町夏
ピンクの百日紅の花
早期米の稲が揺れて
猪と飼い犬が向かい合う
赤蜻蛉らしき蜻蛉
その横のオニヤンマ
それでいてシオカラトンボ
蜘蛛の巣の揚羽蝶
揺られ揺られ
羽根だけ落とされ
ぐるぐる巻きにされる
その上の黒揚羽蝶
ヤマカガシの色と
三角形の頭の
綺麗な柄の蝮
ヒキガエルとアマガエル
睨めっこの三つ巴
蛞蝓は石の下
三竦みの中で
水車が回って風鈴が鳴る
鉄音の響きは
空の夏色を鮮やかにして
麦わら帽子の赤のラインを
突然の雨
白い傘と白いワンピース
濡れた濡れたと
バス停の古い木々
夏休みが消えたなら
入道雲も消失して
トマトの赤も
茄子の紫も
あの落雁の形でさえ
綺麗に開かない
火薬の匂いと
山に打ち付ける音
海に映った炎色反応
浴衣とたこ焼き
夏休みが消えたなら
いずれ
別の何かに
取って代わるのでしょう
夏の暑さは
人を駆り立てる
文明機器はそっちのけで
全裸で走る幼児
追いかける両親
卵を割ったような光景は
捕まえられた時の
笑い声で
目玉焼きになる
アイスコーヒーが
地獄のように冷たかったら
この後のビールは
そんなに美味しくは無い
野球のバットの音が
敗れた後でも聞こえる
来年の為か春の為か
分からないけれど
真剣さは伝わる
日陰を探して歩く
前のおばあちゃんは
既にフラフラだった
それでも
休む事を知らないから
歩き続けている
荷物を持ち
歳を聞くと90歳
家に帰れば
アレをして コレをして
話の弾むおばあちゃん
この人達の作った物は
誰かに食い潰されている
誰に話をしようかな
夏休みが消えたなら
向日葵も消失して
西瓜の赤も
胡瓜の青も
あの提灯の形でさえ
綺麗に開かない
お酢の匂いと
押すと出る心太
流し素麺との透明反応
気泡の無い氷と赤い蜜
夏休みが消えたなら
いずれ
別の何かに
取って代わるのでしょう




