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モノクロの蝶  作者: Riviy
第二章:血で償われた戦場
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第二十三ノ世界:勝者は、




「追ってくる武器だなんて聞いてない!!」

「そりゃあ、空中に浮いてるとは言いましたけどね!!」


鳳嶺が苛立ったように叫ぶとこちらも少々の苛立ちと皮肉を交えて村正が叫んだ。村正の発言にも鳳嶺の発言にも同意なのか、鳳嶺に横抱きにされている千早が頷いた。ただいま、追ってくる幾多もの刃物から逃げている最中だ。しかも、空中に浮いている。空中を滑るように追いかけて来ている。はっきり言おう。速い。鳳嶺に横抱きにされた千早が両手を後ろへ向けながら靄で襲い来る刃物の攻撃から自分達を守っている。千早と鳳嶺の前には同じく全速力の匡華と村正がいる。


あの戦闘から三日。朱雀からの殺し合いが無く、鞍替えした…?と少し安心していたのも束の間。殺し合い開始と同時に三日ぶりに刃物が宣戦布告と云うようにやって来た。嬉しくない。ぜひお帰りください。


「これ、絶対誘導されてます!」

「嗚呼!私も同感だ!」


匡華と村正が廊下の道を右へ、左へと駆けながら叫ぶ。あの刃物は朱雀の能力ー朱雀の他にそういう代表者がいるのなら知りたいものだー。刃物を使って、自分達を誘導している。恐らく、あの闘技場へ。その事実が明確になり、匡華は我知らず、口角を上げた。


「千早!」

「はい!」


匡華は『闇』で攻撃を防いでいる千早を呼ぶと彼女は防ぐ手を止めずに返事を返した。


「準備は良いか!?」


匡華の言葉に千早はクスッと笑った。その笑みが、彼女を支える鳳嶺にとっては手に取るように分かる愚問と云うものだった。千早は右腕をブンッと壁際に向けて振った。途端、紫色と黒色の靄が追って来ていた全ての刃物を纏めて捕らえると壁に叩きつけた。ガッシャーン、と云う甲高い音が廊下に大きく響き渡った。壁に叩きつけられた刃物は空中に浮かぶ事もなく、バラバラと床に落ちていった。それを流し目で見やり、千早は鳳嶺の首に腕を回して落ちないようにしながら前方を走る匡華に向かって力強く頷いた。


「ええ!」


その分かり切っていた答えに匡華は嬉しそうに笑った。と、村正と鳳嶺が何かに気付き、背後を振り返った。刃物が再び動き始めたらしい。彼らは速度を上げた。匡華が村正に視線を向けると彼も匡華と同じように笑った。匡華が前を向くと扉が。嗚呼、やっぱり。匡華と村正が同時に抜刀し、千早が両手に靄を纏わせ、鳳嶺が片手に拳銃を持つ。真剣な表情をし、緊迫な雰囲気を孕んだまま、匡華は腹の底から叫んだ。鼓舞するように、決意するように。


「では、行こうか!」


匡華と村正が扉に向かって蹴りを放った。


…*…*…


朱雀は自分の世界がモチーフとなった闘技場で暗くなる空を眺めていた。能力の刃物が宿敵とまでは行かないが強者をこちらに誘導しているのが気配で分かり、口角を上げて笑った。片手に握り締めていた試験管を懐にしまいこむと服の上から感触を確認する。硬いものと丸いものの感触が指に伝わる。朱雀は背中に背負った二振りの大太刀を抜き放った。


バンッ!とタイミング良く扉が開け放たれた。途端、空が明るくなった。そして、開け放たれた扉から紫色と黒色の靄が朱雀に向かって襲いかかって来た。靄は朱雀の大太刀にまとわりつくとガキンッと鎖に変化し、大太刀を重くした。突然、重くなったため朱雀は思わず大太刀二振りを床にぶつけてしまった。そこに匡華と村正の武器が襲い来る。が、朱雀はぶつけてしまった大太刀を軸に大きく跳躍し、匡華と村正の武器を回し蹴りで跳ね返す。匡華と村正が跳ね返され、後退したと同時に千早と鳳嶺が闘技場に入って来る。鳳嶺が朱雀に向かって拳銃を放つ。紙一重で銃弾をかわし、重い大太刀を引きずりながら一歩後退に下がる。


「!頭下げて!」


千早の悲鳴に近い叫び声に彼女を下ろしていた鳳嶺、匡華、村正が頭を下げた。途端、彼らの頭上を刃物が通過して行った。千早の警告が少しでも遅かったなら、全員頭に刃物が貫通していただろう。刃物の群れは主である朱雀の元へと向かうと大太刀に巻き付いた鎖を破壊した。刃物の群れは朱雀を守るように彼女の周りを浮遊する。朱雀が軽くなった大太刀を振りながら、愉快そうに興奮したように口角を三日月のように歪めた。


「ふふ、また会ったのぉ。今度こそ、決着をつけようではないか!!」


両腕を広げて、役者のように叫ぶ朱雀。彼女の体中、血と云う血が滾っていた。四対一は少々キツイが妾には能力『千本の刄』が、ご先祖様がおる。そうそう負けぬ。

口が裂けるほどに口角を上げて笑う朱雀を村正が鼻で笑い、殺気を放った。朱雀は冷や汗を垂らしながら、顔を歪めた。千早と鳳嶺はその殺気に一瞬、怖じ気付きそうになったが気を強く持つ。


「奇遇ですね。今日はあんたと不本意ですが同意見です」

「はは、その余裕いつまで持つか見物じゃのぉ」


朱雀が煽るように言い放ち、再び両腕を軽く広げる。飛び出そうとする村正を匡華が小太刀で押さえる。


「四対一は厳しいが、『千本の刄』を全力で使わせてもらおう。妾にとってのメリット、四はお主らにとってメリットじゃ」

「あら、メリット…この場合はハンデかしら?…があってもなくても勝つのは私達よ。それに規則ルールを盾にするなんて面白いわね」


千早が自信満々に、皮肉も込めて言う。規則ルールを自ら破り、メリットにしたのが千早には気に食わなかったらしい。千早の言葉に鳳嶺は少し笑いながらも力強く頷き、言う。


「俺達が負けるとでも?」


両手に拳銃を装備した鳳嶺が千早の隣に並ぶ。朱雀のこめかみがピクピクと動き、笑みが歪む。千早と鳳嶺の言葉に神経が逆撫でされ、イラついているのか。イラつくとその後の行動に乱れが生じる。朱雀の場合は分からないが、ペースは既に乱れている。色んな意味で頼もしい友人達に匡華は嬉しくなった。だが朱雀は苛立っているのを隠すように大声で叫んだ。


「ハハッ!良い良い。負け犬の遠吠えよ。勝つのは妾ただ一人!」


嗚呼、心が闘いを、血を求めている!心踊る闘いを見せておくれ!妾に負けるであろう宿敵よ!


「それを私達は否定させて貰おう。勝つのは私達だよ」


そう、勝つのは私達こちら朱雀あいてがどんな対策を取っていようとも千早が考えた作戦ならば、勝てる。

両者、睨み合う。静かな空間に朱雀の能力である刃物同士が擦れる小さな音が反響し、異様に大きく響いていた。そして、どちらが速かったか。朱雀と彼女の能力である刃物の群れ、匡華と村正が相手に向かって駆け、千早と鳳嶺が後方支援に向かった。




追ってくるとか、本人達からしてみれば恐ろしいものでしかない(震)

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