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モノクロの蝶  作者: Riviy
第一章:毒入りお菓子のハッピーエンド
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第九ノ世界:毒に犯された少女


ヘレーナが千早に向かって小瓶を投げた。靄が小瓶をガンッと弾くと、その小瓶の中身が真っ黒な床に広がった。


「ふっふふ~ん♪『盲目』さん、あっそびましょ~」


楽しそうにヘレーナが笑い、両腕を広げる。とその背後にオレンジと赤の炎がいくつも浮かんだ。匡華がそのまま、がら空きの彼女の懐に滑り込み、小太刀を振る。が、ヘレーナはそれを後退して避けると、背後に浮かぶ炎を匡華と千早に向かって投げた。匡華は小太刀で斬りながらそれを回避し、千早は闇である靄でそれらを包んで消して行く。が、


「っ?!」


ツンッと後ろから引っ張られた。思わず、見えないのに振り返ると先程割った小瓶の液体がスライムのように彼女の長い着物の裾を掴んでいた。視覚ではない、他の四感が彼女に緊急速報を発する。一方、匡華はヘレーナとの一戦に少なからず、飽きてきていた。なにせ、ヘレーナがかわす一方なのだ。小太刀を振ってもかわすか炎で防御。たまに小太刀が彼女の頬や露出した腕に当たって傷を作るが、かすり傷程度にしかならない。村正と鳳嶺は双子を対応している。と、そこで、匡華は首を傾げた。千早は何故動かない?


ガンッと音がして前方を向くとまさかの包丁を持ったヘレーナが匡華の小太刀を防いでいた。ヘレーナはクスクスと突然笑い出す。それがなんだが気味が悪くて、匡華は包丁を弾いた。


「ふっふ~♪あたしはねぇ~『盲目』さんが狙いなんだよ~それに、さっきの小瓶はあたし特製の毒薬おかし風…どういう意味か、わっかるよねぇ~?」

「まさか…?」


ヘレーナの楽しそうに肩を弾ませて言った言葉に匡華が、錆びてしまったかのように自分の背後で援護に回っている「はず」の千早をヘレーナと共に振り返った。途端、飛んで来たのは紫色と黒色の無数の刃だった。その刃は匡華を器用に避け、ヘレーナだけを目指して飛んで来た。まさかのことにヘレーナは面食らい、動作が遅れた。そのため、ヘレーナの肩にざっくりとした切り傷ができ、大きな一撃を与えた。ヘレーナは悔しそうに顔を歪めながら、肩を押さえつつ、後退する。


「ごめんなさい、匡華さん。取るのに手間取っちゃった」


明るい声で、振り返った匡華を安心させるように千早が言う。千早は右腕をヘレーナに向けており、その背後には無数の刃が浮かんでいる。そして、その足下ではスライムのようなものを踏みつけている。スライムのようなものはじたばたともがいていたが、次第に諦めたようで動きが鈍くなって行った。ヘレーナは悔しそうな表情と自分への怒りが入れ混じった表情を千早の元へ引き返した匡華と千早に向けながら、言い放つ。


「なんでっ…!液体あれは、あたしが当てた相手を束縛するお菓子のはずなのに~?!」


あれ、お菓子だったのか。そう思った匡華と千早が同時に千早の足下にいるスライムのようなものを見やったが、既に真っ黒な地面に吸い込まれて行っていた。匡華はヘレーナの言葉を聞いて、なんとなくだが、彼女の能力はお菓子に関係するものではないかと考えた。『ヘンゼルとグレーテル』が第一の能力として、あの炎はグレーテルと同じなのでその追加能力と考えられるので除外。いや、もしかするとただ単にお菓子作りが得意ースライムみたいなのがお菓子に含まれるのかは分からないので置いといてーなだけなのだろうか?ぐるぐると思考が回る。まぁ、でも、そんな事どうなのであろう?倒せれば、いいのではないか。そこまで考えて、匡華は小さく笑ってしまった。これではまるで


