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モノクロの蝶  作者: Riviy
第九章:消えた愛情、失った想い
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第九十六ノ世界:代役共犯者



広間から出た二人を代役が追って来た。代役は二人を追い越すと彼らの前に躍り出た。そう言えば、代役が自分達に用事があったことを思い出した匡華が代役に問おうとするよりも先に村正が代役に問った。先程の「何故か苦手」が尾を引いているのか険しい顔つきだ。


「なんですか?」

「えっと、さ、我と共犯しよ!」


代役が明るく元気に云う。その言葉に村正の目が鋭くなる。代役は、沙雪との和平案で自分達を殺さないはずだ。けれど、村正は好ましくないのだこの代役が。自分でも分からない意識を代役に持っているせいか否や。匡華が村正の隣に並ぶ。彼女に代役が困ったような、真剣なような複雑な視線を仮面越しに投げ掛ける。村正の視線が却下だと思ったらしい。匡華は村正を見上げた。その肩は怯えているのか、はたまた警戒しているのか、微かに震えている。ギュッと拳にされた手がその緊張さを物語っている。匡華は、村正の意志を尊重したかった。けれど、村正が何故目の前の代役が苦手なのか、それを明らかにするべきではないかとも考えていた。そして、代表者であり代表者らしからぬこの代役をこちらに引き入れる事は、ある意味優位に立てる気もした。もしかしたら、何故、〈夜の京〉の代表者代役として選ばれたのか。神様が離脱と云う意味深い行為を許した理由も分かる気がした。まぁ、代役がその理由を知っていればの話でもあるが。


「ねー、お願いします。我、和平案?がなくなった後、もし残っちゃったら殺し合いするけどそれまではしないからさ」

「その保証は先程のように何処にもないでしょう?どう信じろと」

「んー……さっきも言ったけど無理なら殺せば良いよ」


匡華は二人の会話を聞き、代役の提案を呑み込むべきか否や、思考していた。警戒すべき相手。けれど、疑問を解消をしたい。本当は呑むべきではない。呑むか、呑むまいか、その狭間で思考する匡華。その時だった。村正が代役に問った。


「あんたの正体は、なんですか?」

「村正!」


村正の周りを小さな黒い蝶が軽く舞い始める。それに気づいた代役が手に持つ錫杖を両手で構えた。その行動に村正が口角を上げて妖艶に笑った。自分の敵意のみで相手を攻撃しようとしている。それでは沙雪が望んだ和平案は数分で破棄される事になり、そして、村正が攻撃した事になる。匡華は、村正が自分の憶測だけで攻撃して欲しくなかった。相手が攻撃をしてきたのならば、別だけれども、多分。匡華がやめろと声をかけようとしたその時、代役がまさかの行動に移った。村正の手首を掴んだのだ。それに驚いた匡華が動きを止め、村正も目を見開くと掴まれたその手を勢い良く振り払った。代役もなんでその行動を取ったのか自分でも分かっていないらしく、村正に叩かれた手と村正を交互に見ている。代役にとっても咄嗟の行動だったらしい。


自分のその行動に村正はハッと、苦手だからと、同じ気配がしたからと頭に血が昇っていたことに気付き、急激に頭が冷えて行くのを感じた。自分の行動を思い返し、これではあの時の鳳嶺と同じではないかと苦笑した。そして、片隅に浮かんだ()()()も。嗚呼、今までなら、殺気を放って追い払えば良かった。逃げた後の数年だって、そうして来た。信用した、信頼した者以外は近くにいて欲しくなかった。その中にはもちろん、微弱ながらも今のように同じ気配を持つ者もいた。敵ではない者もいた。ただ、それだけの事。正体が分からないのならば、探れば良い。それを、祢々切丸も蜘蛛切丸も分かっていた。だから、匡華の指示…提案とは云え、伽爛を見据えたのだ。自分が、あの時、信用したように。わかっていなかったのは、村正(自分自身)だ。


匡華は黙ったままの村正を心配そうに見上げた。代役もなにかやっちまった?と云わんばかりに視線をさ迷わせている。その時、匡華は村正の気配が、オーラが変化したことに気づいた。小さな黒い蝶が彼に吸収されていく。村正の中で、再び何かが変わったのだと匡華は感じ、嬉しくなると共に少し寂しい感じもした。


「貴方のものは、沙雪と同じように根拠がない。呑むことは難しいね」

「えーダメ?」

「引くことも重要だよ」


匡華に諭すように云われ、代役は納得が行かないようで、頭をかいた。


「匡華」

「村正、大丈夫かい?」

「ええ。お騒がせしました……僕は」


村正が匡華の心配そうな顔を見下ろし、安心させるように彼女の頭を撫でた。そして、代役を見据える。一歩、代役に近づきながら、村正が云う。一歩近づいてきた村正に代役は驚いたようだったが、ぐっと気を引き締めた。


「僕はあんたが苦手です。いや。嫌いですね、断言できます」

「ムゥ……そんなに我の事嫌いなの…」

「ですが、信用するかしないかは別の話だと思います。どうですか?」

「!じゃあ!」

「呑むとは言ってません。ちゃんと聞いてなさい愚者が」


ハッと鼻で村正が代役を嘲笑う。代役はムゥと頬を膨らませ、不満をアピールする。匡華は村正が大丈夫そうで一安心した。そして、いまだに「じゃあどうしたらいいの!?」「自分で考えなさい。その頭は飾りですか」「それ聞いたことある!」と口論と云うよりは、ただ喋っているような事を繰り広げている二人を振り返った。先程の険悪な雰囲気はー村正に至っては、だがー何処にもない。それに匡華は小さく、見えないように微笑んだ。喧嘩ではないが、少し言い争っていた三人を思い出す。いつもそこに伯父がからかいの手を入れて、それに笑って、言い争いは終わる。楽しい空間が広がっていた。匡華は一瞬、そんな思い出に思いを馳せると代役に向かって真剣な表情で、声色で告げる。


「そろそろそこら辺で勘弁してやりな、村正……さて、貴方が私達が信用し、この内に入れるべきかどうか、貴方が私達に証明しておくれ。それまでは、仮だ。仮初めだよ。いつでも切れる、儚く、弱く、細い関係だ……そこからでも、貴方は、信用を勝ち取れるのかい?」


村正が匡華の隣で挑発的に代役を見やる。その目に敵意はない。会話から、いつの間にか少し信用していたのかもしれない。代役は、ギュッと錫杖を握り締め、力強く頷いた。今、此処に世にも奇妙な関係が生まれた瞬間だった。


「ところで、貴方の名は?」


匡華がそう首を傾げながら聞くと代役は仮面越しにニッコリ笑った。


「我は、狐影こかげ!宜しくね!」


代役、声からして少年から青年になりつつある彼、狐影こかげ紫苑しおん色の肩に付く付かないの微妙な長さー恐らくショートーの髪。瞳は仮面のせいで不明だ。仮面は名前の通り、黒い狐の仮面で服は藤色の着物で袖口が大きく、足元に垂れる着物は大きく広がっており、足が見える。黒の手甲をはめている。下は黒のスラッとしたホットパンツ、膝上まで網目のタイツを穿いている。靴はブーツ。


代役改め狐影の持つ錫杖がシャラン!と清い音を奏でた。


もう一個!……なんかウチって狐面多くないですか…(過去作を思い浮かべる)………なんでやろな…いや、仮面つけてるキャラも眼帯キャラも好きですけど、動物にしたら狐面が一番好きなんですよね…いつからだ?まぁいいや。皆さんはどうですか?(突然の質問)

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