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4−4. 一本道での襲撃

 馬車の前には2騎、後ろにも2騎の護衛がいた。メアリは扉を開けて後方を付いて来る護衛に叫んだ。

「後ろ、近づくものに警戒してください」

「分かった。御者に速度を上げる様に言ってくれ」

「はい」


 御者は馬車の速度を上げた。しかしメアリの頭はチリチリする緊迫感を感じていた。

(一本道で馬車一台で襲撃なら撃退される恐れがある。間違いなく追い込み猟の筈だ)

後方の護衛を後ろから来る馬車で引き剥がす。そして護衛の数が減ったところで前方で道を塞いで皆殺しにする。そんな作戦がメアリの頭に浮かんだ。

(だけど、乱暴すぎる)

確かに必殺の作戦かもしれないが、白昼堂々、観光地への途上で貴族が殺される。そうなれば騎士団の威信にかけて犯人を探すだろう。

(…狙いを考えるのは後だ。まず窮地から逃れないと)


「メアリ?」

引き攣った顔でマーティン・クラレンス(こう見えて侯爵閣下である)がメアリに状況を尋ねた。多分。

「ご心配なく。護衛が旦那様を必ずお守りします」

(いつも私が阻止してるんだけど、そろそろ護衛で何とかしてくれ)


 とりあえずメアリがするべきは前方の敵の察知である。一本道を間違いなく塞いでいる筈だから、人の集まっている場所を察知すれば良い。


 300ftより遠くに魔力を感じる。

(時間が無い…間違いなく丸太でも倒して通れなくしている筈。10人はいない様なら、最悪アイスランスの連射で排除出来るけど…その手は使えない)

メアリが魔法学院3年生相当の魔力があるのを見せる訳にはいかない。平民として入り込んだ女が貴族相当の魔法を使えば、例え主人を救ったとしても逆に疑われる。


「速度を上げろ!」

後方の護衛が御者に命令する。後ろから近づく馬車が何か威嚇でもして来たのだろう。速度を上げてしまうと、障害物を見つけた時に停止出来ない。もうメアリが前方の敵を排除するしかなかった。


(もう三つカーブを曲がれば、障害物と敵が見える筈…そこにある水を使って、どうすれば良い?)

渓谷の下に水はいくらでもある。だけど、それを崖の上まで持ち上げれば水魔法が使われた事がバレてしまう。

(なら、地面の下か!)


 迎え撃とうとする賊達の後方地下に小さな水の流れがあった。

(これを暴れさせれば!)

まだ二つカーブを挟んでいる。距離は遠いが何とかするしかない。

(水魔法でせき止めて、勢いよく流す!)

少し渓谷側の土が崩れた。この近辺で再度水をせき止める。

(もう一回!)

勢いよく流れた水が渓谷に面した崖を崩し始める。

(ここで崖を崩せば、賊が死ぬかもしれない…今更だ。もう私は人を殺す覚悟くらい出来ている)

再度せき止めた水を流す。今度こそ大きく崖が崩れた。


 最後のカーブを曲がれば、障害物と賊が見える筈だった。カーブを曲がったところで御者は速度を急激に落とした。馬の嘶きが大きく聞こえる。前方では重い音と何かが落下するガラガラ音がしている。


 停車したところで、メアリは小窓を開けて御者に尋ねた。

「どうしました!?」

「前方で崖崩れだ!馬車が一台落ちた様だ!」

「じゃあ、旦那様以外は降車してください。前に進めないなら、ここで後ろから来る敵を迎え撃つしかありません」

「分かった!」


「メアリ?」

「旦那様はここを動かないでください!」

メアリは地面に飛び降りた。使える武器などないだろう。だから崖とは反対側の道端に落ちている投げられそうな石を拾う。


 馬車が後ろから迫って来る音がする。メアリは少し大き目な石を掴み、タイミングを見計らって石を投げる。女の細腕で石など投げても大して飛ばない。だから後ろにアイスボールをくっつけて魔法で速度を上げる。


 カーブを曲がって姿を現した馬車の御者の眉間に、その石と一体になったアイスボールがぶつかった。一瞬気を失った御者は馬車の制御が出来なくなった。だから途中からカーブを曲がり切れずに、馬車は崖から下に落ちて行った。


 ガラガラと落ちていく馬車の音と悲鳴が聞こえる中、下車していた皆がメアリを見た。

「…偶然です」

御者にぶつけるまでは狙っていたが、流石に崖から落ちる事までは予想していなかったんだ。


 護衛達は集まって前後策を考えようとした。だからメアリがます提案した。

「一本道で後ろから追いかけて来た、そして前方で崖崩れが起こった。たぶんそこから我々の馬車を転落させて、事故として処理されるという作戦でしょう。騎乗した方が戻って騎士団に連絡して、即刻賊達を捕らえてもらいましょう」

「そうだな、ともかく当方が被害者だと騎士団に示す事が先決だ」

そうして護衛が2騎、王都側に馬を走らせて行った。

 忙しない展開ですねぇ…まあ、30話+で終わる話ですので。


 タイトルの爵位間違えてました。深読みしてた方、すみませんでした。

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