「村正みたいだな…」

「?匡華さん?」

「いや、なんでもない。ほら、答えてやったらどうだ?」


匡華が首を傾げる千早に、小太刀を構えながら言うと彼女は靄を胸の前に掲げた両手で弄びながら、背後に炎を浮かばせ始めるヘレーナに答えた。


「あなたは私を『盲目』『盲目』と言うけれど、それは"情報から得た"だけでしょう?」

「……?そうだけど?それが?どうかした?」


不機嫌そうな声をあげながら、ヘレーナが言う。先程までの愉快そうな雰囲気は微塵もない。


「私は、〈吉原の華〉最強の花魁として此処にいるのよ?私は、『盲目めがみえない』んじゃないわ。他の四感で見えているのよ」

「…は?意味分かんない~」

「つまり、千早は貴女が言うように盲目だ。けれども、見えているんだよ」


匡華と千早の説明にヘレーナは首を傾げたままだったが、めんどくさくなったのか、再び愉快そうに笑った。


「まっ、『盲目』には変わりないでしょ~?『盲目の一輪華』さ~ん?」


匡華と千早が身構えながら、少し驚いたように顔を歪めた。ヘレーナが手に入れたガラスのような情報あれには世界から与えられると云う異名まで乗っているらしい。ならばこちらも、さっさと千早の部屋にあったと云う情報を見に行かなくては。異名だけでも、どのような攻撃行動を取るのかが分かるはずだ。

千早は両手で弄んでいた靄を右腕にまとわせるとバッと横に突きだした。匡華も小太刀を構え、両者は睨み合う。一瞬の間、初めに匡華が凄まじい動きでヘレーナに小太刀を振った。それを片手にまとわせた炎でそれを防御する。が、ある気配にヘレーナは後退した。ヘレーナの頬に一線、紅い線。いつの間にかヘレーナがついさっきまでいた場所には右腕に靄をまとわせた千早がいた。靄が刃物のように鋭い。それにヘレーナはニィと笑って、伝ってきた血を舐めた。


「ん~あたしって天才♪」


なにが天才なのか、分からないが。


…*…*…


ガンッとヘンゼルの持つ大盾に鳳嶺が撃った銃弾が跳ね返った。それに鳳嶺が思わず、舌打ちした。それを横目に見ながら、村正が炎の球体をこちらに向かって投げようとしているグレーテルに向かって跳躍すると、球体を切った。


「わ~ちょっと、危ないでしょ~?!」

「倒そうとしているのに、危ないはないでしょう。馬鹿ですか」

「ムッ~~!?」


村正が鼻で笑いながら云うと、グレーテルは頬を可愛らしく膨らませて、村正に向かって炎の球体をいくつも投げ出す。それらを全て、上体を動かすだけでかわしながら、村正は隙を窺う。こちらに飛び火している炎の球体を拳銃で撃ち落としながら、ヘンゼルの大盾の上段からの攻撃をかわす鳳嶺。と、ヘンゼルが突然、ニィと笑った。彼ら双子はじぶんと同じ。なら……鳳嶺ははっとすると、村正に向かって叫んだ。


「村正ぁ!!」

「もう、遅いよ、お兄さん?」


途端、目の前のヘンゼルが消えた。そして、村正の前にヘンゼルが現れた。恐らく、位置を変えたのだろう。そう脳で理解できていても、突然の事には驚くし、ついて行けない。そんな村正にヘンゼルが大盾を上段から振り下ろす。鳳嶺が慌てて、村正の援護に向かおうとするとグレーテルの攻撃に通路を閉ざされた。急停止した鳳嶺に炎の球体が襲いかかる。炎の球体が鳳嶺の拳銃を弾き飛ばし、拳銃は本のような床まで転がっていってしまった。グレーテルが両手を上に上げるとそこでは巨大な、そして熱い、炎の球体が凄まじいスピードで出来上がって行っていた。その球体を手首を掴んでいる鳳嶺に向かって投げた。勝った、と無邪気に笑ったグレーテルと同じように、鳳嶺も嗤った。途端、鳳嶺の両手には黒く光る拳銃が握られ、銃口から銃弾が球体とグレーテルに向かって降り注がれた。


村正は突然のヘンゼルに驚いたようだったが、重い一撃を跳躍してかわすと刀を振った。が、大盾に遮られてしまった。ヘンゼルがグルッと回って大盾をぶつける、がそれを村正が刀で防ぐ。その時だった。グレーテルの小さな悲鳴が上がった。ヘンゼルが気を取られた隙に村正は彼に突撃すると大盾を蹴り上げ、そのまま一回転しながら刀を振った。ヘンゼルの右目をふさぐように一線出来た。ヘンゼルが片目を押さえながら、こちらを苦々しげに見る。それに村正が妖艶に笑い、後退するとそこに鳳嶺がやって来た。ヘンゼルの元には彼とは逆の左目に一線出来たグレーテルがやって来ていた。両者、睨み合い、大きく跳躍した。



ヘレーナと双子を書いていると頭の中でお菓子系の歌詞が入った曲か明るい曲が回ります、何故か。楽しいからいいけど。

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