魔鍵
ごく普通の村に住んでいた少年クロム。
農作業に勤しむ村人を置いて、いつも遊んでいました。
クロムを筆頭にリリィ、フーガ、フルンという4人組です。
村人には、古くからの仕来たりがあり、親は生まれた自分の子供に自分の持つ鍵を渡すことになっていました。
村の少年少女は、皆幼いころから鍵を持っていました。
鍵には人間と同じように意思があり、話すことが出来ました。
しかし、クロムだけは鍵を持っていませんでした。
クロムの両親は、クロムが生まれた時にクロムを置いてどこかに行ってしまい、鍵を貰っていなかったからです。
そのため、他の子供たちからいじめを受けるようなことは無かったものの、クロムは心のどこかで、親がいて鍵もある他の子供に劣等感を感じていました。
そして、ある時禁じられていた村の少し離れた所にある裏山の洞窟に行ってしまいました。
そこには、封印された鍵があるらしく、クロムはそれを手にいれるのが目的だったのです。
洞窟は比較的何も無く、クロムはなんなく鍵を3つ手に入れました。しかし、手にいれた途端、突然モンスターが襲い掛かってきたのです。かろうじて鍵を使い、モンスターを倒していくクロム。物語はここから始まる。
「おらぁ!」
重い大剣を振るい、モンスターをなぎ倒す。
「ふぅ…これで一通り倒せたか?」
少年は息を荒げながらもなんとか平常と同じ声を出した。
すると、それに答えるかのように少年の隣に小さい光の点が現れたかと思うとたちまち光が強くなり、広がった。
そして広がった光は人の形をとると急速に消えていく。
そこに現れたのは一人の少女だった。
しかし、空中に浮いている上に微かに透けている。
「マスター。終わりましたね♪」
「ああ。でも、早く逃げないと次のモンスターが来ちまう」
「無理しないでくださいよー?」
「分かってる」
少年はそういうと洞窟の続く道を走る。