」と云うカテゴリーに分けたのは、この異名と名前と言ってもいいほどであった。

だがまぁ、それも、人物が青年を連れて行くことで消滅するが。


男性は能力を解除すると人物と青年に向かって頭を下げた。


「どうか、代表者として戦闘に参加してください。責任は、全て私が取ります」


真剣な声色で告げる『異世界案内人』。人物はゆっくりとした動作で立ち上がると、男性の前に行き、こう言った。


「貴方は、こちらの条件を飲んでくれた。感謝するよ。黙っている事には賛成だ。しかし、彼を連れて行く責任は私にある。貴方はその責任を負う必要はない。私達を案内おくるだけ、責任を持って。後は、こちらの問題だ」


人物の言葉が心に来て、男性は涙目になっていた。責任は自分にある、と人物は言う。だが、それでも選んだのは自分だ。その思いを受け止めながら、男性は人物に感謝の念を送った。


「まぁ、あんたがバラしたとしても僕達の仲間があんたを引き裂くだけですし。せいぜい震えていればいいです」

「余計なんだけどなそれぇえ!!!」


淡々と告げる青年の言葉に男性が勢いよく頭を上げて叫ぶ。その様子に青年はきょとん、とした後、愉快そうに笑った。男性にとっては愉快ではない。人物もクスリと笑い、男性に手を差し出した。


「代表者として、戦闘に参加しよう。貴方の行為に感謝しよう」

「!はは、宜しくお願いしますよ代表者殿!」


男性はニカッと笑って人物の手を取った。固い握手をかわす二人。それはさしずめ、契約に近かった。男性は誓う。彼らの助けとなろうと。例え、この秘密を告げる時が来たとしても。


握手をかわし終えると人物と青年は、準備を開始した。

実は神様が用意した代表者を探す期間があり、今日がその最終日だったのだ。なので、すぐさま神様が創ったと云う専用の闘技場に送らねばならないのだ。


「代表者殿、持っていくものは決まってます?」


作業をしている二人に向かって、腰をソファーから浮かしながら訊く。すると、人物が屈んでいた腰をあげ、男性に向かって屈託のない笑みを向けた。


「私の事は気軽に呼んでくれてかまわないよ?」

「えぇ…」


ありがたいようなありがたくないような申し出だ。男性は首を竦める。青年の殺気が凄まじい。それに気づいた人物は青年に「やめなさい」と軽く言った。青年は、不機嫌そうに顔をしかめながら軽く頭を下げ、別の棚に向かった。殺気がなくなり、男性は一安心。何故、あんなにも殺気を青年は放つのだろう?自分の事が嫌いなのかな…と男性が一人ショボーンとしていると、いつの間にか人物が目の前に立っていた。驚いて身を引く男性に、人物は可笑しそうにカラコロと笑った。男性から気軽に呼ばれるのを待っているように見えた。


「彼の事は気にしなくて良いよ。嗚呼云う性格なだけだから」


性格か、殺気あれ、性格で済ませられるのか?!男性がそう悶々と思っていると作業をしている青年と遠目で目が合った。今度は殺気がなく、人見知りの猫みたいだ。それに男性は、なんとなく青年の殺気の意味が分かった気がした。きっと、怖いのだ。友人を取られたりしないかと。男性は能力で視た、青年のぐじゃぐじゃになった名前の部分からそう思った。青年にとって人物は大事な友人ひとなのだろう。強い繋がりだ。子供を見守るような気持ちになった男性はニッコリと親しみ深い笑顔で要望通り、言った。


「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうよ。加護夜かごやくん、村正むらまさくん」

「!?なんで僕まで含まれるんですか!?」


青年が鬼の形相で男性を振り返った。だがその頬が恥ずかしいのか赤く染まっており、威圧感は全くと言っていいほどない。人物はクスクスと口元に手を当てて笑う。


「んー?ダメだったかな?」

「いいや、良いだろう村正?」


人物が笑いながら彼を振り返ると、青年は手にした刀を握り締め、仕方なさそうに鼻で嗤った。


「しょうがないですね。匡華きょうかが云うなら仕方ありません」

「……ツンデレかな?」


男性は青年の言葉を聞いて呟いた。それが聞こえたのかいなか、青年に睨まれたので両手を軽く挙げて降参と伝えた。殺気はなかったが、怖かったです、はい。

青年はもう片手に持っていた小太刀を人物に投げ渡した。それを片手で受け取りながら、柄を握り、鞘から抜き放つ。天井のライトに反射して、美しい刃がキラリと光る。人物は満足そうに「うん」と頷いた。


「美しい刃だね。それが…それらが君達の武器かい?」

「嗚呼、今まで幾度も命を救ってくれた恩人ならぬ恩刃おんじんさ。村正もそうだろう?」

「まぁ、そうですね」


人物と青年が笑い合う。その笑みに男性は微笑ましく感じた。


村正むらまさと呼ばれた青年は漆黒の長髪でポニーテール。一房だけ紫色をしており、瞳は赤に近い朱色。両耳に紫のピアスをし、結び目に華と蝶が散りばめられた簪をさしている。爪に黒のマニキュアを塗っている。黒の軍服を着ー両手首と服の裾が細い布で繋がっている珍しい袖口の服だー、下は長ズボンで黒のハイヒール(+ヒール6cm)。情報によると身長はヒール分を抜かして170cm。


加護夜かごや 匡華きょうかと呼ばれた人物は美しい白銀のショートヘアーで瞳は薄い桃色。薄浅葱うすあさぎ色のオフショルダーでその下に黒のタンクトップを着、下はクリーム色の長ズボン。黒のヒールが少し高い(と言っても村正と比べると低い)ブーツでズボンの下に隠れている(+ヒール2cm)。同じく情報によると身長はヒール分を抜かして166cm。


男性は二人の準備が整ったと思い、重たい腰を上げた。


「さて、準備はいいかい?」

「嗚呼、ところで」

「ん?」

「貴方の名前を聞いていなかったと思って」


匡華が小太刀を腰に帯刀しながら言うと、男性は気さくに笑った。


「そんな、名前を聞かれるような者じゃないさ。まぁ、味方きょうはんしゃとしては名乗った方がいいかな」


スゥ…と目を細めて笑う男性。乱れていたオールバックの髪型を手で撫で付けながら直す様子は、体格も相まって妖艶ではなく、威圧感が出ていた。黒い髪をオールバックにし、瞳は黄色。キチッと着こなした黒のスーツが似合う。


「それで、貴方はなんて云うんだい?『異世界案内人みかた』さん?」

「ははっ、じゃあ、お言葉に甘えて。私は、伊達だて 伽爛がらんと言うんだ。改めてよろしくね、加護夜くん、村正くん」


ニッコリと、男性、伽爛は二人に向かって渋く、それでいて親しげな笑みを浮かべた。

こんな朝早くにすいません。でも!朝のうちに投稿しておかなくてはいけない気がして。

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